「2012年はWindowsの1年になる」
米Microsoftのスティーブ・バルマーCEOはこのように述べ、講演を始めた。Windows 8の登場はPCに加え、タブレットやスマートフォンなど、多くの市場に影響を与えるということで「Microsoftはもちろん、多くのパートナー企業にとってもチャンスの1年になるだろう。Windows搭載PC/タブレットの出荷台数は年間で約3億5000万台と、強固な基盤があり、アプリケーションも多い。パートナーの皆さんに大きなビジネスチャンスを提供することができる」とアピールした。
その後、バルマー氏は今後注力するテクノロジー分野として機械学習、ユーザーインタフェース、クラウド、コアプラットフォーム、新たなシナリオの5つを挙げた。

OS以外にも、2011年に買収したSkypeを筆頭に、OfficeやBing、Windows AzureなどMicrosoftが手がけるビジネスの分野は広い(写真=左)。Microsoftが注力するテクノロジーの分野(写真=右)機械学習については、ビッグデータ分析のほか、ジェスチャーの認識など入力方法も多彩になると説明。ユーザーインタフェースについては、音声入力の可能性や、タッチデバイス(マウスやペンなどのハードウェアデバイスも含め)などは今後さらに進化するとバルマー氏は述べる。
“新たなシナリオ”というのは、新たなユーザー体験を生むことを指す。バルマー氏は2011年にSkypeを買収したことに触れ「相手の顔を見て電話をすること、離れた相手とバーチャル会議を行うといった、人々が夢見たシナリオを実現していくことに、ビジネスのチャンスがある。今後、音声や映像によるコミュニケーションが対面のコミュニケーションと同様の感覚で行える時代が来るだろう」と語り、今後もイノベーションを起こしていくとアピールした。
日本では東京都調布市に日本マイクロソフトの開発拠点があるが、バルマー氏は「私がMicrosoftに入社した1980年当時は、多くのイノベーションが日本のパートナー企業から起こった。日本で生まれた優れたアイデアを世界に輸出していくことを期待する」と日本企業の活躍に期待を寄せた。


日本マイクロソフト業務執行役員本部長の藤本恭史氏がWindows 8のデモを行った。デモの内容は、CharmメニューやMicrosoft Dynamics CRMなど、2012年4月に開催したWindows開発者カンファレンス「Windows Developer Days」で行われたものとほぼ同じだったもちろん、PCなどのハードウェアについても日本企業に寄せる期待は大きい。バルマー氏は「Windows 8がプリインストールされた、わくわくするような新しいハードウェアを作ってもらいたい。2012年の後半には、Windows 8がプリインストールされた製品が世の中に出回るだろう」と述べ、「これまで25年以上、Windowsは多くのパートナーに支えられてきた。これからの25年間も皆様とお付き合いしていきたい」とパートナー各社に支援を呼びかけ、講演を締めくくった。
質疑応答では、日本マイクロソフト代表執行役社長の樋口泰行氏がバルマーCEOに質問。会場にいるパートナー企業を意識した質問が多いなか、「Windows 8が我々の生活をどのように変えるか?」という質問に対してバルマー氏は「世界全体がデジタルになりうる。私のオフィスはホワイトボードや電話などを撤去し、81型ワイドディスプレイのPCを導入した。ペンによる記録もタブレットを用いて行うようになり、クラウドとの連携で生産性が向上した」と、Windows 8の導入によって個人の生産性が変わると強調した
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