注目「キーボード付きWindowsタブレット」4モデル、徹底十番勝負実は10型サイズがちょうどいい(5/6 ページ)

» 2013年08月19日 16時00分 公開
[鈴木雅暢(撮影:矢野渉),ITmedia]

チェックポイント<8>:基本スペックとパフォーマンス

 基本スペックをチェックしよう。IdeaPad Miix 10とICONIA W510D-2は、PCとしての基本スペックはほぼ同じだ。というより、Androidタブレット並のボディでWindows 8を動作させるには、2013年8月現在はインテルのAtom Z2760を使うより選択肢はなく、その制限により必然的に基本スペックはほぼ同じになったという感じだ。

 Surface RTは、SoC(System On Chip)にARMアーキテクチャベースのNVIDIA Tegra 3を搭載し、OSにはARM版Windows 8であるWindows RTを搭載している。省電力性能に定評のあるARMアーキテクチャがベースのためにボディを小型薄型化しやすい利点はあるが、Windows RTはWindows 8と完全に互換性がなく、プリインストールされるOffice 2013 RTのほかは、ARM対応のWindowsストアアプリしか利用できないというかなり大きな制限がある。これまでのWindows PCで使っていたソフトウェアは基本的に動作しないので、こちらは注意してほしい。

 最もハイスペックなのはSurface Proだ。CPUは第3世代Core i5-3317U、4Gバイトのメインメモリ、128Gバイトまたは256GバイトのSSDと、一般的なUltrabook並のスペックを持つ。前述したAtom Z2760も、Windows 8でのWebブラウズやOfficeスイートを含む基本的な業務操作ならストレスなく実施できる実力はあるが、やはりCore i5搭載マシンの快適度は1枚も2枚も上である。OSもAtom Z2760搭載モデルでは(64ビット版非対応のため)搭載できない64ビット版のWindows 8 Pro(ビジネスシーン向けのエディション)をプリインストールしている。ただし2013年8月現在、すでにより電力効率に優れた第4世代のCore iシリーズが登場しており、世代としては1つ前のCPUであることは指摘しておきたい。

 パフォーマンス差はどのくらいか。ベンチマークテストの結果は以下の通りだ。

PCMark7 1.4.0 ICONIA W510D IdeaPad Miix 10 Surface Pro Surface RT
PCMarks 1403 1420 4490
LightWeight Score 933 943 3093
Productivity Score 595 568 2275
Creativity Score 1017 993 3110
Entertainment Score 2848 2977 8848
Computation Score 3235 3210 14297
System Storage Score 2985 3099 5167
Raw system Storage Score 754 929 4515

photo PCMark7 1.4.0の結果

WinSAT Formal ICONIA W510D IdeaPad Miix 10 Surface Pro Surface RT
CPU LZW圧縮 (MB/s) 68.63 68.7 206.66 92.12
CPU AES256暗号化 (MB/s) 23.02 23 99.58 30.93
CPU Vista圧縮 (MB/s) 270.82 267 551.5 219.57
CPU SHA1ハッシュ (MB/s) 197.98 197.9 807.09 277.57
ユニプロセッサ CPU LZW圧縮 (MB/s) 26.55 26.42 85.72 22.59
ユニプロセッサ CPU AES256暗号化 (MB/s) 7.41 7.41 52.26 7.67
ユニプロセッサ CPU Vista圧縮 (MB/s) 94.81 94.65 209.89 55.82
ユニプロセッサ CPU SHA1ハッシュ (MB/s) 80.67 80.72 358.35 71.37
メモリのパフォーマンス (MB/s) 3378.69 3488.1 21347.32 1030.14
Direct 3D Batchのパフォーマンス (F/s) 45.47 45.86 229.66 49.12
Direct 3D Alpha Blendのパフォーマンス (F/s) 45.75 46.37 227.58 47.56
Direct 3D ALUのパフォーマンス (F/s) 12.78 12.49 84.66 11.07
Direct 3D Texture Loadのパフォーマンス (F/s) 8.41 8.29 84.89 7.83
Direct 3D Batchのパフォーマンス (F/s) 0 0 221.8 0
Direct 3D AlphaBlendのパフォーマンス (F/s) 0 0 226.19 0
Direct 3D ALUのパフォーマンス (F/s) 0 0 81.89 0
Direct 3D Texture Loadのパフォーマンス (F/s) 0 0 80.26 0
Direct 3D Geometryのパフォーマンス (F/s) 0 0 136.91 0
Direct 3D Geometryのパフォーマンス (F/s) 0 0 261.5 0
Direct 3D constant Bufferのパフォーマンス (F/s) 0 0 140.62 0
ビデオメモリのスループット (MB/s) 2113.44 1775.26 4909.94 1380.04
Dshowビデオエンコード時間(s) 10.31065 10.29136 2.86899 -
メディアファンデーションデコード時間 (s) 0.40176 0.50176 0.65463 0.63629
Disk Sequential 64.0 Read (MB/s) 40.52 64.96 494.23 30.98
Disk Random 16.0 Read (MB/s) 21.41 31.62 343.77 18.28

photophotophoto
photophotophoto WinSAT Formalの結果

 PCMark7には動画エンコードやゲームなども含まれているが、日常的な動作状況にテストを絞ったLightweight scoreでも、Surface ProはIdeaPad Miix 10とICONIA W510D-2の約3倍のスコアをマーク。体感値としてもこれくらいの差はあると感じる。WinSATでSurface RTとIdeaPad Miix 10、ICONIA W510D-2の値を比べると、得意不得意の差は多少あるが、同レベルといっていいスコアとなっている。

 このほか、IdeaPad Miix 10はAtom Z2760搭載Windows 8タブレットとしてはストレージ性能がよい傾向だ。WinSATのDisk Sequential 64.0 Read、Disk Random 16.0 Readや、PCMark7のSystem Storage scoreなど、いずれもICONIA W510D-2よりワンランク上の実力を持っていた。ストレージの性能は体感性能に効く場面が多いため、わずかだがIdeaPad Miix 10を上に評価した。


基本仕様とパフォーマンス ICONIA W510D IdeaPad Miix 10 Surface Pro Surface RT
CPU Atom Z2760(1.8GHz) Atom Z2760(1.8GHz) Core i5-3317U(1.7GHz/最大2.6GHz) Tegra 3(1.4GHz)
メモリ 2Gバイト 2Gバイト 4Gバイト 2Gバイト
SSD 64Gバイト(eMMC) 64Gバイト(eMMC) 128Gバイト/256Gバイト 32Gバイト/64Gバイト
OS 32ビット版Windows 8 32ビット版Windows 8 64ビット版Windows 8 Pro Windows RT
点数 ★★★★★☆☆☆☆☆
(5.5)
★★★★★★☆☆☆☆
(6)
★★★★★★★★★★
(10)
★★★★★☆☆☆☆☆
(5)

チェックポイント<9>:バッテリー動作時間

 バッテリー動作時間はどうか。

 各モデルのカタログ値は以下の表にまとめた。Windows 8搭載の3モデルについては、bbench 1.01(海人氏・作)を用い、統一した設定(60秒ごとにWebサイト巡回、20秒ごとにキーストローク、802.11n無線LANで接続、Bluetoothオン、電源プラン:バランス、ディスプレイの輝度は40%固定)で測定した。

 残量5%で休止状態に入るまでの動作時間は、IdeaPad Miix 10とICONIA W510D-2が8時間以上動作し、かなり優秀。一方、Surface Proは4時間半弱だった。ディスプレイの解像度、そしてAtom Zより消費電力の多い第3世代Core i5を搭載することから基本システム的にもバッテリー動作性能に影響があることはある程度予想できたことだが、昨今、モバイル利用において4時間程度では少し不安かもしれない。ACアダプタも携帯するとなると、その分持ち運び時の重量もかなり増えてしまう。

 Surface RTは、無線LANで常時接続し、Bluetoothオン、電源プランは「バランス」を利用し、バッテリ駆動時のディスプレイの輝度は40%の設定をしたうえでYouTubeにアクセスし、約3分間強の720p動画をフルスクリーン表示で連続再生させ、バッテリー消費の経過を見た。こちらは残量5%で約8時間半だった。同時にIdeaPad Miix 10でも検証したが、ほぼ同じ経過状況だったので、8時間クラスを実現する3台は実利用時も同レベルの動作時間が得られるとみていいだろう。


バッテリー ICONIA W510D-2 IdeaPad Miix 10 Surface Pro Surface RT
バッテリー容量 27Wh 非公開 42Wh 31.5Wh
バッテリー動作時間カタログ値 約9時間/約18時間(キーボードドック装着時) 約10時間 非公開 約8時間
bbench 1.01で計測した実測値 8時間33分 8時間21分 4時間27分
YouTube 720動画連続再生時の実測値 8時間23分 8時間38分
点数 ★★★★★★★★★★
(10)
★★★★★★★★★★
(10)
★★★★★★☆☆☆☆
(6)
★★★★★★★★★★
(10)

チェックポイント<10>:付属ソフトウェア

 主な付属ソフトウェアを表にまとめた。どのモデルもOffice以外は体験版や無料ソフトがほとんどで、Office以外に付加価値として高く評価できるものはない。このあたりは(Surface RTを除き)これまでのWindows PCと同様に自分が望むソフトウェアを各々インストールして活用してほしい。

 Officeについては、Surface RT以外は「Office Home and Business 2013」が付属する。Office Home and Business 2013はWord 2013、Excel 2013、PowerPoint 2013、OneNote 2013、Outlook 2013を包括したエディションで、説明の必要はないと思うが、一般的なオフィス業務において基準となるソフトウェア群だ。ちなみにOffice Home and Business 2013はパッケージ版(PC 2台までインストール可能)が3万円前後、PCプリインストールはプラス2万円ほどとするBTOメニューとされる例が多い。

 Surface RTはOffice 2013 RTが付属する。Office 2013 RTには、Word、Excel、PowerPoint、OneNoteが付属するが、マクロなど一部の機能が省かれる──標準版に対する簡易エディションとなる。一般的な資料作成/表示用途ならたいていは大丈夫だが、例えば業務で使用する複雑な計算・処理を埋め込んだExcelデータなど、Office Home and Businessと同様の作業が行えるわけではないのは覚えておいてほしい。


付属ソフトと価格 ICONIA W510D-2 IdeaPad Miix 10 Surface Pro Surface RT
付属ソフト Microsoft Office Home and Business 2013、Acer Explorer、Acer Crystal Eye、Skype、Shark Dash、Cut the Rope、Tuneln Radio、Hulu、Skitch、Acer Cloud Docs、Norton online backup(30日間体験版)等 Microsoft Office Home and Business 2013、マカフィーインターネットセキュリティ、iフィルター、Amazon、Evernote等 Microsoft Office Home and Business 2013、Windowsメールおよびメッセージング、SkyDrive、Bing、Skype等 Office 2013 RT、Windowsメールおよびメッセージング、SkyDrive、Bing、Xboxミュージック、Xboxビデオ、Xboxゲーム等
点数 ★★★★★★★★★★
(10)
★★★★★★★★★★
(10)
★★★★★★★★★★
(10)
★★★★★★★★☆☆
(8)

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