レビュー
» 2014年06月18日 13時00分 公開

先代モデル、iPad Airとも比較:「Xperia Z2 Tablet」――世界最薄・最軽量で防水の10.1型タブレットを徹底検証(使い勝手編) (2/5)

[鈴木雅暢(撮影:矢野渉),ITmedia]

画質チェック:高画質を徹底追求した秀逸な液晶ディスプレイ

10.1型ワイド液晶ディスプレイの解像度は1920×1200ピクセル(約224ppi)と変わらないが、発色や画作りの進化は見逃せない

 薄型軽量ボディに目を奪われがちだが、実は液晶ディスプレイこそが最大のポイントだろう。10.1型ワイド(アスペクト比16:10)の画面サイズ、1920×1200ピクセル(WUXGA)の表示解像度は先代機から据え置きだが、その画質は格段に向上したといえる。

 専用カラーフィルターにより色域(表示できる色の範囲)を広げた「トリルミナスディスプレイ for mobile」に、新たなバックライトシステム「Live Colour LED」を組み合わせることで、高彩度の表現力に磨きをかけているのだ。従来のバックライトは青色LEDに黄色の蛍光体を透して、光の三原色(赤/緑/青)を表現していたが、Live Colour LEDでは青色LEDに赤と緑の蛍光体を透すことで、発光効率を高め、特に赤と緑の色域を拡張している。

 その効果は実物を見れば明らかだ。先代のXperia Tablet ZもsRGBに近い色域を確保していて高彩度な表示だったが、それと比べてもかなり色鮮やかさが勝っている。特に夕焼けや花などを表示させたときの赤の発色で顕著だが、海の青、森の緑、そしてエメラルドグリーンなども色乗りが違う。Androidのホーム画面でさえ、クッキリとして高級感が増して見えるほどだ。

カラーグラデーション(写真=左)とモノクログラデーション(写真=右)の表示例。階調再現性を重視する場合、後述する高画質化技術「X-Reality for mobile」はオフにしたほうが、自然なグラデーションが描ける(これらの写真はオフの状態)

左が新モデルのXperia Z2 Tablet、右が先代のXperia Tablet Zで同じ画像を表示した例。いずれも高画質化技術はオンにした状態だ。10.1型ワイドの画面サイズと1920×1200ピクセルの解像度は同じだが、Xperia Z2 Tabletのほうが高彩度かつ高コントラストで画質がよく見える

左がXperia Z2 Tablet、右がiPad Air(9.7型/2048×1536ピクセル)で同じ画像を表示した例。iPad Airはタブレットとしては色域が広く、高画質で知られるが、Xperia Z2 Tabletはより高彩度な色表現ができており、見栄えがよい。画素密度はXperia Z2 Tabletの約224ppiに比べて、iPad Airが264ppiと高いが、通常の視聴距離でこうした写真を閲覧する場合、細部の描画力にほとんど差は見られなかった。Xperia Z2 Tabletでは、超解像を含む高画質化技術が表示の精細感に貢献している

 試しにエックスライトのカラーキャリブレーションセンサー「i1Pro」を使って、ディスプレイの表示を検証してみた。Windows PCの外部ディスプレイとして利用できるアプリを導入し、PC用ソフトウェア「i1Profiler」からi1Proをコントロールすることで、タブレットの内蔵ディスプレイを計測している。

 計測結果は、輝度が400カンデラ/平方メートル弱と明るく、色温度が7200K程度とやや高めだった。ガンマ補正カーブを見ると、明部で少しRGBの線が上に引き上げられている(実際は入力信号に対して、少し暗めに出力することを意味する)が、黒からグレーの中間階調まではRGBの線がそろって直線を描いており、階調の再現性もなかなかのものだ。

i1Proの計測結果から抜き出したガンマ補正カーブ。Xperia Z2 Tabletは明部で少しRGBの線が上振れしているが、階調の再現性はなかなかのものだ(画像=左)。Xperia Tablet Zは、明部で青がやや下方向へ補正されており、グレーバランスの正確さはXperia Z2 Tabletが優勢だ(画像=右)
iPad Airは、RGB各色の入力と出力の関係がほぼ1:1で推移しており、シャドーからハイライトまで正確だ。階調再現においては優位性を発揮している

 Xperia Z2 Tabletの特徴が最も現れたのは、やはり色域の計測結果だ。i1Proで作成したタブレットのICCプロファイルをMac OS XのColorSyncユーティリティで開き、色域を確認したところ、Xperia Tablet Zを大きく上回っていた。

 通常PC USERのレビューでタブレットやPCの色域を示す場合、sRGB規格の色域を薄いグレーで表示し、その上にカラーで測定対象の色域を重ねるのだが、Xperia Z2 Tabletで同じようにすると、グレーの表示がまったく見えなくなってしまう。つまり、sRGBの色域を完全に超えているのだ。

 逆にXperia Z2 Tabletをグレーで敷いて、sRGBをカラーで表示すると、色域の広さがよく分かる。先代の測定結果と比べても全体に広いが、特に緑、赤、シアンの色域が広い。

i1Proで作成したICCプロファイルをMac OS XのColorSyncユーティリティで読み込んだ結果。Xperia Z2 Tabletの色域をカラーで、sRGB規格の色域を薄いグレーで重ねて表示すると、カラーの領域が広すぎて、グレーの領域が完全に覆われてしまう(画像=左)。そこで、Xperia Z2 Tabletの色域を薄いグレーで敷き、sRGBの色域をカラーで重ねてみれば、sRGBに比べてかなり広色域であることが分かる
Xperia Tablet Z(画像=左)とiPad Air(画像=右)の色域。いずれも薄いグレーで敷いたsRGBに近い色域を確保しており、タブレットとしては広色域な製品だが、Xperia Z2 Tabletに比べると一回りくらい色域が狭い

 同様に、sRGBより色域が広いAdobe RGBの規格とも発色を比較してみた。青や黄色の色域はXperia Z2 Tabletのほうが広い一方、緑、シアンではAdobe RGBに及ばない。とはいえ、タブレットやノートPCではsRGBを完全にカバーできる色域がある液晶ディスプレイ自体が珍しいため、この広色域は大きな差異化要因だ。

 誤解がないように断っておくと、カラーマネジメントに対応したビュワー機能などはないため、sRGBやAdobeRGBのカラープロファイルを持った写真データなどを正確に色再現できるわけではない。これはiPadやAndroidタブレット全般に当てはまることだ。しかし、Xperia Z2 Tabletでは高彩度の被写体を撮影した写真で比較的イメージに近い絵が得られることが期待できる。

Xperia Z2 Tabletの色域をカラーで、Adobe RGB規格の色域を薄いグレーで重ねて表示(画像=左)。Adobe RGBをカラーで、Xperia Z2 Tabletを薄いグレーで重ねて表示(画像=右)。緑から青にかけてはAdobe RGBのほうが広色域だが、黄緑から黄色、青から紫にかけた領域はXperia Z2 Tabletのほうが色鮮やかだ。タブレットとしては非常に色域が広いといえる

 さらにXperia Z2 Tabletには、映像高画質エンジン「X-Reality for mobile」が導入されており、低解像度や低ビットレートの映像を超解像技術でキレイに表示したり、映像シーンをリアルタイムに分析して、輪郭や色調整を行なうといった機能がある。これにより、液晶パネル本来の出力よりさらに鮮明な表示が可能だ。

 Xperia Z2 Tabletの画素密度は約224ppi(pixels per inch:1インチあたりのピクセル数)と、昨今の高精細ディスプレイ搭載タブレットに比べて特に高いわけではない。しかし、通常の視聴距離で画素をほとんど認識できないくらい表示は細かく、X-Reality for mobileの効果も相まって、解像度のスペックで受ける印象より色鮮やかでシャープな表示に見えるはずだ。

 非常に画素密度が高い液晶ディスプレイは、薄型軽量ボディや長時間のバッテリー駆動を達成するうえでマイナス要因になるため、ここはトータルバランスも考慮したスペックといえる。

X-Reality for mobileをオンにした状態(写真=左)とオフにした状態(写真=右)。オンにすると、青や赤がより色鮮やかになり、ディテールもくっきりと描かれる

画面設定のメニューでは、X-Reality for mobileや画面の明るさ、手に持って使用している間はバックライトを消灯しないようにする「スマートバックライト」機能などを適用できる(画像=左)。RGBのスライダー操作によって、ホワイトバランスを手動調整できる機能もある(画像=右)

 「OptiContrast Panel」も引き続き採用している。これは液晶パネルとカバーガラスの間にクリアな樹脂を流し込み、空気層をなくす、いわゆるダイレクトボンディングの技術だ。外光の反射を抑え、暗いシーンでの白ぼやけを防ぎ、深い黒色を表現できる効果がある。

 カバーガラスとタッチセンサー層を一体化した「Direct Touch」も健在だ。これによりガラス層とタッチセンサー層を薄型化でき、OptiContrast Panelと合わせて、液晶ディスプレイ表面からタッチセンサーまでの距離が短くなるため、視差が低減し、タッチ操作の精度が高まる。実際、タッチ操作の感度と精度は良好だ。

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