次にi1Proで作成した各タブレットのICCプロファイルをMac OS XのColorSyncユーティリティで表示し、それぞれの色域を比べてみた。
結果は以下の通りで、グラフ内で色がついた面積が広いほど、表示できる色の範囲が広いことを意味する。色がついている部分がそのディスプレイで再現できる色域、薄いグレーで重ねて表示してあるのはsRGBの色域だ。
色域が最も広いのは、Xperia Tablet Zだった。sRGBの色域をほぼカバーしており、緑から黄色の領域と、青から紫の領域はsRGBより広い。例えば、鮮やかな新緑や深海の濃い青といった発色で大きな差が出るだろう。
次に優秀なのがiPad Retinaディスプレイモデルだ。Xperia Tablet Zほど広い色域ではないものの、sRGBのかなりの範囲をカバーできており、青のピークはsRGBを超えている。これら2製品は、デジタルカメラの写真データなどをsRGBに近い自然な発色で表示可能なため、タブレット上での画像閲覧はもちろん、簡易編集にも十分対応できるに違いない。
一方のXperia Tablet S、Nexus 10、iPad miniは、sRGBに比べて色域がかなり狭い結果となった。実際に見比べてみても、ディスプレイの発色は上位2製品に劣り、あっさりとした発色だ(単体で見ていると、目が慣れてしまい気付きにくいものだが)。
今回のテスト結果では、Xperia Tablet Zの色域がXperia Tablet Sから大きく広がり、sRGBをほぼカバーできる色鮮やかな表示が可能になったことが分かった。その発色のよさは、Nexus 10はもちろん、高画質と評判のiPad Retinaディスプレイモデルをも上回っており、現存するタブレットとしてはトップクラスに間違いない(画素密度はRetinaクラスに1歩及ばないが)。
一方でXperia Tablet Sから最大輝度は下がっているものの、日常の屋内利用で不満のない輝度は確保しているため、ディスプレイの高解像度化と広色域化による恩恵のほうが大きいはずだ。
なお、今回の測定結果は液晶パネルの「素の状態」に近い。Xperia Tablet Zは、画作りの仕上げとして、独自ソフトウェアの「モバイルブラビアエンジン2」により映像をリアルタイムで解析しながら、さまざまな高画質化処理を適用して最終的な表示を行なう。これにより、実際の表示はより鮮明に見えるのだ。
次回はこの測定結果を踏まえ、Xperia Tablet Zが作り込まれた液晶ディスプレイと高画質化技術によって、どこまで表示品質を高めているのか、チェックしていこう。
→・Xperia Tablet Z マニアックス(5):タブレット最高峰を目指した画作りとは?――「Xperia Tablet Z」
←・Xperia Tablet Z マニアックス(3):極薄ボディのスタミナは十分か?――「Xperia Tablet Z」
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