8億台稼働を達成したWindows 10の“次”は何が変わる?:鈴木淳也の「Windowsフロントライン」(1/2 ページ)

» 2019年03月13日 12時00分 公開

 2018年9月に開催された「Microsoft Ignite 2018 カンファレンス」において、MicrosoftはWindows 10の世界での稼働台数が7億台を突破したことを報告している。

 それから約半年後にあたる3月8日(米国時間)、これが8億台の大台に乗ったことを報告した。Windowsの稼働状況を報告する公式ページでもこの旨の告知を行っており、ファクトシートが確認できる。当初は想定以上に切り替えが進まずに苦慮していたWindows 10だが、少し前まで最大勢力を誇っていたWindows 7の延長サポート終了が2020年1月14日と間近に控えており、Microsoftならびに関連各社らは最後のラッシュに向けた施策を続けていくことになる。

Windows 10 Windows 10の世界での稼働台数が8億台の大台に乗ったことを報告する公式ページ

同時開発が進む「19H1」と「20H1」の関係

 ここ最近少し話題となっていたのが「Skip Ahead」だ。現在、Windows Insider Program参加者向けに提供されているWindows 10「20H1」の開発者ビルドの存在だ。1月末から2月初旬にかけて、恒例となる先行ビルドを導入可能な「Skip Ahead」の分岐が出現したが、その後最初にSkip Aheadとして配信されたのは、本来であれば“次回”のSkip Ahead分岐で利用可能になるはずの20H1だった。

 今、Windows 10(1903)として4月リリースに向け開発が進んでいるのは「19H1」で、3月8日(米国時間)にFast Ring向けに「Build 18353」が配信されたことからも分かるように、「18000」台前半のビルド番号で推移している。

 通常であれば、以前の記事でも触れたように、この段階のSkip Aheadとして配信されるのは「18000」台後半のビルド番号でかつ「19H2」になるはずなのだが、2月14日に最初に配信されたSkip Aheadは「Build 18836」でかつ20H1だった。

 つまり、ビルド番号的には順当ではあるものの、OSバージョンとしては2020年前半に登場する1年以上先の開発者ビルドとなっている。Microsoftによれば、「20H1の開発には少々長いリードタイムが必要」とのことで、本来のサイクルを無視して次々期バージョンの開発を優先しているようだ。

Windows 10 Windows Insider Programで選択できる「Skip Ahead」の仕組み

 これに関して、ZDNetのメアリー・ジョー・フォリー氏が興味深い情報を紹介している。いわゆる「WCOS」(Windows Core OS)や「Windows Lite」のような新しい試みや、“Chromium Edge”のようなブラウザの一大改修プロジェクトにリソースを割く必要があるから、といった予測がある一方で、ジョー・フォリー氏は自身の情報源から「Microsoftの内部事情によるもの」だとしている。

 ことの発端は2018年春に発表された大規模なMicrosoftの組織改革で、Windows開発チームは実質的にAzureチームの傘下に入ることになった出来事に起因する。

 AzureではWindows 10 Serverのカスタム版をクラウドの動作基盤に使用しているが、このWindows 10 Serverに使われる「Windowsのコア(いわゆるKernel的なもの)」はクライアントやオンプレミスのサーバ、あるいはXboxのようなシステムを主なターゲットとして開発されているもので、これをAzureに最適化するために“幾分か時間を要する”ということで、20H1の開発を早めに分岐させてリードタイムを確保したのだという。注意したいのは、この「Windowsのコア」は前述「WCOS」とは無関係のもので、あくまでMicrosoftが内部的に開発している「コア部分」なのだという。

 同氏によれば、Windows 10のSAC(Semi-Annual Channel)ではOSの機能アップデートが一般提供されるのが毎年4月と10月の年2回サイクルとなっているが、これとは別に内部的にコア部分を開発するプラットフォーム向けのリリースが存在しており、最終的に上記のSACのような完成版OSに組み込むための基盤として各開発チーム(クライアントやサーバなど)への提供が行われている。この提供サイクルもやはり年2回であり、そのタイミングは毎年6月と12月となっている。

 流れとしては、6月にリリースされたコア部分が10月のSACに流用され、12月にリリースされたコア部分が4月のSACに流用される。現在、Microsoftは19H1が完成間近であり、2019年10月リリースを目標にした次期バージョンにあたる19H2向けには、6月に完成が見込まれる「Vanadium」という開発コード名のコア部分が流用されることになるはずだった。だが実際のところ、この「Vanadium」はスキップされる予定となり、コア部分の開発チームは今年2019年12月に完成予定の「Vibranium」に注力しているという。これは順当にいけば20H1に組み込まれるコアで、冒頭のSkip Aheadが「1世代スキップした」理由に帰結する。

 2020年6月完成を目標にしている「Manganese」というコア部分は、やはり2020年10月にリリースが見込まれる「20H2」に組み込まれる予定で、19H2の世代だけがスキップ対象となっている。結果として、19H2のコア部分は19H1と同等であり、基本的には機能面でもマイナーアップデートに留まるようだ。

 「SACの年2回更新は多過ぎる」という批判は常にあるものの、今回の措置が即SAC廃止で年1回更新へとつながるわけではなく、あくまで「2019年のみの特別措置」という対応になるという。 

 なお製品シリーズにはよるものの、「Microsoft System Center」のように最新版にあたるSystem Center 2019でSACを廃止して、LTSC(Long Term Servicing Channel)に一本化するというものも出てきている。Windows 10の一般クライアント向けリリースでは今後もSACは継続されることになるが、すでに複雑化するサポートポリシーを反映して、そう遠くないタイミングである程度の見直しがかかるのではないかと推測している。

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