Microsoftは、8月1日にWindows 8がRTM(Release To Manufacturing)のステータスに到達したことを報告している。一般ユーザーへの販売を開始するのは10月26日だが、それに先行する形で8月15日(現地時間)にMSDNとTechNetで開発者向けのRTM配信がスタートした。先行して入手したユーザーの声から、Windows 8 Release Preview(W8RP)との違い、そして、Windows 8の正式リリースまでのスケジュールを整理していこう。
内部的なブラッシュアップはあるにせよ、インストール手順や操作手順、画面構成などは、RTMにおいてもW8RPからほぼ変化していない。W8RPが完成品に近い状態にあったということだろう。PC Magazineによれば、大きな変更点には、「スタート画面」で使用する“背景の模様”が増えるなど、カスタマイズ性が向上しているのと、アプリ起動時の「Preview」表示がなくなり、デフォルトのロックスクリーンの背景が「“Space Needle”と呼ばれるシアトルのランドマークをあつらえたイラスト」になった程度だという。
初起動時には「チュートリアル」が呼び出され、Windows 8のタッチスクリーンで初めて採用した「画面を端からなぞってメニューを呼び出す」といった動作を解説する。これは、W8RPでは用意していない機能で、製品版ならではの仕様といえる。Mail app、People appといったW8RPで標準搭載されていたMicrosoftのアプリもそのままで、このあたりは違和感なくW8RPからRTMへ移行できる。
「Windows Store」が正式版へ移行したことは、RTMにおける最も大きなポイントと考えていいだろう。これまでのWindows Storeはβ版の位置付けで、「有料アプリの購入」「In-App Purchaseの利用」「“Try”によるアプリの試用」といった機能はサポートしていなかった。これは、Windows Store側では、これら機能がすでに提供できるようになっていたものの、W8RPで用意するStoreアプリがβ版のままだったため利用できなかったためで、今回のWindows 8 RTMに用意するStoreアプリでようやくすべての機能を利用できるようになった。
ただ、Windows 8の一般リリースはまだ2カ月半ほど先ということもあって、Windows Storeにおけるアプリの充実度は発展途上といえる。現時点におけるWindows Storeは、課金オプションや試用機能をテストする場所といった意味合いが強い。このあたりのWindows Storeに関する仕組みや概要はこれまで掲載した連載記事を参照してほしい。
なお、Windows 8 RTMのインストールで、ドライバなどの問題でうまくセットアップできないケースが報告されている。PCメーカーや周辺機器ベンダーの個別対応が必要と思われるため、このあたりは正式リリースを待つしかない。
今回、RTMを提供しているのは、MSDN、または、TechNet経由のみで、開発者のアプリ実行テスト(MSDN)、または企業ユーザーなどによる導入評価(TechNet)といった用途に限られている。一般のユーザーが購入できる10月26日までの製品提供予定は以下のようになる。
Windows 8 正式出荷までの予定 | |
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8月1日 | Windows 8 RTMがリリース |
8月15日 | MSDNとTechNet経由でRTM配布開始 |
8月16日 | Software Assurance(SA)契約ユーザーがVolume License Service Center(VLSC)から「Windows 8 Enterprise Edition」を、Microsoft Partner NetworkのメンバーがWindows 8をそれぞれ入手可能になる |
8月20日 | Microsoft Action Pack Providers(MAPS)がWindows 8を入手可能になる |
9月1日 | SAを契約していないVolume LicenseユーザーがMicrosoftリセラーからWindows 8入手可能になる |
10月26日 | Windows 8の一般販売開始、Surface RTの販売開始 |
なお、Windows 8と同じタイミングで「Windows RT」「Windows Server 2012」もRTMへと到達している。Windows RTについてはOEM提供限定となるため「Surface RT」などの対応デバイスとともに、10月26日のタイミングで入手するしかない。
一方、Windows Server 2012は、9月4日の提供を予告しており、企業のSA契約、または、Volume Licenseユーザーは、Windows Server 2012、ならびに、Windows 8クライアントをほぼ同時期に入手できる。もっとも、企業においては、いきなり本格導入というケースはほとんどなく、本格稼働までのテスト期間に先行して導入するといったところだろう。Visual Studio 2012についても、製品版と同時期での提供を予定しており、9月12日にバーチャルローンチイベントを行うと予告している。
10月26日の正式出荷開始より前に、一般ユーザーがWindows 8を導入するには、TechNetサブスクリプションを契約することになるが、この契約は有料となる。やはり、10月26日の正式リリースを待って購入するか、同日以降に発売されるWindows 8を搭載したPCを購入するのが一番の近道だ(Microsoftではパッケージ経由での購入よりもプリインストールPCの購入を推奨している)。
これ以外でも、既存のWindows PC(XP/Vista/7)を持つユーザーが39.99ドルでWindows 8にオンラインアップグレードできるオプションを用意するほか(DVDによるパッケージ版は69.99ドル)、キャンペーン対象となっているWindows 7 導入PCを購入したユーザーには、14.99ドルでWindows 8 Proへのアップグレードが可能な「Windows Upgrade Offer」と呼ぶサービスを提供する。
なお、日本におけるアップグレードの価格、39.99ドルでアップグレード可能なクライアントPCの台数、キャンペーン期間の詳細など、まだ明らかになっていない点はあるが、これらについては、10月26日が近付いたタイミングで改めて発表することにあるとみられる。詳細な内容が分かり次第、この連載でも紹介していく予定だ。
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