前回のリポートでも紹介したが、「Windows 10 Technical Preview(TP)」の最新版「Build 9926」に搭載されているWebブラウザは「Internet Explorer 11(IE11)」だ。2015年1月に米Microsoftが開催したプレスイベントでプレビューが行われた「Project Spartan」の名称で呼ばれる新ブラウザではない。
現時点でユーザーが直接触れる方法はないSpartanだが、今回はこの新ブラウザがどのようなものなのか切り込んでいく。
本連載におけるSpartanの最初の話題は、1月イベント直前の「Internet Explorerは廃止されるのか?――ウワサから考えるWindows 10の姿」の記事中で触れたが、まずはこの答え合わせをしておこう。
同記事では「レガシーサポートはIE11で、新技術への対応はSpartanで」という風に解説していたが、どうやらこれは間違いで、「Windows 10にはレガシーと新技術に対応した2種類のWebレンダリングエンジンが搭載され、IEとSpartanともに両者を呼び出せる」ということのようだ。
これは同社公式ブログ「IEBlog」の1月23日のエントリで解説されており、Spartanの背後にあるものの一端を知ることができる。同Blogによれば、Spartanは次のようなものだという。
Yesterday, we announced that Windows 10 will ship with a brand new browser, codenamed “Project Spartan.” Designed for Windows 10, Spartan provides a more interoperable, reliable, and discoverable experience with advanced features including the ability to annotate on web pages, a distraction-free reading experience, and integration of Cortana for finding and doing things online faster.
(昨日、われわれはWindows 10が「Project Spartan」という開発コード名の新しいブランドのブラウザとともに出荷されることを発表した。SpartanはWindows 10向けにデザインされており、より高い互換性、信頼性、そして先進機能によってもたらされる知覚経験を提供する。この先進機能には、Webページへの注釈、障害物のない読書体験、オンライン上での調べ物や作業をより素早く行うためのCortana統合などが含まれている)
Spartan is a single browser designed to work great across the entire Windows 10 device family - from keyboard and mouse on the Windows 10 desktop to touch, gestures, voice, controllers and sensors.
(SpartanはWindows 10デバイスファミリー全体に渡ってうまく動作するよう設計された単一のブラウザとなっている。Windows 10のデスクトップにおけるキーボード+マウスでの操作から、タッチ、ジェスチャー、音声、コントローラー、センサーまでをサポートする)
つまり、Windows 10と名の付くすべての製品へと搭載され、イベントでも紹介されたSpartanの各種機能(注釈やリーディングモード、Cortanaの統合など)をサポートする。さらには、デスクトップからモバイルまで、すべての環境でSpartanという単一のWebブラウザが利用可能になる。
ポイントは、スマートフォンとタブレット、PCで共通のWebブラウザが用意されることで、後述の「Extensions」などの拡張仕様がそのままプラットフォームを横断して利用可能になるとみられる。そして、もし「Windows以外のプラットフォームにSpartanが移植される」ことになれば、ユーザー層をさらに広げることが可能だろう。
Chromeブラウザがこうした仕組みでユーザーをつなぎ止めているとすれば、Spartanもまた同じ方向性を目指すことは想像に難くない。
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