Microsoftは、この冬にリリースした「Windows 10 Mobile」搭載スマートフォンを使って、モバイル決済サービスに参入しようとしている。
仕組みとしては、先行するApple Pay、Android Pay、Samsung Payのほか、最近登場したChase PayやLG Payと同様だ。Windows 10 Mobile搭載スマートフォンにおいても、あらかじめ登録したクレジットカードの支払い情報を基に、店頭でNFC(Near Field Communication)による支払いが可能になるという。
Microsoftが決済サービスの参入を検討しているという話は、The Vergeが10月20日(米国時間)に報じている。米MicrosoftでOS部門担当コーポレートバイスプレジデントのジョー・ベルフィオーレ氏が、「Windowsは(AppleやGoogleが行っているような)ウォレットのコンセプトを採用し、Windows搭載スマートフォン上で(競合サービスが提供しているようなことを)実現できる」と説明しているのだ。
同社はWindows 8を発表した際に、Windows PhoneでのNFC技術搭載ならびにモバイル決済機能を提供することを表明していた。だが、この機能はWindows Phone 8.1の世代になっても依然として搭載されず、同社がフランス市場向けに提供しているWindows Phone端末において唯一、同国の携帯キャリアであるOrangeとの提携でNFCによる決済サービス(現在は「Orange Cash」の名称)がリリースされている。
もし、Windows 10 Mobileにこの機能が正式採用され、Microsoft自身で競合が提供しているような決済サービスを提供した場合、実に3年以上の時間をかけて、当初のコンセプトが実現することになる。
なお、Windows 10 Mobileの責任者でもあったベルフィオーレ氏は2015年11月から1年間の休職状態に入っており、現時点でこの計画について確認する術はない。
とはいえ、ウォレット技術を使ったモバイル決済については、各メーカーやサービス事業者から続々と市場参入が発表されているタイミングであり、当然ながら大手プラットフォーマーの一角であるMicrosoftの動向も気になるところだ。
そんな中、テロ直後のフランスはパリで11月17〜19日に、ICカードやセキュリティ技術に関する展示会「Cartes」が開催された。同イベントにて、米MicrosoftでNFC&モバイル決済セキュリティプラットフォーム担当主席ソフトウェアエンジニアリングリードのアレックス・マカルビー氏に話をうかがう機会を得たので、同社がWindows 10 Mobileでどのような決済システムを検討しているのかを聞いてみた。
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