9980円の7型タブレットは買いなのか?――「DOSPARA TABLET」実力診断Androidタブレットの低価格化もここまで来た(2/3 ページ)

» 2012年12月10日 18時45分 公開
[鈴木雅暢(撮影:矢野渉),ITmedia]

CPU/GPUはともにデュアルコア、7型タブレットとしては充実の装備

ストレージ容量が8Gバイトのため、デフォルトの空き容量は6Gバイト以下と少ないが、microSDメモリーカード(SDHC対応)で増やすことができる

 システムの中核となるSoC(System On Chip)は、Amlogic 8726-M6を採用している。Cortex-A9(1.5GHz)のCPUコアと、Mali-400のGPUコアを2つずつ統合した構成だ。Webブラウズや電子書籍の閲覧はもちろん、動画コンテンツの視聴も問題ない。

 メモリは1Gバイト、ストレージは8GバイトのNANDフラッシュメモリを内蔵する。標準の8Gバイトというストレージ容量は物足りないが、32GバイトのmicroSDHCに対応したカードスロットを備えているため、ユーザーが自由に増設できる点は見逃せない。スロットのないNexus 7やiPad miniに対しては、むしろアドバンテージがあるといえる。

 通信機能はIEEE802.11b/g/nの無線LANのみで、Bluetoothは内蔵しない。搭載センサーも加速度センサーとジャイロスコープのみと最小限で、GPSは非搭載だ。この辺りは思い切って割り切った仕様だが、7型クラスのタブレットの機能としてBluetoothやGPSの優先順位は低いユーザーのほうが多いと思われる。あるに越したことはないだろうが、割り切る機能の選択としては妥当ではないだろうか。

IPS方式の7型ワイド液晶ディスプレイを搭載

 7型ワイド液晶ディスプレイは、静電容量式タッチパネルによるマルチタッチ操作に対応する。液晶パネルは広視野角のIPS方式を採用しており、表面は光沢仕上げだ。画面解像度は1024×600ドットで、画素密度は約170ppiと標準的な仕様といえる。

 明るさ、発色は低価格のタブレットとしてはなかなか健闘しており、液晶ディスプレイを一見しただけでは、安物という印象はまったく受けない。広視野角パネルの採用もあり、横位置表示と縦位置表示で視認性が変わることはなく、文書、写真、動画のいずれも見やすかった。

(※2月21日追記)液晶ディスプレイの仕様について、販売元のドスパラより、カタログスペックに記載した「IPS方式」ではなく「TN方式」であるとの訂正がありましたが、同リリースで触れられているとおり、編集部で評価した検証機はIPS方式でした。


1024×600ドット表示の7型ワイド液晶ディスプレイ(写真=左)。高輝度ではないが、明るい室内で十分視認できる輝度を確保している。安価な製品ながら、広視野角パネルをきちんと採用しており、縦位置表示でも視認性は変わらない(写真=右)

 Webブラウザに関しては、画面解像度が1024×600ドットとXGA(1024×768ドット)未満なので、横位置で見ると縦方向の情報量が少なく、やや狭く感じる。もっとも、画面を一覧したくなるような場面は、マーケットなどでコンテンツを選ぶときなどに限られるだろう。縦位置にすれば縦長のWebページは一覧性が高まるし、拡大/縮小操作のレスポンスも良好なので、スペックほどは不便に感じない。

 細かい部分では、液晶パネルと表面ガラスとの距離が若干遠く、斜め方向から見ると少しその差が気になる。タッチ操作の際にも、そのギャップからセンサーとの位置がズレやすく、小さめのボタンなどは少し意識して触れないとミスしやすい印象を受けた。また、最近のタブレットとしては指紋も比較的付きやすく、輝度を少し下げて使うと目立ってくる。

 価格が2倍以上もする、製造コストをかけたAndroidタブレットやWindowsタブレットの中には、液晶ディスプレイやタッチパネルの品質面で細かい部分まで気を使って設計されている製品が多く、それらにかなわない面は当然あるが、価格まで考慮すると十分納得できるレベルではないだろうか。

表示解像度が1024×600ドットのため、Webブラウザを横位置で使うとかなり狭い。ソフトウェアキーボードを表示させるとコンテンツはほとんど見えない状態になる(画面=左)。日本語入力アプリは定番の「Simeji」がプリインストールされている。標準搭載されるアプリマーケット「Tapnow Market」のホーム画面も、横位置では一覧できる情報が少ない(画面=右)

縦位置表示ではフリック入力の日本語キーボードを出したまま、コンテンツの内容も小さく表示して確認できる(画面=左)。Tapnow Marketマーケットも縦位置のほうが情報量が多い(画面=右)

Android 4.1を採用、Google Playには非対応

 OSには、開発コード名「Jelly Bean」ことAndroid 4.1を採用している。プリインストールのアプリはシンプルで最小限の内容となっており、5ページにまたがるホーム画面は2ページだけにアイコン、時計と設定用のウィジェットが並ぶ。特別な付加機能などはないが、すっきりと整理されて分かりやすいホーム画面といえる。

デフォルトのホーム画面。2画面しか使用されておらず、最小限のアイコンのほか、時計と設定用のガジェットが置いてあるだけだ

デフォルトのアプリ一覧。Google Playは搭載していない

 注意したい点は、Google Playを利用できないことだ。アプリの入手やインストールは、別のマーケットストアか、アプリの「apk」ファイル自体を別途入手して行う必要がある。標準のマーケットストアアプリとしては「Tapnow Market」が導入されているほか、アプリのバックアップができるファイルマネージャ「ESエクスプローラー」も導入されており、ここはフォローがみられる。

 Tapnow Marketからは電子書籍やアプリを入手してインストールできるが、Android最大のマーケットであるGoogle Playと比べるとアプリの数はやはり少ない。スマートフォンなどGoogle Play対応の別のAndroid端末を経由することで、多くのapkファイルは入手できるだろうが、アプリのライセンスの問題もあり、オンラインで認証を行うアプリなどはダウンロードした端末でしか利用できない場合も少なくない。

 自分で情報を収集して手間をかければ、自己責任でAndoridタブレットとしてたいていのことはできるようになるだろうが、Google Playストアに対応しないことで、用途によっては通常のAndroidタブレットより高いユーザースキルも必要になる。その辺りは割り切りが必要だ。

デフォルトでアプリが導入されているTapnow Marketからアプリや電子書籍などが入手できる。アプリの充実度はやはりGoogle Playには及ばない。「動画」というメニューもあるが、これは映画などのレンタルサービスではなく、YouTubeなどの無料動画を検索するものだ

使い勝手のよさに定評のあるファイルマネージャアプリ「ESファイルエクスプローラー」がプリインストールされている。アプリのバイナリ(apkファイル)を任意の場所に保存しておけるバックアップ機能もある

多機能なタスクマネージャソフト「ESタスクマネージャー」(画面=左)、アプリをバイナリから一括インストールできる「AppInstaller」(英語版)もプリインストールされている(画面=右)

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2024年03月29日 更新
  1. ミリ波レーダーで高度な検知を実現する「スマート人感センサーFP2」を試す 室内の転倒検出や睡眠モニターも実現 (2024年03月28日)
  2. Synology「BeeStation」は、“NASに興味があるけど未導入”な人に勧めたい 買い切り型で自分だけの4TBクラウドストレージを簡単に構築できる (2024年03月27日)
  3. ダイソーで330円の「手になじむワイヤレスマウス」を試す 名前通りの持ちやすさは“お値段以上”だが難点も (2024年03月27日)
  4. 「ThinkPad」2024年モデルは何が変わった? 見どころをチェック! (2024年03月26日)
  5. ダイソーで550円で売っている「充電式ワイヤレスマウス」が意外と優秀 平たいボディーは携帯性抜群! (2024年03月25日)
  6. 日本HP、個人/法人向けノート「Envy」「HP EliteBook」「HP ZBook」にCore Ultra搭載の新モデルを一挙投入 (2024年03月28日)
  7. 次期永続ライセンス版の「Microsoft Office 2024」が2024年後半提供開始/macOS Sonoma 14.4のアップグレードでJavaがクラッシュ (2024年03月24日)
  8. サンワ、Windows Helloに対応したUSB Type-C指紋認証センサー (2024年03月27日)
  9. 日本HP、“量子コンピューティングによる攻撃”も見据えたセキュリティ強化の法人向けPCをアピール (2024年03月28日)
  10. あなたのPCのWindows 10/11の「ライセンス」はどうなっている? 調べる方法をチェック! (2023年10月20日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー