ソニーの3世代目となるAndoridタブレット「Xperia Tablet Z」は、先代(第2世代)の「Xperia Tablet S」や初代の「Sony Tablet S」からボディデザインを一新、超薄型軽量のフラットボディに生まれ変わった。
厚さ6.9ミリ(最厚部で7.2ミリ)、重さ約495グラムという数字は、10型クラスの液晶ディスプレイを搭載するタブレットで世界最薄にして国内最軽量、10型以上の防水タブレットで世界最軽量を誇る突出した値だ(2013年2月26日現在/同社調べ)。それでいて、防水(IPX5/7相当)と防塵(IP5X相当)の性能、洗練されたデザインまで兼ね備えているのだから、注目を集めるのもうなずける。
製品ラインアップとしては、まずNTTドコモ取り扱いのLTE/3Gモデル「SO-03E」が2013年3月22日に発売された。4月13日にはソニーマーケティングがSO-03EからLTE/3G機能を省いたWi-Fiモデル「SGP312JP/B・W」を発売する予定だ。
PC USERではいち早く、Xperia Tablet Z(Wi-Fiモデル)の試作機によるファーストインプレッションを掲載したが、今回から開発者インタビューの模様を2回に渡ってお届けしよう。
―― 先代機のXperia Tablet Sが発売されたのは2012年9月でした。今回のXperia Tablet Zは、2013年3月の販売開始(ドコモモデル)です。約半年という短い期間でのフルモデルチェンジに驚いたのですが、開発の経緯を教えてください。
田中氏 Xperia Tablet Sの開発はソニーが行いましたが、このXperia Tablet Zから開発がソニーモバイルコミュニケーションズ(以下、ソニーモバイル)に変わりました。
具体的には、ソニーのVAIO&Mobile事業本部からタブレットを手がけてきたメンバーがソニーモバイルに異動し、協業して開発する体制になりました。つまりソニーモバイルにスマートフォンとタブレットの開発部隊が集まり、それぞれに培ってきた技術やノウハウを生かしつつ、スマートフォンとタブレットを同時に開発できるようになったのです。
ご存じの通り、2012年にソニーモバイルは、ソニーとエリクソンの合弁会社から、ソニーの100%子会社になりました。そこでソニーとして今後どういう製品を提供していくべきか議論を重ねた末、生まれてきたのがスマートフォンの「Xperia Z」とタブレットのXperia Tablet Zです。2013年のはじめに、新しいソニーのビジョンを見せるため、このタイミングでスマートフォンとタブレットを同時に用意することが必要でした。
2世代目からの投入期間が短いということは開発段階から分かっており、「短すぎるのではないか」という議論もあったのですが、やはり2013年のソニーの世界を伝えるためには欠かせないという結論に至りました。
―― 2013年に伝えたいソニーの世界とはどのようなものでしょうか?
田中氏 ソニーモバイルがスマートフォンとタブレットをどちらも展開できるようになったからこそ実現した、2つともお持ちいただいたときに、2つあることでメリットが得られるユーザー体験を提供すること。そして、スマートフォンとタブレットのみならず、他のソニー機器との連携をさらに強化し、使いやすいものにしていくことでした。
具体的には、タブレットからスマートフォンを充電できること、スマートフォンで見ている映像をタッチするだけで(NFCを使って)タブレットで簡単に見られること、スピーカーなどのソニー機器とワンタッチで連携できることを実現しています。こういったソニーモバイルのビジョンを伝えるためには、スマートフォンとタブレットの開発を並行して進め、発表も同時に行うことが必要だと考えました。
―― Xperia Tablet Zの開発コンセプトを教えてください。
田中氏 やはり大きなテーマとしては、タブレットとスマートフォンを一緒にお使いいただくことでソニーらしさを体感いただくことがあります。
そのうえで、タブレット単体としては、タブレット市場の新たな開拓を目指して開発しています。そのために、7ミリ以下の薄さ、500グラム以下の重さを当初からの開発目標に掲げました。
―― 7ミリ以下、500グラム以下という数字はどこから出てきたのでしょうか?
田中氏 これまでのタブレットに対する不満点として、長く持っていると重たくて手が疲れてしまうというものがありました。どこでも使えるといいながら、この重さがネックで使うシーンが限られているのではないか、薄く、軽くすることがユースケースを広げるブレイクスルーになるのではないかと考えました。
そこで、厚さや重さをさまざま変えたモックアップを作成して社内で検討した結果、持ったときに「薄くて軽い」と感じられる水準が7ミリであり、500グラムでした。特に、重さは20グラム単位で比較検討してみたのですが、20グラム違うだけでも感覚的にはずいぶん違ってきます。500グラム以下というのは、今回譲れない水準でした。
―― 結果として厚さ6.9〜7.2ミリ、重さ約495グラムと非常に薄型軽量のボディを実現されていますが、その一方で先代機まで続いていたデザインコンセプトの「ラップデザイン」を継承しなかったのはなぜでしょうか?
田中氏 開発の過程では、先代機の企画に関わったメンバーとも議論を重ねてこうした仕様に決めました。
偏重心のラップデザインとは、ある程度重量のあるボディの重心を偏らせることで「軽く感じさせる」効果を狙ったものですが、Xperia Tablet Zは大幅に軽量化できたため、偏重心でなくとも重さは感じにくく、どの方向からでも持ちやすいフラットな薄型ボディになっています。
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