USBレシーバをPCに接続すれば、ドライバが自動でインストールされて使えるようになる。特別な設定も必要なく、簡単に使い始められる。実際に握ってみると、マウスに比べれば少々大きいものの、握りやすく長時間操作してもあまり腕が疲れない。操作性も快適で、音もほとんど発しない。
評価機では、左右のボタンを親指と薬指、トラックボールを人差し指、タッチスクロールを中指で操作したが、クリックボタンが大きくて押しやすく、場合によって小指でも簡単に押せる。また、ボタン表面の素材が本体とボタン部で異なり(本体天面は光沢があり、つるつるしているが、ボタンの表面はざらざらしている)、ボタンの位置を間違えないようにする配慮も見受けられる。
ただし、タッチスクロールの操作はクセがあるので注意が必要だ。タッチスクローリング部の形状はリング型にはなっておらず、トラックボールの左右で分かれている。動きは、上になぞれば上に、下になぞれば下にスクロールする(設定で変更可能)が、指を寝かせてなぞると反応が悪く動かないことがある。きびきびとしたスクロールを行うには指を立て、指とスクローリング部との接触面積を少なくするとよい。トラックボールを握るだけでもスクロール部に指は触れてしまうので、簡単にスクロールしてしまわないよう、誤作動を防ぐための仕様だと考えられる。
対応OSはWindows 7/Vista/XP、Mac OS 10.4.11以降。製品の専用ドライバ「TrackballWorks Ver1.1」(ケンジントンのホームページからダウンロードできる)により、ボタン割り当ての変更、ポインタ移動速度、スクロールの方向や速度(慣性スクロールも含む)を設定できる。
実売価格は5000円前後で、ほかのトラックボールと比べても比較的安価な部類に入ると思う。見た目もよく、光沢に色気を感じるシンプルかつ上品なデザインだ。置いてあるだけで絵になる美しいフォルムからは、老舗のこだわりを感じる。
どちらの利き腕でも使える人差し指(中指)用のトラックボール。今では完全に使う人が限られる周辺機器だが、レシーバが小型タイプといかにもイマドキの製品らしい。本体もボールも大柄ではないものの、底面に張ったラバーがしっかりとデスクをとらえており、手のひらを軽く本体にかぶせた状態でボールを操作しても安定して使える。
注目のタッチスクローリングは、Webブラウザや表計算シートの閲覧時に便利だが、センサー部の反応がやや悪く、思い通りにスクロール操作するには慣れが必要だろう。できればボールを使ってスクロールする機能を用意して欲しかった。実売5000円前後と比較的安価なので、トラックボールのエントリー機として悪くない選択肢かも。
トラックボールはなにより“しゅぱーん”とさわやかな操作感。本機のボールサイズはおなじみのビリヤード玉より小さいのですが、回転抵抗感のチューニングはなるほどケンジントン製。かなり秀逸です。デスクトップで使うならマウスもトラックボールも両方接続し、“しゅぱーん”気分になったら切り替えてもいいじゃないですか。
なお、2.4GHz帯ワイヤレスと小型レシーバー(携帯時は本体に収納可能)の仕様、そして実重量156グラム(単三アルカリ乾電池2本装着時)で高さ40ミリとなれば、バッグへ忍ばせるのも苦ではない範囲ですね(愛用モバイルマウス「M555b」も携帯時実重量は115グラムある)。モバイル環境では、オサレなガラステーブルやヒザの上など、マウスでは操作しにくくなる面でもまったく関係ないわけで、それもトラックボールのいいところでしょう。願わくば、Bluetooth対応モデルもあれば……ですよ。
本体サイズやボールが小さく、手のひらを軽くかぶせると、手首が本体からはみ出す程度の大きさだ。手首の位置が安定しないため、従来製品と比べてフィット感がないと感じるかもしれない。
2ボタン+ボールというシンプルな構造で、できることはカーソル移動とスクロールのみという割り切った仕様には少し戸惑うものの、最低限必要なポイントは抑えている。もう2つぐらいボタンがあると便利だと思うが(ブラウザの進む/戻るボタンとかに割り当てたい)、モバイル用途ならば十分だろう。
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