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» 2012年08月09日 16時30分 公開

鈴木淳也の「お先に失礼! Windows 8」:MicrosoftアカウントとWindows Storeの基本を理解する (2/2)

[鈴木淳也(Junya Suzuki),ITmedia]
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正式サービスローンチまでは不明点が多いWindows Store

 Windows 8の特徴の1つである「Windows Store」は、同OSで動作する「Metroスタイルアプリ」を購入する、ユーザーにとって唯一の窓口だ。アップルの「App Store」や「Mac App Store」、Googleの「Google Play」など、数あるオンラインアプリストアのMicrosoft版といっていいだろう。特に、MetroスタイルアプリはWindows Storeのみを通じてのみ導入が可能なため、デスクトップアプリケーションの動作しないARM版の「Windows RT」にとっては唯一のアプリ導入手段となる。このWindows Storeについて、現時点で分かっていることを確認しておこう。

 プレリリースということもあり、正式ローンチ前にある現在のWindows Storeは、審査が極めて厳格ゆえに登録アプリの数は少ない。有料アプリの販売やアプリ内課金は行っておらず、「すべて無料」となっている。有料アプリ購入には、Windows Store appの設定メニューからアカウント情報を参照し、クレジットカード番号などの支払い情報を入力する必要があるが、有料アプリがない状態において、この設定は意味をなさない。なお、8月2日の時点で、Windows Storeの最終版が稼働告知されており、8月15日のRTM版リリース、10月26日の一般販売のタイミングで、企業向けと一般向けのそれぞれでフル機能のWindows Storeが利用可能になるとみられる。

Windows Storeのアプリプレビュー画面。現在はプレオープンで、配布アプリはすべて無料(Free)となっている。導入するときは「このアプリが使用する項目」に注意したい。アプリが使用する機能やデバイス、個人情報などを明記するため、意図しない動作を起こす可能性があるかを事前に把握できる(写真=左)。Windows Storeでのアプリ購入には支払い情報の追加が必要になる。ただ、現在課金機能が無効なので、正式サービスイン以降の利用となる

価格と販売先マーケットはアプリ開発者が設定

 Windowsは世界各国で利用している製品であり、当然ながらWindows Storeもローンチ時点で世界のほとんどの国で利用することを想定している。これまで日本市場のみをターゲットとしていた開発者も世界を狙えるチャンスを得られる。ただ、「市場ごとに異なった製品戦略を持ちたい」「特定市場のみをターゲットとしたい」という要求もあるため、アプリのターゲット市場を開発者が細かく設定できるようになっている。これにより「米国市場をターゲットとしたアプリは日本からは見えない」といった現象が発生するようになる。ただ、クライアント側の端末やアカウントがどの国に属しているかの判別方法が現時点で不明であるため、実際にどのようにな挙動をするのかも明確ではない。

 なお、アプリの価格は1.49〜999.99ドルの間で設定可能だが、ここで1つの価格を設定すると、ほかの国の市場における価格は為替レートから自動で算出する仕組みになっている。特定の市場で価格を大きく変えることはできないようだ。

開発者ダッシュボード上でアプリの配布先市場、価格、試用期間を設定できる

アプリのインストール前にはセキュリティ情報に注意

 「ただの壁紙アプリなのに、なぜかカメラやGPS、連絡帳の参照、ネットワーク通信にいたるまで、スマートフォンのあらゆる機能を利用する」といったアプリがストアで配布しているケースがある。モバイルOS向けのアプリストアで何例か確認されているが、こうした動作はマルウェアやスパイウェアの可能性がある。Androidの場合、Google Playからアプリのインストール前に使用する機能一覧を表示して警告を出すが、これを「挙動の怪しいアプリの判断基準」とするユーザーは多いはずだ。

 Windows Storeでも同様で、個々のアプリのプレビュー画面で「このアプリが使用する項目」として機能一覧を示すので、ユーザーはインストール前にこれを参考にするといいだろう。また、デバイスが持たない固有の機能(カメラや各種センサーなど)を示す場合もあり、動作条件の参考にもなる。

 前述のようにWindows Storeで配布されるのは「Metroスタイルアプリ」だ。だが、Windows 8でも依然としてデスクトップアプリケーションが利用可能で、これをWindows Store経由で配布することも可能だ。いや、正確には「Windows Store上でプロモーションが可能」といったほうがいいかもしれない。

 Windows Storeを検索すると、「デスクトップアプリ」と記述したものが出現する。これをクリックすると、アプリの説明が出現する一方で「アプリを開発者から入手してください」と表示して、「開発者のWebサイトに移動」のリンクで別のWebページへ誘導する。デスクトップアプリケーションのカタログがWindows Storeで参照できるが、実際の購入やダウンロードは行えない。このため、開発者がダウンロードや課金のための仕組みを用意しなければならない。Windows Storeは、あくまでも窓口的な扱いだ。

 Windows Store for Developers Blogによれば、窓口的扱いのWindows Storeへのデスクトップアプリケーション登録において、開発者はアプリケーションの審査や価格の設定を行わなければならないという。その理由は、紹介のみとはいえ窓口としてMicrosoftが責任を負うこと、そして、ユーザーがストア上で価格を検索条件に設定した場合の処理対策が必要になることを挙げている。逆にWindows Storeでプロモーションを行わないのであれば、開発者はデスクトップアプリケーションを自分で自由に配布できる。

 Windows StoreにおけるMetroスタイルアプリとデスクトップアプリケーションの温度差は、Windows 8のリカバリ機構にも影響を及ぼしている。Windows 8では「マシンをリフレッシュ後に環境を戻す」というリカバリオプションがあり、これを利用すると基本設定やアプリの再インストールを自動で行う。ただ、対象となるのはMetroスタイルアプリのみで、デスクトップアプリケーションの再インストールや設定は、ユーザーが行わなければいけない。デスクトップアプリケーションはMicrosoftの管轄外ということだ。

Windows Storeではデスクトップアプリの選択も可能だ。ただ、Windows Storeからダウンロードは行えず、各メーカーが直接Web上で配布する形になる。価格を表示するものの、Windows Store内で決済はできず、販売管理などは各メーカーが行うことになる

コラム「Update! Building Windows 8」

このコラムでは、「Building Windows 8 Blog」などで明らかになるWindows 8の最新動向を取り上げていく。今回は「Metroスタイルどうなるの?」というお話。

MetroスタイルはWindows 8スタイルへ?

 発売日が10月26日に決定して、Windows 8周辺の動きが慌ただしくなってきた。8月初旬にRTMをリリースして、8月15日からはMSDNを通して開発者にRTMの提供がスタートする。9月にはWindows Server 2012とともに企業ユーザー向けのボリュームライセンス提供が開始して、10月26日にようやく一般ユーザー向け販売が開始という段取りだ。この日には米国のニューヨークで発売イベントを行うものとみられており、同じタイミングでWindows RTを搭載した「Surface」が米国で販売を開始する予定だ。このとき、一般ユーザーが初めてWindows RTに触れることが可能になるだろう。

 こうした発売直前で盛り上がる中、MicrosoftがWindows 8の新インタフェースとしてプロモーションを行っている「Metroスタイル」の名称を廃止して、別のものへと変更する計画があるという情報が流れてきた。一部の情報によると、欧州のある主要パートナーからの要請で、「Metro」という名称以外に変更することを打診され、「Windows 8スタイルUI」への変更を間もなく発表する計画だという。別な情報によれば、「“Metro”は開発コード名であり、正式名称ではない」というのがMicrosoftの公式見解とのことだが、その背景にある理由が気になるところだ。



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