ボディは底面を前方に向かって少し絞ったくさび型のフォルムを採用。ボディのサイズは、約316.0(幅)×207.0(奥行き)×7.6〜17.9(高さ)ミリだ。ゴム足を含めると最厚部は20ミリほどあり、ボディを絞り込んでいるのは前面の先端部や側面の手前側のみなので、全体的にはそれほど薄いわけではない。しかし、数字以上に薄く見えるデザインで、実際に持った際にも薄く感じる。
また、フットプリントは13型クラスの液晶ディスプレイを搭載する薄型軽量モバイルノートPC(Ultrabook含む)としては最小クラスで、サイズ感は一回り小さい画面(11.6〜12.5型)を搭載する製品に近い。
重量はタッチパネル付き上位モデル(V834/29KS)の約1.35キロに対し、約1.12キロと軽い(いずれも公称値)。常に携帯して使うモバイルPCとして、約1.35キロならば候補にならないが、約1.12キロならば選択肢に入るというユーザーも少なくないのではないか。実測での重量は1.065キロと公称値よりさらに軽かった。くさび型フォルムで持ちやすいこともあって、1.3キロ程度のノートPCに比べて体感でもかなりの違いがある。
明るいシルバーボディの素材はアルミニウムのように見えるが、軽さを重視してマグネシウム合金を採用している。ほぼフラットな天面は、強度と質感へのこだわりからプレス加工を使用し、表面は細かいヘアライン加工で仕上げている。ほぼフラットながら少しだけ丸みをもたせたエッジのラインなどは絶妙で、美しさが際立っている。
ベースボディには、蜂の巣状に補強リブをつけた「ハニカムリブ構造」、底面から側面を一体成形する「バスタブ構造」、そしてキーボードをベースボディに一体化させる「フレームレスキーボード構造」を採用し、剛性を確保している。
実際に持って見ても不安な印象はまったくない。パームレストの端など薄い部分だけを持ってみても、しっかりとした剛性が感じられる。
dynabook KIRAシリーズにおける最大の特徴が、液晶ディスプレイだ。画面サイズは13.3型ワイドで、表示解像度は2560×1440ドット、その画素密度は約221ppi(pixels per inch:1インチあたりのピクセル数)を誇る。この高精細表示に加えて、同社液晶テレビの「REGZA」シリーズで培った映像技術を生かし、最適な色味を実現するため、1台1台色調整を行って出荷するというこだわりようだ。
また、独自の超解像技術(レゾリューションプラス)により、映像をフレームごとに分析し、シーンに応じた色補正や輪郭強調などの高画質化も行う。レゾリューションプラスは、ユーティリティの設定からオン/オフが可能で、効果の違いを確認できる。実際に試してみると、オフモードでは表現しきれていない暗いシーンでの階調や色味を、しっかり再現できており、ダイナミックレンジの補正が的確に行なわれていることが確認できた。ビビッドでありながら、ギラギラ感がない。
単に高精細表示をうたうノートPCと比べて、映像コンテンツ再生時の表現力はレベルが一段違う印象だ。最近では220ppi程度の高精細な液晶ディスプレイを搭載するモデルも増えてきたが、画面の鮮明さはその中でもトップクラスといってよい。
高音質にも配慮しており、harman/kardonブランドのスピーカーを底面の左右端に内蔵している。音響ソフトウェアは「DTS Sound Studio」だ。特筆するほどの馬力感まではないが、Ultrabookを含む薄型軽量ノートPCとしてはかなりパワフルで、低音も効いたサウンドを再生でき、エンターテインメントコンテンツを快適に楽しめる。
キーボードの高品質も強調しておきたい。アイソレーションタイプの6列キーボードでキーピッチは横19ミリ、縦18ミリとなっている。フルサイズというには若干縦方向が狭いが、この程度ならば、ほとんど違和感はないはずだ。配列も比較的素直で、打ちにくそうなキーは特に見当たらない。
また、小さいカーソルキーとレギュラーキーとの間にスペースを確保したり、ファンクションキーを4つずつ区切って配置したりと、ミスタイプを防ぐ工夫が随所に見られる。
キーストロークは約1.5ミリと、Ultrabookを含む薄型軽量モバイルノートPCにしては深めに確保しているのも見逃せない。キートップにはわずかなくぼみがあって指を置きやすく、スイッチの感触もしっかりとした押下感がある一方で反発が強すぎず、実に良好なタッチだ。ボディと一体化したフレームレス構造を採用しているため、剛性が高く、強めにタイプしても、たわみやきしみがなく、快適なタイピングが行える。「dynabook史上最高を目指した」という開発者のコメントもうなずける。
ただし、細かい不満点としては、半角/全角キーやカーソルキーが小さいこと、パームレストの長さが実測で74ミリと、短くはないものの、13型クラスとしては微妙な長さであること、そしてパームレストの端がシャープなことが挙げられる。筆者の手はギリギリセーフだが、手が大きくてパームレストの長さが足りないユーザーにとっては、エッジが当たって少し痛く感じるかもしれない。
キーボードの手前には、左右ボタン一体型のタッチパッドがある。105(横)×59(縦)ミリと十分な広さがあり、指の滑りも上々だ。手前側の左右の端が沈んでクリックボタンの役目を果たす構造だが、この押し心地もよい。
タッチパッドにはシナプティクス製の多機能ドライバが導入されており、2本指でのスクロール、つまみズーム、右エッジからのスワイプによるチャームの表示などのジェスチャー機能が標準で利用可能だ。
モバイルノートPCでは、薄さや軽さを優先するため、キーボードやタッチパッドの使い勝手で妥協している製品も散見されるが、dynabook KIRAは携帯性の高さと入力環境の使いやすさがうまく両立できている印象を受ける。
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