インタビュー
» 2012年02月21日 12時18分 公開

同じUltrabookでは面白くありませんから:Let'snoteのUltrabookが「乞うご期待」な理由 (2/3)

[長浜和也,ITmedia]

PCは衰退期でしょう

“普通のことをやっていては持続的事業発展はない”という原田氏は、2012年の方針としてアジアへの展開も示している

──JシリーズでインテルのvProをサポートしなかったのを、当時の営業部門は容認できたのですか。

向坂紀彦氏(以下、向坂) もともとRシリーズは、法人向けよりコンシューマー向けでした。そういう意味で、(このクラスのノートPCが)vProに対応しない決断はしやすかったかなと思います。

──これから登場する進化系というのは、“SX”シリーズとは別の、コンシューマーにシフトしたラインアップとして登場するということですか。

原田 それは“乞うご期待”ということで。話したいのですが、いまは話せません。

──進化の系譜としては、Rシリーズの遺伝子を維持しつつ、Jシリーズで変わったものをさらに取り入れていくことになるのでしょうか。

原田 RシリーズとJシリーズが、コンシューマー向けノートPCとして評価された点や課題となった点を次のモデルで反映していきます。SX、NXといった12型ワイドディスプレイ搭載ノートPCというカテゴリーの需要は、法人が大きいようです。10型ワイドディスプレイ搭載ノートPCは、Netbookや変化球のモデルがいろいろ出ている中で、コンシューマー系に支持されていますが、法人ユーザーで数多く登場しているわけではありません。Let'snote R1が現役だった当時は、法人でも多くの需要がありましたが、12型ディスプレイ搭載モデルが出た時点で、画面が大きいほうがいいというユーザーが主流になりました。

 だから、次に手を打つとしたら、既存の法人ユーザーとは別の、新しいセグメントに投入します。あるいは、法人でも、現在12型ディスプレイ搭載モデルを使っていない業界のなかで、うまく利用場面を提案できるところを狙っていきたいです。

 現在、日本市場の景気が停滞しているので、普通のことをやっていると持続的事業発展ができる二桁の成長は望めません。単価が下がった分だけ事業全体の売り上げ金額も下がります。そこをどのようにブレイクスルーするかが重要です。これまでなら、高性能を実現するために、PCの本体に入らないだろうという通常電圧版のCPUを搭載し、Let'snoteはボンネット構造だからボディを薄くできないだろうというところを、SXシリーズで薄くしました。

 業界が衰退期に移行すると戦略を変えないといけません。PC業界という視点に立つとすでに衰退期と思います。タブレットデバイスやスマートフォンにPCはユーザーを奪われています。しかし、モバイルPCは衰退期でありません。デスクトップPCや大画面ディスプレイを搭載する大型のノートPCは衰退期かもしれませんが、モバイルPCは、タブレットデバイスとスマートフォンのカテゴリーとともに成長していくでしょう。調査会社のデータによると、新興国の需要増が支えている一面はあるものの、モバイルPCのカテゴリーは世界的に持続的な成長を維持しています。

 加えて、パナソニックはモバイルPCでは語れないセグメントも手がけています。超モバイルPCと呼ぶカテゴリーです。モバイルPCでも、机の上で使っていて帰宅するときは引き出しに入れて鍵をかけて持ち出し禁止にするような環境で、Let'snoteは必要ありません。しかし、スマートフォンと同じようにノートPCも外に持ち出すユーザーにはLet'snoteを必要とされるでしょう。このとき、スマートフォンとタブレットデバイスだけですべての作業ができるならモバイルPCは衰退します。しかし、文字入力など、モバイルノートPCでないとできない作業は普通にあります。

同じUltrabookでは面白くないからやりません

Let'snote SX1発表会でIntelのムーリー・エデン氏のメッセージが紹介された。インテルとパナソニックは開発者レベルでも強力な関係を構築して情報を交換している。このことがLet'snoteの開発に大きな影響を与えている側面もある

──UltrabookのコンセプトとLet'snoteのコンセプトは相容れない部分があると思いますが。

原田 いま店頭に並んでいるUltrabookと同じ製品をLet'snoteとしてやる予定はありません。いまあるUltrabookは、すべて何の違いもないので面白くないし、そのような状況でUltrabookをやっても、同一化競争になってしまい、事業運営としても好ましくありません。

 ユーザーから評価されているLet'snoteの価値という意味で、多少バッテリー駆動時間が伸ばせるかもしれませんが、Let'snoteが、ほかのUltrabookとは違う差別化をもち、その違いでユーザーに評価してもらう必要があります。それは、Ultrabookのパナソニック版とはなにか、ということになっていくと思います。その一方で、Let'snoteの5大条件、軽量、長時間、堅牢、高性能、そして、スタイリッシュをどう維持していくか、というところで、まだ、ストーリーが完成していません。そこでどのようなモデルを開発すればいいのか、パナソニックのUltrabookとはなんなのか、いま店頭に並んでいるUltrabookと同じものでは、ユーザーも驚かないしパナソニックでなくてもいいだろうとなってしまう。開発関係者や商品企画関係者は、その課題をどう解くか考えています。

──Ultrabookでは、ULV(Ultra Low Voltage)のCPUを搭載するのが推奨されています。

向坂 Let'snoteに搭載するCPUとしては、インテルの条件の中で使うしかありません。その中で、CPUをどう使っていくかについて、パナソニックの独自技術を導入できないかと考えています。

原田 いま、Ultrabookでは、バッテリー駆動時間を5時間、6時間、7時間と書いていますが、それと同じことをLet'snoteでやってもしょうがありません。ULVのCPUは以前パナソニックでも多数採用していて、インテルでもパナソニック用にULVのプロジェクトが存在していたほどです。今でも、そのときの技術がたくさん残っています。運命共同体のような技術のコラボレーションとという部分がULVのプロジェクトではありましたし、それが、インテルとの戦略的関係というものでした。

──Let'snoteにULVのCPUを搭載することは、Let'snoteのコンセプトに反することではないと。

原田 反することではありません。インテルのCPUでULVのCPUがでてきたら、それをどのように利用するかが問題で、ほかのメーカーを同じことをやってしまうと、Let'snoteの価値はなくなってしまうのです。幸い、パナソニックの開発部門はインテルとハイレベルな技術で話ができる環境にあるので、ほかとの差別化に自信をもっています。

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