密閉された極薄ボディは熱くならないのか?――「Xperia Tablet Z」Xperia Tablet Z マニアックス(2)(1/3 ページ)

» 2013年05月01日 11時15分 公開

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薄型軽量、防水防塵、高性能な仕上がり、死角があるとすれば……

6.9〜7.2ミリ厚で約495グラムの超薄型軽量、しかも防水防塵のボディはどれくらい熱くなるのか?

 本特集では、ソニーの“極薄”Androidタブレット「Xperia Tablet Z」をじっくり検証していく。

 前回(第1回)はパフォーマンスの測定を行ったが、業界標準のベンチマークテスト各種で高いスコアが得られた。単に持ち運びやすいだけではなく、性能も折り紙付きというわけだ。

 しかし、圧倒的なスリムボディとハイパフォーマンス、相反する2つを両立させたことでどこかに無理は生じていないだろうか。

 特にXperia Tablet Zは、1920×1200ドット(WUXGA)の10.1型ワイド液晶ディスプレイを搭載していながら、厚さ6.9ミリ(最厚部で7.2ミリ)、重さ約495グラムという突出した薄型軽量を達成し、さらに防水(IPX5/7相当)と防塵(IP5X相当)の性能まで兼ね備えている。つまり、水やホコリが内部に侵入しないよう、ただでさえ薄いボディが密閉構造になっているのだ。

 ソニーは、同時展開のスマートフォン「Xperia Z(SO-02E)」と基本設計を共通化しつつ、十分な性能を確保する一方、消費電力と放熱は抑えるため、SoC(System-on-a-Chip)にQualcomm SnapdragonのS4 Pro APQ8064を採用したという。とはいえ、非常に薄くて密閉性が高い不利な条件下において、高いパフォーマンスを確保しているのだから、放熱面にしわ寄せが来ていてもおかしくはない。

ボディは6面(表、裏、上、下、左、右)に強度のある素材を使い、これらを箱形に組んで薄型軽量と剛性を両立する6プレート構造としている(写真=左)。ディスプレイ表面はガラス、背面はグラスファイバー、内部にはグラスファイバー入り樹脂のフレームを配置した。防水用の接着紙で貼り合わせることで、水やホコリの侵入を防ぐ構造となっている。背面パネルを開けた状態(写真=右)。3セルで6000ミリアンペアアワーのリチウムイオンバッテリーが大部分を占め、主要な基板はバッテリーと重ならないよう短辺の端に寄せられている

 そこで今回は、Xperia Tablet Zがさまざまな状況でどれだけ発熱するのか、ボディの表面温度を計測する。比較対象となる10型クラスのAndroidタブレットとして、前モデルの「Xperia Tablet S」(SGPT123JP/S)と、GoogleとSamsungが共同開発したハイスペックモデル「Nexus 10」の計測結果も併記した。これらの仕様は下表の通りだ。

左からソニーの新モデル「Xperia Tablet Z」、前モデル「Xperia Tablet S」、そしてAndroidタブレットのフラッグシップ機に相当する「Nexus 10」
今回テストした10型クラスのAndroidタブレット
製品名 Xperia Tablet Z Wi-Fi (SGP312JP/B) Xperia Tablet S (SGPT123JP/S) Nexus 10 (16Gバイトモデル)
メーカー ソニー ソニー Google (Samsung Electronics製)
OS Android 4.1.2 Android 4.1.1 Android 4.2.2
液晶ディスプレイ 10.1型IPS 9.4型IPS 10.055型IPS ※PLS
画面解像度 1920×1200ドット (約224ppi) 1280×800ドット (約160ppi) 2560×1600ドット (約300ppi)
SoC Qualcomm Snapdragon S4 Pro APQ8064 NVIDIA Tegra 3 Samsung Electronics Exynos 5
CPUコア Krait (クアッドコア、1.5GHz) Cortex-A9 (クアッドコア+コンパニオンコア、1.3GHz) Cortex-A15 (デュアルコア、1.7GHz)
GPUコア Adreno 320 ULP GeForce (12コア) Mali T604 MP4 (クアッドコア)
メモリ 2Gバイト 1Gバイト 2Gバイト
ストレージ 32Gバイト 64Gバイト 16Gバイト
通信機能 IEEE802.11a/b/g/n無線LAN、Bluetooth 4.0、NFC IEEE802.11a/b/g/n無線LAN、Bluetooth 3.0 IEEE802.11b/g/n無線LAN、Bluetooth 3.0、NFC
カメラ 220万画素(イン)、810万画素(アウト) ※いずれも「Exmor R for mobile」 100万画素(イン)、800万画素(アウト) ※アウトのみ裏面照射型CMOS 約190万画素(イン)、約500万画素(アウト)
搭載センサー類 GPS、デジタルコンパス、照度、3軸加速度、ジャイロ、FMラジオ GPS、デジタルコンパス、照度、3軸加速度、ジャイロ GPS、デジタルコンパス、照度、加速度、ジャイロ、気圧計
カードスロット microSDXCカード(SDXC対応) SDメモリーカード(SDHC対応)
インタフェース Micro USB(MHL対応)×1、ヘッドフォン出力/マイク入力兼用×1、赤外線(リモコン用) マルチポート(HDMI出力、USBにオプション対応)×1、ヘッドフォン出力/マイク入力兼用×1、赤外線(リモコン用) Micro USB、Micro HDMI、ヘッドフォン出力
スピーカー ステレオ ステレオ ステレオ
マイク モノラル モノラル モノラル
バッテリー駆動時間 音楽再生時:約110時間、ビデオ再生時:約10時間、Wi-Fi Web閲覧時:約8.2時間 スタンバイ時:約1050時間、ビデオ再生時:約12時間、Wi-Fi Web閲覧時:約10時間 スタンバイ時:約500時間、ビデオ再生時:最大9時間、Wi-Fi Web閲覧時:最大7時間、音楽再生:最大90時間
外形寸法(幅×高さ×厚さ) 266×172×6.9〜7.2ミリ 239.8×174.4×8.8〜11.85ミリ 263.9×177.6×8.9ミリ
質量 約495グラム 約570グラム 約603グラム
防水/防塵 防水(IPX5/7)、防塵(IPX5X) 防滴(IPX4)

まずはアイドル状態でボディ表面温度を計測

 発熱テストは、3機種のタブレットを木製のテーブルに寝かせて置き、ボディを9分割して各部で最も高温になるポイントの表面温度を計測した。

 計測したのは、起動後30分間何もせずに放置したアイドル状態、Webブラウズを30分間行った状態、1080pのフルHD動画を30分間再生し続けた状態、そして最も高い負荷がかかる3Dベンチマークテストを30分間実行し続けた状態の4パターンだ。30分ごとに高い負荷がかかる状態へ移行し、合計2時間に渡る温度変化を計測している。

 いずれもバッテリー満充電の状態からテストを開始し、無線LANはオン(IEEE802.11n)、Bluetoothはオフに設定した。液晶ディスプレイの輝度は、アイドル時とWebブラウス時が50%、動画再生時と3Dベンチマークテスト実行時が100%、音量は50%で固定だ。テスト中の室温は最初から最後まで約22度をキープしている。

 まずはSoCやストレージにほとんど負荷がかからないアイドル時の発熱を計測した。

Xperia Tablet Zの表面温度。正面(写真=左)と背面(写真=右)。室温は約22度(以下、同様)
Xperia Tablet Sの表面温度。正面(写真=左)と背面(写真=右)
Nexus 10の表面温度。正面(写真=左)と背面(写真=右)
3機種の表面温度比較。正面(グラフ=左)と背面(グラフ=右)

 結果は3機種とも低温に保たれており、手で触れても熱をほとんど感じない。Xperia Tablet Zは、横位置で正面から見て左辺と下辺に基板類を内蔵している(背面から見ると、右辺と下辺になる)が、これらの部分が周囲より少し温かくなる傾向だ。

 3機種の比較では、ボディの厚さに余裕があるXperia Tablet S(8.8〜11.85ミリ厚)が最も低温で、僅差で極薄ボディのXperia Tablet Z(6.9〜7.2ミリ厚)が続き、Xperia Tablet Zよりは厚みがあるNexus 10(8.9ミリ厚)が一番高温という結果だった。

 それでは続けて、Webブラウズと動画再生でどれくらいボディが発熱するのかチェックしていこう。

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