ゲーミングPCじゃないのにすっごく速い!! 格安17.3型ワイドノート「MB-W900S-SH」の実力げこくじょーか(1/2 ページ)

» 2012年09月28日 12時15分 公開
[後藤治(撮影:矢野渉),ITmedia]

まさに下剋上(げこくじょう)の「m-Book W」シリーズ

「m-Book W」シリーズ

 「デスクトップPCの代わりに使えるハイパフォーマンスなノートが欲しい」、そんなニーズにぴったりな製品が、マウスコンピューターの17.3型ノートPC「m-Book W」シリーズだ。同社が展開するハイエンドノートといえば、ゲーム用途に特化した「G-Tune」が広く知られているが、この「m-Book W」は、それらに肩を並べる“ハイスペ”仕様でありながら、価格は8万円台(Web限定)からという、非常に高いコストパフォーマンスを誇る。特に今回紹介するスタンダードモデル「MB-W900S-SH」は、今だけ(原稿執筆時)の無料アップグレードによって、かなりお買い得なモデルになっているのだ。

 MB-W900S-SHの基本スペックを見てみると、CPUにCore i7-3610QM(2.3GHz/3.3GHz)を採用し、メモリは大容量の12Gバイト(PC3-12800)、ストレージは120GバイトSSD(システム用)+500GバイトHDD(データ用)、光学ドライブはBlu-ray Discという構成になっている。また、外付けグラフィックス機能として、NVIDIAのGeForce GTX 660Mも搭載。フルHD(1920×1080ドット)表示に対応した液晶ディスプレイは、ノートPCで最大級クラスの17.3型ワイドだ。

CPU-ZとGPU-Zの画面。Turbo Boost時に最大3.3GHzで動作するクアッドコアCPU「Core i7-3610QM」と、NVIDIAのモバイル向け最新GPU「GeForce GTX 660M」を採用する

 こう眺めただけでも、スタンダードモデルというよりはハイエンドに近い構成だが、MB-W900S-SHは、ここからさらにCPUとストレージのアップグレードが無償で適用される(原稿執筆時)。具体的には、CPUがワンランク上のCore i7-3630QM(2.4GHz/3.4GHz)に強化され、データ用ドライブの512GバイトHDDが1Tバイトに増量される。下に挙げた表を見れば分かるように、以前レビューしたG-Tuneブランドの15型モデル(NEXTGEAR-NOTE i400GA1)と並べても、見劣りするどころか上回っている部分が多い。それでは早速レビューしていこう。

製品名 MB-W900S-SH NEXTGEAR-NOTE i400GA1
CPU Core i7-3630QM(2.4GHz/3.4GHz) (注1) Core i7-3610QM(2.3GHz/3.3GHz)
メモリ 12GB(PC3-12800) 16GB(PC3-12800)
HDD 120GB SSD+1TB HDD (注2) 128GB SSD+500GB HDD
グラフィックス GeForce GTX 660M(2GBメモリ) GeForce GTX 650M(2GBメモリ)
液晶ディスプレイ 17.3型ワイド(1920×1080ドット) 15.6型ワイド(1920×1080ドット)
OS 64ビット版Windows 7 Home Premium 64ビット版Windows 7 Home Premium
価格 10万9830円(Web限定価格) (注3) 9万9750円
(注1)Core i7-3610QM→Core i7-3630QMに無償アップグレード適用後 (注2)500GバイトHDD→1TバイトHDD無償アップグレード適用後 (注3)11万9700円→10万9830円Web限定値下げ適用後

グレーで統一したシンプルな外観

天板は細かいヘアライン風の加工が施されている

 MB-W900S-SHのボディは、配色をグレーで統一したシンプルなデザインだ。天板はかすかにヘアライン加工が施され、樹脂の外装ながら金属的な質感を与えている。パームレスト部も細かいラメが入っており、質感はアルミニウムやマグネシウム合金に劣るものの、安っぽさは感じない。大画面の液晶ディスプレイを搭載するため、本体サイズは413(幅)×277.5(奥行き)×17.5〜44(高さ)と非常に大柄で、厚みもある。もっとも、デスクトップPCの代替機として考えれば、使わないときにしまっておける分、デスクトップPCに比べて省スペース性では有利といえる。

1920×1080ドット表示に対応した17.3型ワイド液晶ディスプレイを搭載

 1920×1080ドット表示に対応した17.3型ワイド液晶ディスプレイは、デスクトップ領域が広く、Webブラウザやオフィス系ソフトなどとの相性がよいほか、文字やアイコンの大きさも十分で視認性が高い。パネル表面の光沢処理によって、デジタルカメラで撮影した写真などがくっきりと表示されるのも好印象だ。視野角は広くないが、画面は明るく、蛍光灯下のオフィスであれば輝度を半分くらいに下げても問題なさそうだ(明るさの設定は8段階)。ただ、画面を単一色で全画面表示すると、4隅で若干輝度が落ち込み、左右両端にはわずかながら光もれも見られた。

 キーボードは、キーピッチを19ミリでそろえたテンキー付きの日本語103キーが搭載されている。キートップは15ミリ正方で、ストロークも2ミリを確保。かなり強めにタイプしてもボディ全体が沈んだりはせず、打ちやすい部類だ。ただ、ボディサイズに比べてタッチパッドの入力域は34(幅)×17.5(高さ)ミリとやや狭い。その分、左右のクリックボタンはタッチパッドから独立しており、クリック感は申し分ないのだが、デザイン面の配慮からか、パッドがボディのほぼ中央にレイアウトされているのが気になった。キーボードのホームポジションとパッドの入力域にずれがあるため、文字入力時に右手の親指のつけねがパッドに触れてしまい、誤作動することがある。頻発する場合は、マウスのプロパティから「パーム測定」の値を最大側に調整しておくといいだろう。なお、タッチパッドドライバには、ELANのSmart-Padが採用されている。

キーボードは10キー付きのアイソレーションタイプ。キーピッチ19ミリ、キーストローク2ミリを確保する(写真=左)。タッチパッドドライバはELANのSmart-Padで、パッドのエッジを使ったスクロールや2本指での拡大/縮小なども可能。タッチパッドとホームポジションの位置関係から誤動作しやすい場合は、パッドの感度を下げておくとよい(画面=右)

 インタフェースは、本体左側面に光学ドライブとヘッドフォン、マイク、光デジタル音声出力、USB 2.0が並び、右側面にメモリカードスロット(SDメモリーカード/メモリースティック/マルチメディアカード)と3基のUSB 3.0、HDMI出力、ギガビットLANを、背面側にアナログRGBとAC入力を装備する。使用頻度が高い端子を手前に、有線LANや映像出力を側面奥や背面に置く練られたレイアウトだ。

本体前面/背面

本体左側面/右側面

 このほか、無線機能としてIEEE 802.11b/g/n対応無線LAN機能と、Bluetooth V4.0+LE を、液晶上部には200万画素Webカメラも内蔵する。なお、外付けGPUのGeForce GTX 660Mと、CPU内蔵のIntel HD Graphics 4000とは、NVIDIAのOptimusテクノロジーによって自動的に切り替わる仕様だが、MB-W900S-SHはキーボード右奥にVGAボタンを搭載しており、ワンプッシュでGPUを切り替えられる(もっとも、このマシンの性質上、モバイル時にバッテリーを温存するため内蔵GPUに切り替える、といった用途はなさそうだが)。また、キーボード左には無線LANのオン/オフやミュート、Webカメラのオン/オフ専用ボタンも用意されている。

 ちなみに、本体底面のカバーを外すことで、CPUやメモリ、ストレージにアクセスできる。3基あるメモリスロットは、3枚の4Gバイトモジュール(PC3-12800)ですべて埋まり、評価機の構成ではHDDベイも2つとも使用されているが、将来的に各パーツを換装するのも比較的簡単だろう。バッテリー容量は14.8ボルト/5200ミリアンペアで、公称約3時間のバッテリー駆動が行える。もっとも、本体とACアダプタをあわせると4キロを超えてしまう本機では、簡易UPSが搭載されている程度の意味しかないだろう。

キーボード右奥のVGAボタンで、外部GPUとCPU内蔵GPUを切り替えられる。どちらのモードで動作しているかは、LEDの光かボタン右にあるインジケータの点灯状況で判別できる(写真=左)。本体底面から各種コンポーネントにアクセス可能。メモリやストレージの換装は容易だ(写真=中央)。ACアダプタのサイズは23(幅)×66(奥行き)×17(高さ)ミリ、重量は901グラム(電源ケーブル込み)と、巨大でかなり重い。本体とあわせて4キロを超えるため、持ち運ぶ気にはならないだろう(写真=右)

マウスコンピューター/G-Tune
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