日本では独自性の高いスマートフォンが複数販売されて話題となった「Windows 10 Mobile」だが、世界的には苦戦が続いている状況だ。MicrosoftはこのモバイルOSを今後どうするつもりなのか、近況をまとめた。
調査会社の米IDCが発表した資料によれば、2016年第1四半期(1〜3月期)に0.8%だったWindows 10 Mobile(旧Windows Phone含む)のシェアは、第2四半期(4〜6月期)には0.4%まで半減している。
この数字は出荷数ベースのため、ほぼ新製品がない状況では当然の結果と言えるが、Windows 10 Mobileのシェアが上昇する余地はなさそうだ。恐らく第3四半期(7〜10月期)は「HP Elite x3」などの新製品が出荷され、若干持ち直す可能性があるものの、依然シェアの面で厳しいことに変わりはないだろう。
Microsoft自身もこの状況を覆すのは既に難しいと考えているようだ。製品アピールは「個人向け」ではなく「企業向け」を前面に押し出す戦略に切り替えつつある。Office関連など生産性向上ツールはAndroidやiOS向けにも提供する一方、主に企業向けにはWindows 10 MobileのOS面での機能拡充を行っている。
実際、仏メディアのLe PointがMicrosoft Franceのトップに今夏から就任しているバヘ・トロシアン(Vahe Torossian)氏をインタビュー取材した9月の記事では、「Windows Phoneにおける戦略は、一般向けというよりも、ビジネスに注力している」とコメントしている。
これは最近のMicrosoftの動向を裏付ける発言の1つでしかない。ただ、一部でうわさとなっていた「Surface Phone」が、既存のLumiaを置き換える製品として登場する可能性は薄いだろう。既存ラインの延長線上での市場投入は行われずに、フェードアウトしたと考えるのが妥当だ。
一方、同氏は「Windows 10 Mobileのサポートは今後も継続する」という点を強調している。これは重要なポイントで、低空飛行ながらもWindows 10 MobileのOSとしての機能強化は続けられていくということだ。
Nokiaの買収によって獲得したモバイルハードウェア開発部門を整理する話題が出た際、Windows&デバイス部門(WDG)担当のテリー・マイヤーソン氏はパートナーらに対してサポートの継続とLumiaデバイスの今後の市場投入を約束するメールを送っている。
少なくとも、既にWindows Mobileデバイスの展開が進んでいる企業へのサポートも考慮して、今後5年以上の継続的な機能強化やセキュリティ対策は行われるだろう。
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