“6万円台”で手に入る13.3型ノート+タブレット+タッチペンの完成度は?――「Inspiron 13 7000シリーズ 2 in 1」徹底レビュー第4世代Core、防水キーボードも搭載してこの価格(1/4 ページ)

» 2014年12月03日 12時45分 公開
[フォレスト・ヒーロー,ITmedia]
ココが「○」
・ノート+タブレット+ペンが使える
・第4世代Core搭載で6万円台の安さ
・落下や水漏れ、盗難も標準で保証
ココが「×」
・13.3型モバイルPCでは少し重い
・ストレージにSSDを選択できない

4スタイル+タッチペン付きで手ごろな価格の2in1

 コストパフォーマンスに優れたPCとタブレットで定評のあるデルから、買い得感の高い2in1の新機種が登場した。

 この「Inspiron 13 7000シリーズ 2 in 1」は、13.3型ワイド液晶ディスプレイ搭載の可搬性に配慮した2in1デバイスだ。同社が個人向けに展開するInspironノートPCは、3000/5000/7000シリーズが用意されているが、本機は最上位の“プレミアム”に属する。

 最大の特徴は、360度回転ヒンジ機構の搭載により、クラムシェルノートPCとタブレットを含む計4つのスタイルで活用でき、さらに本体収納式のタッチペンも備えた構成で、6万4796円(税別、送料込み)という低価格から購入できることだ。第4世代Core採用でこの安さという点に注目したい。

 同社のWebサイトには構成の異なる6種類のモデルが用意されているが、今回は最も安価なモデル「Inspiron 13 7000シリーズ 2 in 1 ベーシック・タッチパネル」を入手した。早速、性能や使い勝手を検証していこう。

デルの「Inspiron 13 7000シリーズ 2 in 1」。写真はノートPCのスタイルだが、360度回転ヒンジ機構を利用し、液晶ディスプレイを底面側に折り返して畳めば、タブレット形状にもなる

シルバーで統一されたシンプルなボディデザイン

 ボディは落ち着いたサテンシルバーのカラーで、価格の割にはなかなかの高級感が漂う。表面には指紋が付きにくいコーティングが施され、シリコンラバーのようなしっとり感で、肌触りもよい。ほどよい丸みが付いた本体エッジ部は、ボディを薄く見せつつ、移動時に握りやすいという効果がある。

 13.3型ワイド液晶を搭載したボディのサイズは、約330.12(幅)×222(奥行き)×19.41(高さ)ミリ、重量は約1.66キロだ。実測での重量もほぼ同じだった。液晶ディスプレイの額縁はやや広めだが、Ultrabookではよくあるサイズと言える。ただし、変形機構の搭載やタッチペンを収納する関係で、毎日携帯するモバイルPCとして重量はやや重い。特にタブレットとして使う場合、片手でホールドするには辛い重さとなる。

 参考までに、以前レビューした11.6型の「Inspiron 11 2 in 1」と比べると、本体はほぼ同じ厚さで、重量は約270グラム重い。また、もうワンサイズ大きい14型ノートPC「Inspiron 14 5000」のタッチ対応モデルとの比較では、約500グラム軽量だ。低価格帯の2in1では、この質感、サイズ、重量によくまとめたと言えるが、欲を言えば、軽さはもう少し追求してほしかった。

ボディは、反射の強すぎない落ち着いたサテンシルバーでまとまっている。天面は中央に「DELL」のロゴのみを配置したシンプルなデザインだ

 付属の65ワットACアダプタは、実測でのサイズが46(幅)×107(奥行き)×28(高さ)ミリだった。最近のモバイルPCとしては比較的大柄な部類となる。ACケーブルはVCTF(3ピンのビニルキャブタイヤ丸形コード)の割にはあまりかさばらないが、それでも2ピンの細いケーブルより場所を取る。ケーブル込みの実測総重量は334グラムと少し重めだ。

 バッテリー容量は3セル43ワットアワーで、公称の駆動時間は最大約7時間としている(実測によるテスト結果は後述)。バッテリーは本体に内蔵され、ユーザーによる着脱を想定していない作りだ。

付属のACアダプタは最近の13.3型モバイルPCとしては少し大きめ(写真=左)。ネジを複数外して底面カバーを開くと、パームレストの下に43ワットアワーのバッテリーを内蔵しているのが分かる(写真=右)。SO-DIMMスロットに装着されたメモリ、7ミリ厚の2.5インチHDD、M.2スロットに装着された無線LANモジュールも確認できた

360度回転ダブルヒンジを搭載、4つのモードで活用できる

 Inspiron 13 7000シリーズ 2 in 1は、液晶ディスプレイが360度回転するヒンジを採用し、計4つのスタイルに変形する。クラムシェル型の「ノートパソコンモード」、スレート型の「タブレットモード」、その中間にあたる「タブレットスタンドモード」、いわゆるサバ折りの「テントモード」に切り替えて利用可能だ。

 タブレットスタンドモードとテントモードは、いずれも写真や動画のコンテンツを楽しんだり、Windowsストアアプリをタッチ操作で楽しむのに適したモードだ。ノートパソコンモードより視聴距離が近くなり、手で持たなくても自立するため、タブレットモードより手軽に利用できる。

 4つのモードで筆者がおすすめしたいのは、設置面積が最も小さくなるテントモードだ。タブレットモードでは重量級だが、テントモードではこの重さにより安定して自立する。キッチン横などのちょっとしたスペースで、料理レシピを確認するといった作業に適しており、1366×768ピクセル表示の13.3型ワイド液晶は比較的大きなアイコンや画面表示によって、本体と多少の距離があっても、画面内容を十分確認できるのだ。このような利用シーンでは、11型クラスの2in1より使いやすい。

 技術的には、「ヒンジの剛性の高さ」と「PC本体の重量バランスのよさ」がポイントだろう。特にヒンジ部は、両手での変形を前提にした硬めのセッティングだが、任意の角度でチルト角度をしっかり調整できる。

ノートパソコンモード(写真=左)とタブレットモード(写真=右)
タブレットスタンドモード(写真=左)とテントモード(写真=右)

 液晶ディスプレイのタッチパネルは、静電容量式(10点マルチタッチ)を採用しており、タッチ操作における画面の滑り、精度、感度、いずれも良好だった。

 さらに、スタイラスペンが付属し、画面を指紋で汚すことなくタッチ操作が可能だ。スタイラスペンは長さが約104ミリ、重さが8グラム(いずれも実測値)で小型だが、意外に持ちやすい。このスタイラスペンは本体右側面の奥に収納できる親切な設計なので、紛失防止に役立つ。

 ただし、電磁誘導式ではなく静電容量式のため、ペンの先端は太めの約3.6ミリ径で、柔らかい素材でできており、筆圧検知には非対応だ。手書きメモやちょっとしたイラスト作成などには問題ないが、繊細な描画などには向かない。

タブレットモードを手に持って使うには重いが、タブレットスタンドモード(写真=左)や、テントモード(写真=右)ならば、自立させたまま手軽にタッチ操作が行える。タブレットスタンドモードはキーボード全体が大きなスタンド代わりになるため、安定してタッチしやすい。テントモードは狭いスペースに設置しやすいのが特徴だ
付属のスタイラスペンは右側面の奥に収納でき、グッと押し込むことで、飛び出してくる(写真=左)。静電容量式タッチパネル用の標準的なタッチペンなので、ペン先は太めになっており、筆圧検知などにも対応しない(写真=右)
スタイラスペンで画面に書く場合、タブレットモードを寝かせた状態にすると使いやすい(写真=左)。タブレットスタンドモードなどでもペンを使えるが、あまり強く書くと、当然ながら液晶ディスプレイが後方に倒れる(写真=右)

 なお、デルは本機の開発に際しても他のInspironノートPCと同様に、2万5000回以上のひねりテスト、2万回のヒンジ開閉テストといった過酷な品質試験を実施したと公表している。さらにタブレットスタンドモード時には、キーボード面が底面となるが、防水キーボードとなっているので、机上が少しくらいぬれていてもキーボードの隙間から浸水して故障するようなことがない点は付け加えておく。

デル株式会社 デル株式会社

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