Apple Watchで何ができる? 林信行による事前チェック!!いよいよ詳細が明らかに(4/4 ページ)

» 2015年03月09日 14時16分 公開
[林信行ITmedia]
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Apple Watchの発展

 ここまでアップルという会社がApple Watchという製品をどのように仕立てたかの話をしてきたが、iPhoneやiPadが持つ魅力の半分を構成しているのが、他社開発による数百万種類のアプリやアクセサリーにあるように、Apple Watchも他社とのパートナーシップがあってこそ魅力を発揮する部分は大きい。

 Apple Watchを魅力的にするパートナーシップの1つ目は、Apple Payのパートナーだ。米国ではすでに量販店や文具店、ホテル、ディズニーランドなどでも採用が広がっているApple Payは、日本のおサイフケータイと同列の技術ではなく、どちらかといえクレジットカードそのものの進化形だ(人に番号を覗き込まれる心配がなく、紛失しても安心)。つまり、国境を越えてどの国でも利用ができる。

Apple Watchでは、Apple Payの支払いもできる。このApple Pay機能に関しては、まだ明かされていない秘密が隠されているということだが、筆者は指紋認証などの本人確認の方法ではないかと思っている(もしかしたら、Apple Watchのディスプレイで指紋認証ができる?

 実際に日本でもすでにCostcoなどでは支払いが可能になっている(ただし、登録には米国住所で登録されたクレジットカードが必要で、基本的に国内在住の人はまだ機能を利用できない)。

 日本で広く普及している交通系ICカードを置き換えるのは大変そうだが、今後、例えば米国で導入されているグローバルチェーン店やコンビニ店などでの採用が始まれば、一気に日本でも広がりそうだ(2020年の東京オリンピックに向けて、日本が海外からの旅行者を歓迎している点もApple Pay国内普及への追い風だろう)。

 現在、Apple Payは、iPhone 6または6 Plusを使って行うことになっているが、実はApple Watchを使っても支払いが可能になる予定だ。ちなみにApple Watchを使ったApple Payの支払いにはちょっとした仕掛けが隠されているそうだ。これも今晩のスペシャルベントで明かされることになるだろう。

 Apple Watchのパートナーというと、まさに思い浮かぶのは、Apple Watch用のアプリ(グランス)の開発者かもしれない。しかし、アプリだけで実現できるイノベーションには限度がある。

 そこでアップルは、いくつかの大企業と組んで2020年代のライフスタイルを予見させるようなパートナーシップを結んでいる。

 スターウッドホテル系のWホテルでは、Apple Watchの画面上の操作で簡単にホテルにチェックインできるサービスを開発。チェックイン後は、Apple Watchがホテルの部屋の鍵代わりになる。自分の部屋のドアの前でApple Watchを振るとドアが開錠する。

スターウッドホテル

 BMWは、同社の最新式自動車の充電量を確認したり、駐車した場所まで地図で案内してくれるアプリを提供する。

BMW

 アメリカン航空は飛行機に簡単にチェックインでき、どのバゲッジクレームに行けば自分の荷物をピックアップできるか教えてくれるアプリを開発。

アメリカン航空

 ハニーウェルはApple Watchから同社製エアコンを操作して部屋の温度調整をするアプリを、LutronはApple Watchの画面から部屋の照明をコントロールするアプリを提供する。

 MLBのアプリは米メジャーリーグのリアルタイムのスコアを表示、Pinterestのアプリは気になってピンしておいた場所に近づくと、そのことを知らせてくれる。City Mapperというアプリは、どの電車に乗ったらいいかを教えてくれるだけでなく、降りる駅が近づくと振動で教えてくれる。

 もちろん、TwitterやFacebook、Nikeのアプリもある。

CityMapper

Nike

 これに加えて、2014年から一般提供が始まっているWatchKitという開発環境を使って、すでに世界中の開発者がApple Watch用アプリの開発を始めており、今夜のスペシャルイベントではその中でも特に優秀なものもいくつか紹介される可能性が高い。

 Apple Watchの利用にはiPhoneが必須であり、iPhoneの販売台数を超えるようなことはないし、あってはならない。そういう点ではApple Watchも、他社のリストバンド型ウェアラブル製品も同じだろう。

 しかし、iPhoneがそうだったように、Apple Watchは世界中の開発者を非常にうまく巻き込んでおり、その連携を通して、これまでのリストバンド製品が築けていなかったような生態系、築けていなかったような新しいライスタイルの提案を、製品発売前から展開しており、そういう意味でも、これまでで一番未来が見えているウェアラブル製品だと言っていい。

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