以前に『「Windows 10」無料アップグレードと最低システム要件の注意点』の記事でも紹介したが、Microsoftでは海賊版WindowsからのWindows 10へのアップグレードを認めておらず、あくまでWindows 7またはWindows 8.1の正規ユーザーに対してのみ1年間限定での無料アップグレードを認めている。
この海賊版についての扱いでも度々情報が錯綜(さくそう)するなど、Microsoft社内でも議論が続いていた様子がうかがえるが、今回のオウル氏のケースは異なると筆者は考える。単純に同氏の「説明ミス」か、あるいは「後で“穴”に気付いて“ふさぎ”にかかった」のいずれかで、同社にはそもそも非正規ユーザーに無料でWindows 10を提供する意図はなかったと思われるからだ。
そもそも、すべてのユーザーにWindows 10を無料提供するならば、まわりくどい手順はとらずに最初から無料でのダウンロード提供を行うと大々的に発表していただろう。
本来、オウル氏が自身の6月19日の投稿で意図していたのは「7月29日を境にWindows Insider Programを続けるユーザーと、そうでないユーザーが発生する」ということで、特に後者に対して「製品版へのアップグレードに関する手順」を説明するのが目的だった。これは22日に全面的に書き替えられた同氏の投稿からもうかがえる。
Windows 10 Insider Previewを日頃から使っているユーザーなら分かると思うが、開発途上ビルドだけに安定性が低く、筆者も過去2回ほど手持ちの「Surface Pro」をWindows 8.1まで“ロールバック”してWindows 10 Insider Previewを入れ直している。「(トラブルの少なくなる)クリーンインストールをしたい」と考えるユーザーも当然多いだろう。問題となった同氏の「ISOからのクリーンインストール」に関する記述は、こうしたユーザーの疑問に答えたものだ。
結論を言えば、Windows 10製品版をアップグレードによって無料で入手できるのは、以下に限られる。
それ以外でのケースでは、Windows 10 Insider Previewを利用しているシステムでも、いったん旧OSへ“ロールバック”して認証後にWindows 10製品版へアップグレードするか、Windows 10製品版の新規ライセンス購入が必要だ。
同氏は「Windows XPやWindows Vistaのユーザーは対象外」と明記しており、これは通常のWindows 10無料提供プログラムと変わらず、Windows Insider Program参加者でも例外ではないと念を押している。
もし、クリーンインストールを行いたいというユーザーがいるならば、面倒ではあるが、いったんアップグレードによってWindows 10のインストールを完了させた後、システムの初期化機能でクリーンインストールと同じ状態を作るしかないかもしれない。この辺りの手順は、追って本連載の中でフォローしていきたい。
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