モバイル/ワイヤレスの専門展示会「ワイヤレスジャパン2013」で、無線接続/無接点にて給電できる“ワイヤレス電力伝送/ワイヤレス給電”の展示が盛んに行われている。
ワイヤレス給電は、すでに国内でも「Qi」規格でスマートフォン/モバイルバッテリーなどに採用され、普及してきている。Qiはワイヤレスパワーコンソーシアム(WPC)により標準規格化され、電磁誘導方式のコイルを用いて最大5ワットの電力をワイヤレスで供給可能。「Qi」マークが付与された機器であればどのメーカーの機器+充電器でも置くだけで充電できる特徴を持つ。
一方で、より消費電力量の多いノートPCなどには出力が足りず、Qi対応ノートPCはまだ実現できていない(今後、30〜120ワットのハイパワータイプの規格化も進めているとしているが)。
Qiに並び、モバイル機器向けのワイヤレス給電技術としてアピールするのが「WiPower」だ。
WiPowerは、Qualcommらを中心としたAlliance for Wireless Power(A4WP)が2013年1月に承認した規格。Qiと同様にスマートフォン、タブレットなどでは“置くだけ充電”が可能、さらにQi比で、
の点が優れるとうたう。Qualcommが参考展示したWiPowerデモ機は、6.78MHz帯を用いる仕様で、50ワットの出力まで対応する。50ワットの出力があれば、昨今のモバイルノートPCクラスであれば十分まかなえる範囲だ。さらに給電機器を薄くでき、かつ10センチほど離れても認識できる特徴により、今ある木製テーブルの下に後付けすることも容易。喫茶店やファミリーレストランといった店舗や公共の場所へ導入し、集客ツールの1つにする事例の広がりも見込まれる。Fukunishiが展示したICカード認証で課金管理ができる「公衆電源コンセントシステム」などと組み合わせるのもアリだろう。
LTE/WiMAXなどのモバイルデータ通信サービス、公衆無線LAN(Wi-Fi)サービスの普及により、外出先でも「インターネット接続環境の確保」はとても容易になった。ただ「電源の確保」はそれと比べるとまだ難しい。機器の省電力化を推進してバッテリー動作時間が伸びてくれることはもちろんだが、ワイヤレス給電の普及も「バッテリーの不満」が解消されるであろう1つのポイントになるといえそうだ。
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