連載
» 2015年08月05日 06時00分 公開

「Windows 10」アップグレードは予想外の展開へ鈴木淳也の「Windowsフロントライン」(1/2 ページ)

待ちに待った「Windows 10」無料アップグレードの提供開始。しかし、7月29日からのアップグレード対象マシンの挙動は予想外のものだった。

2台体制で臨んだ「Windows 10」アップグレードだったが……

 日本が7月29日になって「Windows 10」のアップグレード報告が次々とインターネット上に出てきた頃、筆者が出張していた米シアトルは7月28日の午前中だった。周囲を見渡しても、まだ何も動きがない状態だ。

 Microsoftは事前に「各地域の時間で7月29日になるとダウンロードが開始される」と予告していたが、実際に日本を離れることで、この時差を体験できたわけだ。今回は、公開日に米Microsoft本社を訪れていた筆者の環境におけるWindows 10アップグレードの状況についてまとめてみた。

Windows 10 シアトル出張ではマシン3台(Surface Pro、Surface 3、MacBook Pro)を持ち込んで、「Windows 10」のアップグレードへ備えた。もちろん、アップグレードするのはSurfaceシリーズの2台で、MacBook Proは今回の原稿執筆用だ

 普段は複数のWindowsマシンを使っている筆者だが、出張ということもあり、それほど多くの台数を持ち歩くことはできない。そこで優先順位が高く、アップグレードが真っ先に可能だと思われる「Surface Pro」と「Surface 3」の2台をチョイスして、今回のWindows 10アップグレードに備えた。

 Surface Proは普段から本連載の執筆に用いているマシンで、最初期から「Windows Insider Program」に加入して「Windows 10 Insider Preview(以前はTechnical Preview)」を導入し、ほぼ最新ビルドを維持し続けている。7月16日にはRTM(Release To Manufacturing)相当の「Build 10240」となり、日本からの出発前にWindows Updateをかけて最新状態にしたうえでシアトルに持ち込んだ。

 ただ、これではWindows 8.1 Updateからのアップグレードを試せないため、別途Surface 3を用意した。メーカーやデバイス単位で互換性検証が行われて準備のできたものからアップグレードが可能になるという事前情報があり、Microsoft製品のSurfaceや米大手メーカー製PCは比較的アップグレードの優先順位が高いと判断し、Surface 3ならば7月29日中のアップグレードが可能と考えたからだ。

 Surface 3も初期セットアップ時点で「Windows 10無料アップグレードの予約」を行い、最新の更新プログラムを全て適用した状態でSurface Pro同様にシアトルへ持ち込んだ。

最新状態のInsider Previewはアップグレードできず

 Microsoftの事前情報によると、7月29日からWindows 10 Insider PreviewにはWindows 10正式版のアップグレードが最も早く提供されるとの話だった。そのため、Windows Insider Program参加者には、7月29日を境に、Windows 10 Insider Preview上から同プログラムを終了し、Windows 10正式版に乗り換える「オプトアウト」という手段が用意されている。

 結論から言えば、もし利用中のWindows 10 Insider PreviewがBuild 10240で最新状態の場合、7月29日以降で変化するのはオプトアウトの扱い、つまり「Windows 10正式版の利用に切り替えるか」か「Windows Insider Programに参加したまま、Windows 10 Insider Previewを使い続けるか」の2種類のみだ。別途ダウンロードなどを経てのアップグレード作業は発生しない。基本的にはBuild 10240をインストールした時点で作業は完了しているというわけだ。

 筆者のマシンはWindows 8.1 ProにWindows 10 Insider Previewを導入した状態であり、既にライセンス認証が完了している。そのままオプトアウトすれば、Windows 10正式版に移行できるわけだが、いち早く今後の新機能を試したいため、Windows 10 Insider Previewを「Fast Ring」設定で使い続けるという選択をした。とはいえ、次のビルドが配信されるまでは、他のWindows 10正式版ユーザーと同じ環境で利用できると考えている。

Windows 10 「Windows 10 Insider Preview」のテストにずっと使ってきた「Surface Pro」の設定画面。Windows 8.1 Update経由でWindows 10 Insider Previewを導入しており、ライセンス認証も完了している。つまり、このマシンでWindows 10 Insider Previewからオプトアウトすれば、Windows 10 Proの正式版に移行する
Windows 10 Windows Update設定の詳細オプションから「Insiderビルドを停止する」の操作を行うと、Windows 10 Insider PreviewからWindows 10 Proの正式版に移行できる。しかし、一度Windows Insider Programから抜けてしまうと、しばらく最新ビルドがダウンロードできなくなる可能性があるため、今回はオプトアウトしなかった

 なお、既存のWindows 7(SP1)/Windows 8.1 Update環境からWindows 10にアップグレードするマシンでは、Windows 10 Insider Previewであっても、Windowsのルートフォルダに「$Windows.~BT」というフォルダが作成され、一度アップグレードに必要なファイルイメージがダウンロードされる仕組みになっているようだ。

 同フォルダの作成日時は7月11日、最終更新日が7月16日となっていた。筆者の予想だが、恐らく7月11日というのは「当初Windows 10のRTMが提供されるはずだった日」だとみられ、それが何らかの理由で「7月16日」となってBuild 10240のWindows Insider Program参加者への配信が行われたとみている。

 このBuild 10240のインストールをもって、事実上のWindows 10アップグレードは完了したとみていいだろう。筆者の周囲やインターネット上の反応を見ても、7月29日にWindows 10 Insider Previewでアップグレード作業が発生したような動きはなかった。

 どうやら、オプトアウトすることで直ちに正式版へ移行できるという意味合いで、「Windows Insider Program参加者には最速でWindows 10アップグレードを提供する」とMicrosoftが告知したようだ。

Windows 10 Surface Proのルートフォルダを見ると、隠しフォルダとして「$Windows.~BT」が作成されていた
Windows 10 筆者の環境で作られた「$Windows.~BT」フォルダの容量は4Gバイト程度だった。フォルダの作成日時が7月11日、最終更新日が7月16日ということで、Build 10240へ更新される際に作成されたフォルダと分かる

 実際、これ以降は何度Windows UpdateをチェックしてもWindows Defenderの定義ファイルが更新されるだけで、何の新規アップデートも出現しなかった。結論としては、「何もせずとも既にWindows 10正式版のアップグレードが完了していた」というのが。筆者のSurface Proの状況だ。

Windows 10 Build 10240になったSurface Proでは、何度Windows UpdateをかけてもWindows Defenderの定義ファイルが更新されるだけで、新しいアップデートは落ちてこない。どうやらこれこそが、Windows 10の正式版と同じ状態のようだ

 それにしても、一般公開日である7月29日の段階で何らかのアップグレードがあると期待していたWindows Insider Program参加者は多かったことだろう。特に日本で深夜0時からWindows Updateを確認していた熱心なWindows 10 Insider Previewユーザーにとっては、予想外のオチであり、肩透かしだったのではないだろうか(結果的に、最速でWindows 10正式版を使える環境にあったのは間違いないのだが)。

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