線の太さのコントロールは、Bamboo Paper以外の本格的なグラフィックス系アプリのほうが実力を体感しやすい。しかし、本格的なアプリは設定がいろいろとややこしく、使いこなすには少し手間がかかる。今回は、Procreate(Savage Interactive)を使って筆圧の強弱を試してみるので、手順が分からない人は参考にしてほしい。
まずはアプリを起動後、何かしらのキャンバスを展開し、画面上のスパナアイコンをタップし、「Devices」を選択。ここで、「Wacom Intuos Creative Stylus」を選択すればペアリングは完了だ。次にブラシアイコンをタップして「Inking」の中にある「Technical Pen」を選択し、線を引いてみよう。筆圧と線の強弱が連動するはずだ。
しかし、標準の設定だとちょっと線が細すぎて太さの変化が分かりにくい。そこでTechnical Penの項目をダブルタップして、ペン設定を調整する。「General」のコーナーにある「Size limits」の「Max」を40%ぐらいに設定して、もう一度線を引いてみる。すると、極細の線から極太の線まで、筆圧でコントロールできるようになる。線の変化は滑らかで、美しい線のイリとヌキを味わえる。
このように、いくつかの対応アプリでは設定をいじることで筆圧の効果を自分好みに調整できる。手間は多少かかるが、本格的なイラスト制作をしたいという人は、Intuos Creative Stylusに対応する有料グラフィックス系アプリを導入するのも手だ。
Intuos Creative Stylusの使用感をざっと紹介した。ペンを傾けて使ったときに思ったように強い線が出ないことがあったりと、本職のペンタブレットと比べると安定感がかける部分もあるが、2048レベルの筆圧検知はスペック的には申し分なく、滑らかな濃淡や強弱を十分に表現できる。iPadを、手軽で本格的な液晶ペンタブレットに変えるツールとして、Intuos Creative Stylusは優れた製品だと感じた。
iPad向け筆圧対応ペンとしては、adonit開発の「Jot Touch」シリーズもよく知られている。日本でもプリンストンが2012年から同製品を販売しており、筆者も過去に製品レビューを担当した。このJot Touchシリーズは現在、2048レベルの筆圧検知に対応した新モデル「Jot touch 4」(直販価格9999円)を発売中。おそらく「どちらを買うべきか」と頭を悩ませるユーザーも出てきているだろう。
残念ながら筆者はJot touch 4に触ったことがなく、進化した筆圧レベルの実力は分からない。しかし、従来のJot Touchを使った印象から考えるに、ペン先の使い勝手が比較ポイントの1つになりそうだ。Jot touchシリーズのペン先は透明で、線の狙いが定めやすく、一方で描き心地はツルッとしている。Intuos Creative Stylusとはかなりフィーリングが異なるので、この辺りを考慮して比較検討するといいかもしれない。
月刊アフタヌーンの漫画新人賞「アフタヌーン四季賞2012年・冬」で四季大賞を受賞。PCUSERにはペンタブレットの製品レビュー執筆者としてもしばしば出没する。現在漫画家見習い中。Twitterは@kyuukanba。
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