USBレシーバをPCに接続すれば、ドライバが自動でインストールされて使えるようになる。実際に握ってみると、なるほど握りやすくタッチセンサーを利用したスクロール操作も快適だ。進む/戻るの操作に関しては、指1本分くらいの距離を動かすと反応するが、誤作動防止のため指をゆっくり動かしても反応しない仕様になっている。
曲線状のボディは、天面だけではなく側面も丸みを帯びているなど、角張った部分を極力排除しており、多少強く握っても痛みを感じることはない。ボディの重さは112グラム(乾電池2本の場合)と重いイメージがあったが、重心が中央より後ろにあり先端が軽いため、思ったより軽い力でもマウスを動かせた。ボディの表面の触り心地も非常によく、触っていて気持ちがいい。
なお、M600は同社のオリジナルソフト「Flow Scroll」をサポートしており、インストールすることで慣性スクロールに対応する。慣性スクロールは滑らかで、スマートフォンやタブレットでのスワイプ操作のような感覚でWebサイトをスクロールできた。また、左右対称のボディを採用していることもあり、ロジクールのサイトから専用ソフト「Set Point」をインストールすれば、左右の操作を入れ替えが可能となり、左利きの操作にも対応する。
この製品は、同種のタッチセンサー搭載マウスである日本マイクロソフトの「TOUCH MOUSE」やアップルの「Magic Mouse」よりも対応する機能が少ない。TOUCH MOUSEであれば、指2本でのウィンドウの最大化/最小化や、指3本でのウィンドウの一覧表示が行えるし、Magic Mouseも指2本での動きに対応する。その点、M600は指1本のジェスチャーのみで、機能もスクロール、ズーム、進む/戻るの3種類しかない。
だが、シンプルなぶん完成度は高く、使いやすいのは確かだ。多機能を目指すよりも、あえて機能を絞り、使いやすさやユーザー体験を重視したロジクールの姿勢が見て取れる。
価格は、同社直販サイト“ロジクールオンラインストア”で6280円(税込み)と、定価で考えれば、同種のタッチセンサー搭載マウスであるTOUCH MOUSE(7980円)やMagic Mouse(6800円)に比べて多少安いものの、一般的なワイヤレスマウスに比べれば高いのは否めない。だが、導入すればPCでの作業全般が快適になるだろう。仕事でマウスを使う作業が多いという人から、だらだらとWebブラウジングをしたい人まで、多くの人にぜひ一度、M600の“心地よい操作感”を味わってもらいたい。
平ぺったいボディは、モバイル用としてバッグへ忍ばせておくのに都合がよい。2本バッテリーで長期間動作、1本バッテリーで軽量化、どちらか選べるのもモバイル用にうれしい仕様だ。個人的には愛用M555bのアトガマとして、何も差さずに使えるBluetooth対応モデルが出たら即買い必至である。
高さを抑えた流線型のフォルムは、手のひらに心地よいフィット感をもたらしてくれる。底面の滑りもよく、マウスの基本的な使い勝手は良好だ。慣性スクロール機能もまずまずで、指の移動に対してイメージに近い反応をしてくれることが多い。
一方、ロジクールは「シルキーで滑らかな触感」をうたっているが、表面は樹脂の光沢仕上げとなっており、移動させる指が若干もたつく。競合機種に比べてタッチジェスチャー機能をシンプルにまとめているおかげで、スクロールやスワイプの操作は難なくできるものの、絹のごとき滑らかさ、というレベルとは少し距離を感じた。
ライバルとの差異化や価格帯を考えると、外装も含めてもうワンランク上の触感を追求してほしかったところではある。
マイクロソフトやアップルのタッチセンサー搭載マウスと比べると、機能は少ないが、ウィンドウの最大化や最小化などすべての機能を使いこなしている人は案外多くないはずだ。機能を絞り、ページの進む/戻るに特化したことで、タッチセンサー搭載マウスの入門機としてオススメできる製品となっている。
ただ、6000円という価格は少々手が出しにくい。実売で4000円前半くらいまで下がってくれれば……と思わずにはいられない。
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