第5回 ThinkPadの「7段配列キーボード」が表現していたこと:ThinkPad X1 Carbonロードテスト(1/2 ページ)

» 2013年07月02日 17時00分 公開
[鈴木雅暢,ITmedia]

「7段配列」キーボードの正体

photo ThinkPadシリーズでかつて採用していた「7段配列キーボード」

 ThinkPad伝統の7段配列キーボード……こんな風なことを最初に言い出したのは誰なのだろう。少なくとも、16年ほど前、筆者がこの業界に入った時にはすでにThinkPadのキーボードに対する定番の表現として定着していたと思う。

 クラシックThinkPadが7段キーボードをやめたことについては、ここ1〜2年ほど、さまざまなところで語られている。一新したこと自体にそれほど異論はない。しかし、どこを見てもどうしてももやもやした感じがつきまとう。「配列自体に特に思い入れはないが、7段配列へのこだわりや7段配列を否定されると何だかね」……そんなもやもやを感じている人もいるのではないだろうか。


photophoto トップカバーの開閉に連動する「バラフライキーボード」を搭載するThinkPad 701C。フルサイズキーボードへの執念を感じる名機だ(写真=左) ThinkPad 600E。ThinkPad 600シリーズはThinkPadのキーボードのクオリティを広く知らしめた伝説の名機として知られる(写真=右)

 筆者もそうだ。何か7段にこだわるのは過去を引きずっている古い人間、時代に適応できない人種、そんな風に言われているような気がしてならない時があるのだが、そんな空気には全力で反発したい。しかし、自分としても配列そのものには特にこだわりはない。それでもやはり、無性に腹立たしいこの感情は何か。その答えは、ThinkPadにおける「7段配列」は単にキーボードの配列だけを表している言葉ではなくなっているからだ。

 筆者の解釈では、7段配列キーボードという言葉が表現していたものは「配列」のみではなかったと思うのである。もちろん、配列そのものに価値を見出していた人がいなかったわけではないだろうが、決してそれだけではない。配列、タッチ感、小型モデルでも変わらぬ均等ピッチ(その後そうではなくなったが、変則キーボードが横行していた時代には意義があった)、そしてバタフライキーボードのようなものまで作ってしまう偏執的なまでのこだわり、それらすべてひっくるめて「ThinkPadのキーボードへのこだわり」を表現する言葉であり、象徴であり、看板のような存在であったのではないかと思うわけである。

 7段配列神話のようなイメージができているのも、それだけThinkPadのキーボードに特別なこだわりを感じるものであったからだ。それを捨てた意味は軽くない(いまだに筆者のように一言もの申したい人間が出てくることでも影響の大きさは伺いしれよう)。

photophoto 近年の名機ThinkPad X300。上質なキーボードの搭載に加えて、携帯性に優れた薄型のフォームファクタ、SSDによる快適なレスポンスと、5年前当時からすでに現代のUltrabookに近いエクスペリエンスを実現していた(写真=左) ThinkPad X300の7段配列キーボード(写真=右)。改めてみると実に美しい。ちなみに状態が良いのは、使わなくなった後にキーボードのみ取り寄せて新品に交換しているからである
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