Windows 8のセットアップ方法にもよるが、OSへのログイン、あるいは、休止状態からの復帰時に本人認証として必ず入力するのが「Microsoftアカウント」のIDとパスワードだ。Microsoftアカウントとは、Microsoftが提供するサービスにログインするときに利用するサービスアカウントのことで、従来は「Windows Live ID」と呼んでいた。Windows 8の発売を前に「Windows Live」の名称を排し、統一的な名称として「Microsoftアカウント」を採用した経緯がある。
Windows 8へのログインでは、このMicrosoftアカウントのパスワード、PINコード、あるいは、ピクチャーパスワードの入力を必ず求めてくる。PINコードとピクチャーパスワードは、一見するとMicrosoftアカウントとは直接関係ないようにも思えるが、通常のパスワード入力の代理扱いなので、認証が終わると最終的にはMicrosoftアカウントの当該IDでログインが行われる。
それだけ本人認証を重視しているということだが、これには理由がある。Microsoftアカウントの認証が通ると、SkyDriveといったMicrosoftの提供するサービスへのアクセスが透過的になるだけではなく、それに関連付けて登録したサービス、例えば、GoogleやFacebookといったアカウントのサービスがそのまま利用できる。これは、1回のログイン動作で複数のサービスが利用できる「シングルサインオン」(SSO、Webシングルサインオンとも呼ばれる)機能を実装している。Windows 8をインストールしたPCは、登録したすべてのサービスの窓口となるわけだ。
Windows 8でアプリケーションを利用していると、なにかとサードパーティーのサービスのアカウントを追加する機会が出てくる。例えば、Mail appからGmailを利用する場合には、Googleアカウントの入力を求めてくる。Messaging appの場合はFacebookアカウント、People appの場合はTwitterやLinkedInアカウントといった具合だ。これにより、Windows 8に標準搭載されているMicrosoftのアプリから、サードパーティーの提供するサービスが利用できるようになり、以後はこれらサービスの利用にあたってパスワードの追加入力を求めてこない。これがシングルサインオンの動作だ。
現在確認できている追加可能なアカウントは、Microsoftアカウントをはじめとして「Exchange」「Hotmail」「Google」「Facebook」「LinkedIn」「Twitter」だ。Exchangeは、企業のイントラネットやクラウドサービスとの接続に利用する。Hotmailについては、Microsoftアカウントから分離しており、ここで追加することで、Mail appを使って当該のHotmailアカウントのメールにアクセスできるようになる。このように、Mail appでは、アカウントを追加すれば追加した分だけ、複数のメールを同時に管理できる。なお、一度登録したサービスアカウントは、Microsoftアカウントのページにログインすれば確認できる。Charmの設定メニューから「PC設定」を選び、ユーザー項目内にあるリンクをクリックするとInternet Explorerが開くので、ここから参照可能だ。
一方、一度アカウントを追加すると、別のアプリケーションでも当該のアカウントの情報を自動で反映することがある。例えば、Mail appでGoogleアカウントを追加してからCalendar appを開くと、Google Calendarの情報を自動的に表示する。これは、OSがMicrosoftアカウントでほかのサービスアカウントを一括管理しているためで、Windows 8の基本動作の1つといえる。ただ、Microsoftによれば、このような形で登録したサードパーティーのサービスアカウントを共有できるのは、「Mail app」「Calendar app」「People app」「Messaging app」「SkyDrive」といったMicrosoft提供のアプリケーションだけで、ほかのサードパーティーによるアプリケーションではその限りではないという。サードパーティーのアプリケーションでこれらサービスアカウントを利用したい場合は、ユーザーが個々にログイン動作を行う必要がある。
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