2019年3月ごろから“稼働バイナリ”に関するリーク情報が相次いでいた「Chromium Edge」だが、4月8日(米国時間)のタイミングで正式にMicrosoftから開発者向けテストプログラムの開始がアナウンスされ、Windows 10用のCanary Channel(毎日更新)と、Dev Channel(毎週更新)の2つの開発チャネルでアプリの提供が開始されたのは既報の通りだ。
この開発者版のダウンロードは、Microsoft Edge Insiderのサイトから行える他、より詳細な技術情報についてはMicrosoft Edge Developer Blogから参照できる。現時点ではWindows 10のみの対応だが、先日のリーク情報からの報告にもあったようにWindows 7、Windows 8.1、macOS版の提供計画も予告されている。
実際にChromium Edgeを導入してみると、専用アイコンが追加され、あくまでEdgeとは別のブラウザとして動作テストが行えるようになっている。ボタン等の配置がEdgeの面影を残す一方で、設定画面等はChrome(Chromium)そのもので、ユーザーインタフェースに関してはハイブリッド感のあるものだ。
一方で、普通にさまざまなWebサイトはサービスにアクセスする限りはChromeやEdgeとの差異を見つけにくく、多くのユーザーには「ChromeとEdgeのどちらを使ってもいい」と思わせるものかもしれない。
しかし、Microsoftが公開しているChromium Edgeの開発計画を見る限り、現状でChromeを利用している多くの一般ユーザーはそのままChromeを利用するのがベストであり、Chromium Edgeを利用するのに向いているのは「特にこだわりがなく、デフォルトブラウザをそのまま利用するユーザー」「企業等でアプリやサイトアクセスの挙動をポリシーを通じて管理する必要のあるユーザー」の2種類になると分析している。
MicrosoftはEdge Insider Programを提供する意図について「Chromium Edgeの導入が少しでも早くなる効果が見込まれる」ことを挙げているが、そのChromium Edgeへの移行の目的は「Web標準へより準拠を進める」「Microsoft側のリソースをChromiumプロジェクトにフィードバックする」の2点にある。
前者は、Internet Explorerを捨ててEdgeHTMLを採用したMicrosoftが当初Edgeの目標としていた部分に重なるが、現状はまだテスト版であることを反映してか、Chromeと同じBlinkエンジンを採用しながらも「標準化テストのスコアが低下している」という報告があり、まだ発展途上にあるようだ。
後者については、4月9日〜10日にカナダのGoogle Waterlooオフィスで開催された「BlinkOn 10」において、Microsoftのクリスチャン・フォルティーニ氏が行ったプレゼンテーションのスライドがTwitter上でWalkingCatによって公開されており、今後どのような形でChromiumが進化していくのかの一端を垣間見られる。
顕著なものはARM64対応やスムーズスクロール、メモリやバッテリー消費低減など、MicrosoftがEdgeHTML開発で比較的力を入れているポイントがそのまま反映されたものだ。特にデスクトップOSシェアで9割を握るMicrosoftが最適化を得意としているゆえんもあり、今後ChromiumだけでなくChrome開発にもある程度の効果が期待できると考えている。
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