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» 2011年08月11日 12時14分 公開

GPUクーラーを換装しよう:オーバークロックも静音化も思いのまま――「Twin Frozr II」でギュンギュン冷やすぜ (2/2)

[石川ひさよし,ITmedia]
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リファレンスクーラーより20度冷える! そして静か

 それでは、Twin Frozr IIによってリファレンスデザインカードがどこまで変わるのか、あらかじめ計測しておいたリファレンスデザインカードの性能と比較しながら調査してみよう。

 まずはTwin Frozr IIへ換装した直後、設定はリファレンスから何もいじらない状態での冷却性能を比較してみる。計測時の室温はどちらも27度前後でほぼ同じだ。高いGPU負荷をかけるために3DMark VantageのExtreme設定で、GT1、GT2を実行し、データはGPU-Zのログ機能を用いている。

 その結果だが、GPU温度の最大値、最小値ともに当然Twin Frozr IIのほうが低い。細かく見ると、最大値ではリファレンス対Twin Frozr IIが、89.3度対68度となり21.3度の差、最小値では51.5度対33.8度で17.7度の差となった。

 また、最大値から最小値を引いた温度上昇の幅は、リファレンスが37.8度、Twin Frozr IIが34.2度となった。温度の上昇も抑えられているようだ。さらにこの一連のテストをグラフ化してみると、どうも温度の上昇はリファレンスよりも緩やかな一方、温度の降下はリファレンスよりも急速なラインをとっているように見える。つまり温度が上昇しにくく、冷却は速いというわけだ。

GPU温度/PCB温度/ファン回転数。黄色はGPU使用率を示す。どちらのグラフもTwin Frozr IIはリファレンスクーラーよりもかなり下のラインとなっており、また、温度上昇はやや緩やか、温度降下はやや急降下なようにも見える

 Twin Frozr IIがリファレンスクーラーと比べて、計測値において優れた性能を見せたわけだが、同時に動作音もかなり静かなことが分かった。ファン回転数を調べてみると、リファレンスクーラーは最大回転数が3300rpm、最少が1600rpmとなったのに対し、Twin Frozr IIは最大1900rpm、最少1600rpm。リファレンスクーラーの3300rpmはかなり耳障りだが、先の温度計測で分かるとおり、90度に達しようかという状態なので当然だろう。

 一方、Twin Frozr IIは70度程度であるからまだGPUのレッドゾーンまで余裕がある。なお、低負荷時は若干リファレンスクーラーのほうが低回転だが、動作音のうえではほとんど変わらず、Twin Frozr IIのファンが2基あるデメリットは感じられない。そして1つ断っておくと、Twin Frozr IIに交換しただけで設定はいじっていないため、ファン回転数はAutoのままだ。つまり定格運用が目的であればAutoのままでもかなりの静音化が期待できることになる。

リファレンスクーラーとは比べものにならないOC性能

MSIのAfterburnerはオーバークロック機能とモニタリング機能をまとめたユーティリティ。GPU温度に応じてファンスピードを柔軟に設定することができ、静音化やオーバークロックに活躍する。Afterburnerはフリーウェアとして配布しているとのことで、他社製リファレンスカードを用いてTwin Frozr II化しても利用可能だ

 さて、マニュアルにはこんなことが書かれている。「MSI AfterburnerでのOC実験にもお薦めです」と。Afterburnerは、MSIが提供しているGPU用のモニタリング&オーバークロックツールだ。基本的にMSI製グラフィックスカード購入者なら、同社サイトからダウンロードして利用できる。単体販売版Twin Frozr IIの場合、他社製カードに対する換装もあるため、この点を担当者に確認したところ「Afterburner自体は利用可能でライセンス的な問題はない」とのこと。ただし、利用できる機能に関しては、ベースとなるグラフィックスカードに依存するという。今回用いたN470GTX-M2D12はそもそもGPU電圧の調整にも対応したモデルだが、利用するカードによってはこれができない可能性もあるという点に注意しよう。

 それでは、このAfterburnerを用いて、Twin Frozr II化によるオーバークロック性能を試してみよう。先にAfterburnerの機能を説明しておくと、今回の組み合わせで利用可能な項目は、GPUコア電圧、GPUクロックとシェーダークロック、そしてファン回転数となる。ファン回転数は温度と回転数のXY軸グラフによって柔軟に設定することが可能だ。そこで、ファン設定はまず第1段階として30〜100度の間で30〜70%の回転数に可変する設定を施した。この設定なら普段使いもゲーム中もかなり静かな動作となる。また、計測には3DMark VantageのデフォルトであるPerformance設定を用いている。スコアの推移とともに、どこまでOCできたかを紹介していこう。

 まずリファレンスクーラーの限界を説明しておくと、定格の607MHzに対し、650MHzで早くも3DMarksが下がり、場合によっては完走しない状態になった。スコアが下がるということはつまりGPUが十分に冷やしきれず、クロック調整がかかっていることを示している。今回試した個体に関しては、実質的にオーバークロックの効果が得られるのは640MHzまでとなる。

リファレンスクーラーは650MHz、Twin Frozr IIは最高800MHzまでOC効果が得られる

 一方で、Twin Frozr IIで最初の限界が見えたのは690MHzだった。リファレンスクーラーほど顕著なスコア低下ではないが、若干伸びが鈍化している。ということで680MHzが静音動作での1つの壁となる。なお、それでもリファレンスクーラーのピーク時と比べればまだ静かだ。

 そこで静音性をあきらめ、どこまで回るのかを追求したところ、まず30〜100度で30〜100%(4500rpm)という設定では740MHz、常時100%回転では780MHz、さらにコア電圧を1000mVまで引き上げて800MHzまで記録することができた(810MHzはコア電圧の引き上げでも対処できなかった)。これ以上を目指したいのであれば、リファレンスカードのTwin Frozr II化ではなく、基板設計でも電力設計でもカスタマイズされたTwin Frozr II/III搭載モデルを選ぶ必要がある。

リファレンスクーラーの動作音に悩まされている人に効果絶大

 以上、静音・冷却性能を実証してきたTwin Frozr IIだが、単体販売モデルでも静かで冷えることが今回テストで確認できた。リファレンスデザインカードの動作音に悩んでいる人は、ひと手間加えるだけで見違えるような静かさが手に入る。オーバークロック性能に関しても、ベースがリファレンスデザインということで6ピン×2基という電力供給面での限界があるものの、それでも十分なパフォーマンスを見せてくれた。

 ただし、MSIによれば今回の単体販売版Twin Frozr IIは「(特に明記してはいないが)数量限定」と考えているとのこと。実際、GPUクーラーを交換するというのはニッチな部類であるし、MSI自体もTwin Frozr IIIへと移行を始めている。リファレンスカードからの換装を検討中の人は早めに入手したほうがよさそうだ。

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