「Happy Hacking Keyboard」は、大枚はたいても買いたくなる唯一の、とはいわないけれど、数少ないモデルだ。このキーボードに一度“とりつかれる”と、もう、ほかのモデルは使うことができなくなるという。そういう熱烈なユーザーたちが「HHK」という3文字のアルファベットで呼ぶと、なにか得体の知れない“伝説”のキーボードという雰囲気すら漂ってくる。
そのHappy Hacking Keyboardシリーズを1996年から販売しているPFUから、2011年の6月に最新モデルとして「Happy Hacking Keyboard Profesional Type-S」シリーズが発表された。ASCII配列の「PD-KB400WS」とJIS配列で独立したカーソルキーを用意した「PD-KB420WS」、そして、ASCII配列でキートップが“無刻印”の「PD-KB400WNS」が登場する。すべて“白”モデルで、ツウが喜ぶという黒モデルはない。
1996年に登場して、その小さなサイズと約3万円という実売価格が注目された初代モデルから始まったHHKシリーズは、現在、そのハイエンドコンセプトを継承する“Professonal”と、価格を1万円以下にして購入しやすくした“Lite”に分化している。いずれにしても、独立したファンクションキーを持たず、機能キーの多くはFnキーとのコンビネーションで使うことを前提とした独特のレイアウトと、キーピッチ19.05ミリを確保しながらもキーボード本体のサイズを約294(幅)×110(奥行き)×40(高さ)ミリという、日本古来のソロバンに近い小型サイズは、HHKのほとんどのモデルに継承されてきた。ただ、JIS配列準拠のモデルでは、ユーザーの要望に応じて、独立したカーソルキーを右下に搭載している。
また、PC本体との接続はPS/2からUSBに変更され、キーボード内部にUSBハブ機能も統合するなど、PCの周辺機器事情と規格の進化に合わせた変更もだいぶ以前に済んでいる。本体のカラーも、PCが事務機として認識されていたころに主流だった“黄色っぽい”白から、Mac対応モデルが登場したタイミングで、スノーホワイトという、“黄ばんでない新品のワイシャツ”のような白に変わっている。
背面のディップスイッチで“白いひし形”が刻印されたコマンドキーに別なキーをアサインできる、21世紀のHHKユーザーには当たり前の機能も、前世紀からのHHK持ち(いまだ残っているならば)には、「左の白いひし形にFnキーを割り当てたら、使いやすくなるんじゃがのうぅ」と垂ぜんモノであったりする。
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