第4回 “無線LAN無双”の聖地でかなりの差──あえて有線接続して分かった「AtermWM3500R」とWiMAX本来の実力“WiMAX Speed Wi-Fi”「AtermWM3500R」ロードテスト(2/2 ページ)

» 2011年03月16日 15時57分 公開
[坪山博貴,ITmedia]
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駅前ファストフード店内、そして“無線LAN無双”……な場所ではどうなる?

photo 同じく駅前のファストフード店内の電波状況。駅前の開けた場所の2方向がガラス張りという立地だが、周囲より、かなり数の無線LANアクセスポイントから電波が届いている

 次は駅前のファストフード店内。公衆無線LANは完備されていないが、駅前ということもあってかなりの数の無線LANアクセスポイントが存在する。これらは電波レベルも結構強いので干渉は避けられそうになく、WiMAXの電波状況は同1〜2本の場所だ。

 ここでも無線LAN接続は、有線接続に対して下り速度が大きく劣る結果になり、上り速度もややバラついた。もちろんモバイル環境におけるインターネット接続速度としては十分なのだが、もっと上が望めるポテンシャルがあることを知ってしまうと、もったいないという印象は受ける。


photo 同場所/接続方法別に計測した通信速度の違い 計測場所:駅前ファストフード店内

 最後は東京・秋葉原のカフェソラーレ リナックスカフェ秋葉原店。ここはWiMAXの屋内基地局が設置されており、WiMAXの電波状況は最良クラスといえる場所だが、店内はNTT系列の公衆無線LANサービスがチャンネル1と6を使用し、さらにチャンネル11も店舗の無線LANアクセスポイントが利用。そして、場所柄、ポータブルルーターを持ち込むユーザーも多い、なんというか“無線LAN無双”な無線LAN環境においても聖地といえるスポットだ。

photophoto リナックスカフェ秋葉原店の電波状況。チャンネル1はフレッツ・スポットとWi-Fine、チャンネル6はMzoneとHOTSPOTが使用。チャンネル11も2つの無線LANアクセスポイントが使用。これらは同士は干渉しないように5チャンネル間隔になっているが、当然チャンネル7に設定したWM3500Rには大きく干渉する状態だ(左)。参考として、もっと混雑していた別の日の状態はこちら(右)。この日は店内の公衆無線LAN類に加えてユーザー個人のポータブルルーターがいくつも存在しており、さらに干渉しまくりな状態になっている。この日、無線LAN接続ではどうやっても下り15Mbpsを超えることはなかった

 検証日は幸い個人ポータブルルーターの稼働数は少なく、無線LAN接続でも下り22Mbpsを超えた。さらに有線接続では最大29.24Mbpsを記録し、平均でも25Mbpsと高い値を記録した。予想外に無線LAN接続も良好だったのは、たまたま実際にデータ送受信している人が少なかったためだろう。混雑時だと下り10Mbps程度にまで速度が落ちることも珍しくない。

photo 同場所/接続方法別に計測した通信速度の違い 計測場所:リナックスカフェ秋葉原店

利用シーンに応じて、無線/有線を使い分けると「よりおいしい」

photo 筆者が利用する細いカールコード仕様のUSB Micro-BケーブルでPCとWM3500RをUSB接続したところ。小型のケーブルなら携帯時も利用時もじゃまにならない

 このように、これだけ速度差があるならば無線LANテザリングが快適なWiMAXルーターにおいても有線接続をあえて使う価値は十分にある。無線LAN接続でも十分に高速だが、容量の大きなファイルを扱う場合や、Web動画サイトのハイビジョン映像を再生するといった場合に「有線接続に切り替える」のもよりおいしく使える方法だ。WR3500Rはこの利用シーンにしっかり対応している。

 また基地局側のアップデートも効果もあって、特に都心エリアでのWiMAXの通信速度も着実に向上している。今回のように場所によっては下り30Mbps弱まで、屋内基地局がある場所以外でも下り20Mbpsを超える結果を見ると、WiMAXのポテンシャルを改めて感じずにはいられない。そして、通信速度にこだわる人が多く選ぶであろうWiMAXだからこそ、なおさら「有線接続は確実にあり」だ。もっとも、USBで有線接続するとその分ノートPCのバッテリー消費量が多くなるので、この辺は無線LAN接続とうまく使い分けるのがポイントになろう。

 最後に、付属のUSBケーブルはモバイル用途を意識したものではないため、携帯するには長すぎてちょっと不便。ただ、短く細いUSBケーブルも市販されている。筆者はXperia用として販売されるUSB Standard-A−USB Micro-Bのデータ通信用USBケーブル(カールコード仕様)を応用しているが、WM3500Rユーザーはこの手のケーブルを1つバッグに忍ばせておくと、シーンに応じて「より高速に、快適に」利用できるようになるだろう。




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