ZENBOOK UX305FAは、1920×1080ピクセル表示に対応した13.3型ワイド液晶ディスプレイを搭載する。IPS方式で視野角が広いうえ、非光沢パネルため映り込みが少なく目への負担も少ない。写真を表示した際のパキっとした鮮やかさでは光沢パネルに劣るものの、屋外でも使うモバイルノートPCという点では非光沢を喜ぶ人も多いはず。特に仕事用マシンとして購入を検討している人はうってつけと言える。なお、画面輝度の設定は、10段階中、最も暗い状態でがくっと輝度が下がるが、それ以外は十分実用的な明るさだった。
キーボードは6段配列のアイソレーションタイプで、キーピッチは実測で約19ミリと余裕がある。主要キーのサイズは、横が16ミリ、縦が15ミリ。縦のキートップがわずかに短いのは、キーの手前側に約1ミリの隙間を設けているからで、ピッチ自体は変わらない。最上段のキーは縦がかなりつまっているが、全体的に余裕がありタイピングしやすい。キーのクリック感も良好だ。タッチパッドの入力域は、実測で約104(横)×73(縦)ミリと非常に広い。クリックボタンはパッドと一体化されており、クリック感はやや柔らかめな印象だった。
それではベンチマークテストで本機のシステム性能を見ていこう。薄型化やファンレス設計、長時間バッテリーライフに貢献しているCore Mだが、純粋なパフォーマンスという面ではどうだろうか。評価機のスペックを再掲すると、CPUがCore M-5Y10(800MHz/最大2GHz)、4Gバイトメモリ(LPDDR3-1600)、128GバイトSSD、グラフィックスがCPU内蔵のHD Graphics 5300という構成だ。
まず、CPUの性能を評価するCINEBENCH R11.5のCPUスコアは、マルチで2.27ptという結果になった。ASUS Shop限定販売モデルに搭載されるCore M-5Y71(1.2GHz/最大2.9GHz)と同じCPUを採用したASUS TransBook T300 Chiは2.38ptsとなっており、性能差は約5%ほどと大きく変わるわけではなさそうだ。店頭向けモデルとWeb限定モデルのどちらを選ぶかは、SSD容量とOfficeのどちらが必要かで考えればいいだろう。
ストレージ性能を測るCrystalDiskMarkは、シーケンシャルリードが515.4Mバイト/秒と500Mバイト/秒を超える一方で、リードはやや遅い結果となった。最近採用例が増えつつあるPCI Express接続のSSDに比べると速度は見劣りするが、Serial ATA接続のSSDとしては十分なスピードといえる。なお、評価機にはSanDisk製「SD7SN3Q128G1002」が搭載されていた。
実際のアプルケーションを用いてシステム全体の性能を評価するPCMark 7とPCMark 8(Home Accelerated)は、総合スコアが順に4286、2587とまずまずの結果となった。比較的高速なSSDの恩恵で全体的に底上げされておりバランスは悪くない。TDP 4.5ワットのCore Mながら、クリエイティブワークやゲームといった負荷の高い作業でなければ問題なくこなしてくれそうだ。逆にそうした用途を想定しているのなら、CPU性能だけでなく、メモリ容量やストレージ容量からいってもこのモデルは適さないので別の製品を検討したほうがいい。
最後にグラフィックス性能を評価する3DMarkを実施した。Graphicsのスコアは順にIce Stormが53307、Cloud Gateが5680、Sky Diverが1848、Fire Strikeが630という結果。CPU内蔵のHD Graphics 5300では、高負荷なテストはさすがに厳しい。なお、FINAL FANTASY XIV:新生エオルゼアベンチマーク キャラクター編は、標準品質(ノートPC)/1280×720/フルスクリーンで3311というスコアとなっている。指標では「やや快適」となっているが、実際のプレイは厳しいだろう。カジュアルゲームでも「動きはする」という程度に考えていたほうがよさそうだ。
ZENBOOK UX305FAの魅力は、13.3型フルHDの広く見やすいIPS液晶や、携帯性に優れた薄いボディ、長時間バッテリーライフ、SSDによる高速応答性といった特徴を10万円強という価格で実現した点にある。個別に見れば本機よりも高い性能、より軽量なボディ、最新技術を盛り込んだノートPCは存在するが、コストパフォーマンスという点においてUX305FAは群を抜いていると言っていい。授業のリポートや仕事の資料作成で利用する普段使いのモバイルノートPCを探してる人は、真っ先に検討したい1台だ。
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