一方、より興味深いのが同プレゼンテーションで示されている「Services we replaced or turned off」という項目だ。一覧を見ると分かるが、ほぼGoogle系のサービスがブロックされている。これらを順次Microsoft系のサービスで置き換えているのがChromium Edgeということになるが、つまりChromeの感覚でChromium Edgeは使えず、あくまで「レンダリングエンジンの変更されたEdge」と考えなければならない。
これまでChromeを使ってきたユーザーがChromium Edgeを利用するメリットは薄く、特にこだわりがない、あるいは「企業内でポリシーに基づいてブラウザ利用を管理」していたケースでの利用に向いている。Internet Explorerを早期に排除したいと考えるMicrosoftにとって、Chromium Edgeは「IEの置き換え」を推進するポジションを目指すのだろう。
企業用途、またはこだわりのないユーザーにChromium Edgeは向いていると言及したが、Edgeの勢力がマイノリティーである以上、たとえレンダリングエンジンがBlinkベースに移行したとしても問題はまだまだあると考える。
特定のサービスが特定のブラウザ環境を要求する問題で、筆者が2018年に利用した米国のビザ申請ページの場合、申請書をオンライン登録する作業ではIE11またはChrome 58以上のブラウザ環境が必須で、このためにChromeを利用している。加えて、本人写真をアップロードするツールに至っては「IEのみ」という条件付きであり、久々にIEを起動することになった。Edgeのみで作業できる日がくるのかは不明だが、世間の多くのユーザーがChromeとIEに依存している限り、こうした制限付きサイトでの苦難は続くと思われる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.