なぜWindows 10は発売前に無料アップグレードを提供するのか?鈴木淳也の「Windowsフロントライン」

» 2015年06月16日 17時00分 公開
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Windows 10の無料アップグレード提供日は決まったが……

 米Microsoftは7月29日に日本を含む世界190カ国で、次期OS「Windows 10」の提供を開始する。2012年10月発売のWindows 8以来となるメジャーアップグレードだ。

 ただし、7月29日に提供されるのは、PC/タブレット向けWindows 10(for PC)の無料アップグレードに限られる点に注意したい。OSパッケージ製品の発売日および価格は現時点で未定だ。Microsoftは6月初旬に開催された「COMPUTEX TAIPEI 2015」で、Windows 10に対応した計96の新製品が登場すると発表したが、これらの発売日や価格も明らかにされていない。

 ちなみに、スマートフォン/小型タブレット向けの「Windows 10 Mobile」など、他のエディションは今年後半に順次提供される予定だ。

PC/タブレット向けWindows 10は、7月29日の提供開始が決まった
6月初旬に開催された「COMPUTEX TAIPEI 2015」のMicrosoft基調講演で示された現在のWindows 10におけるステータス。Windows 10に対応した計96の新製品が登場すると予告したが、具体的な製品の発売スケジュールなどは不明だ

まずはWindows 7/8.1ユーザーに無料アップグレードツールを提供

 7月29日に提供されるWindows 10の無料アップグレードは、既存のWindowsユーザーを対象にしている。これは提供開始から1年間は「Windows 7(SP1)」「Windows 8.1 Update」「Windows Phone 8.1」の“正規”ユーザーを対象にWindows 10(Windows Phone 8.1の場合は「Windows 10 Mobile」)への無償アップグレードが可能というものだ。

 6月1日にWindows 10の無料アップグレード提供日が発表されるとともに、Windows 7/8.1にはWindows 10への無料アップグレード予約機能が加わっている。通知領域に現れるWindowsアイコンをクリックすると、無料アップグレードの予約が行える新機能だ。この予約をしておくことで、Windows 10が利用可能になると自動でダウンロードが開始され、アップグレードができる。

Windows 7/8.1にはWindows 10への無料アップグレード予約機能が追加された。通知領域に表示されるWindowsアイコンをクリックすると、ウィンドウが開いてWindows 10のアップグレード予約が行える

Microsoftはなぜ期間限定でWindows 10を無料公開するのか?

 こうした期間限定の無料アップグレードを行う背景には、まずWindows 7のシェアが依然高い点が挙げられる。Windows 7という“レガシー”環境を使い続けるユーザーを対象に早期アップグレードを促進することで、2020年にやってくるWindows 7の延長サポート切れを待たず、Windows 10の利用比率を増やしたい考えだ。

 もう1つは販売戦略の問題だ。以前にWindows 10のリリースが7月になる見込みだと紹介したとき、PCを開発・販売するOEMメーカー各社が「RTM(Release To Manufacturing:量産出荷版)」と呼ばれるWindows 10の最終バージョンを入手できるのが7月中で、OS公開日まで1カ月もない状態となるため、7月29日のタイミングで「Windows 10プリインストール」の状態で出荷されるPCは非常に限られる見通しと説明した。

 ゆえにPCメーカー各社は7月末以降、年末商戦に向けて五月雨式にWindows 10プリインストールPCを市場に出荷していく形となる。おそらくは、8月ごろの発表が見込まれる「Skylake」ことIntelの第6世代Coreプロセッサの登場を経て、9月初旬の「IFA 2015」の時期にSkylake搭載PC新製品が各社から発表され、9月末〜11月くらいにかけてWindows 10プリインストールPCとして順次出荷されると予想する。

COMPUTEX TAIPEI 2015で紹介されたSkylake搭載の東芝製PC「Astrea」。Windows 10プリインストールで秋以降登場とみられる
同じくCOMPUTEX TAIPEI 2015で展示された「Dell XPS 15」。狭額縁ディスプレイが特徴だ

 つまり9月くらいのタイミングまでは「Windows 8.1搭載PC」のほうがメインとなり、この時期を過ぎても今年いっぱいくらいはコンシューマー向けPCでWindows 10をプリインストールしない製品も比較的多く存在していると考えられる。

 そのため、しばらく販売され続けるWindows 8.1搭載PCのWindows 10へのアップグレードを保証しなければならないが、今回の施策によって1年間は無償でアップグレードが可能ということで、少なくとも旧OSのまま取り残されるということはない。つまり、Windows 10プリインストールPCでなくとも、購入して損はないということだ。

 その一方で、Windows 10が標準でサポートしないハードウェアのドライバや独自ソフトウェア(アプリ)は、OEMメーカー各社が対応しなければならないが、対応状況は順次告知されるだろう。


 というわけで、MicrosoftのWindows 10無料アップグレード施策には、「既存ユーザーの早期移行」と「買い控えを防ぐ」という2つの大きな狙いがある。

 7月29日のタイミングでは、店頭で新OSのパッケージ販売が行われることはなく、PCショップ系のオリジナルモデルなどプリインストールPCの発売も限定的なので、過去のWindows OS発売時のような大騒ぎにはならない見通しだ。せいぜい、個人ユーザーが各々のPCをWindows 10へ一斉にアップグレードしようと、Microsoftのサーバに殺到する程度だろう。

 むしろ、夏以降に本格化するであろうWindows 10搭載PCのラインアップ拡大に注目したい。

「鈴木淳也の「Windowsフロントライン」」バックナンバー


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年02月13日 更新
  1. 6500円でデスクに新風! Thermalrightの小型液晶がヒット、背景にメモリ高騰? (2026年02月09日)
  2. 手のひらサイズの小型PCがお得に! GEEKOMが「冬セール」を開催中 (2026年02月12日)
  3. ワコムが安い? 驚きの2025年を振り返り メモリ高騰におびえる2026年の「自作PC冬眠」と「次世代CPU」への期待 (2026年02月12日)
  4. カラー電子ペーパーで好きな画像を飾れる「SwitchBot AIアートキャンバス」が楽しい 13.3型の迫力と魅力 (2026年02月13日)
  5. キンタロー。も驚くほぼ「入力ゼロ」の“次世代”確定申告 2026年の弥生は3つのAI活用とデスクトップ製品強化を両輪に (2026年02月12日)
  6. PC値上げの波はVAIOにも? 糸岡社長が明かす「マウスエフェクト」への対応とブランド価値の向上 (2026年02月13日)
  7. 新ARグラス「XREAL 1S」を試す 解像度と輝度が向上、BOSEサウンドで没入感アップ “3D変換”も大きな魅力 (2026年02月10日)
  8. アイ・オー、拡張ドック機能を備えたType-C接続対応の27型4K液晶ディスプレイ (2026年02月12日)
  9. 元Appleのジョナサン・アイブが手掛けるフェラーリ初EVの内装デザイン公開 物理ボタンとデジタルの融合 (2026年02月10日)
  10. 「雲」から降りてきたAIは「パーソナル」な存在になれるのか――開催から1カ月経過した「CES 2026」を振り返る (2026年02月12日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー

2026年