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連載
» 2016年12月31日 06時00分 公開

話題に事欠かなかったMicrosoftとWindowsの2016年鈴木淳也の「Windowsフロントライン」(1/3 ページ)

世間を騒がせたWindows 10アップグレード誘導策、新たな可能性を示した「Surface Studio」や「Windows Holographic」など、話題が多かった2016年のMicrosoftを振り返る。

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 2016年も残りあとわずか。本連載はWindowsを中心として、Microsoftの最新動向を追い続けてきたが、年末らしくこの1年をいくつかのトピックに分けて振り返ってみよう。

 振り返りにあたっては、1月3日に掲載した記事「2016年のMicrosoftで注目したい5大トピック」(以下、年始記事)をもとに、そこでの予想が当たったのかどうかも合わせてチェックしていく。

(1)Windows 10の強引なアップグレード施策でシェアは伸びた?

 MicrosoftとWindowsの1年で最も大きなトピックは、「Windows 10アップグレード狂想曲」だった。

 Windows 10の一般公開から1年が経過した2016年7月29日に、Windows 7/8.1からの無料アップグレードキャンペーンが終了するのに合わせ、巻き取りを図ったMicrosoftがこれらのユーザーに対して半強制的なアップデートをあの手この手で仕掛け、トラブルを巻き起こしたことは記憶に新しい。

Windows 10 Windows 10の無料アップグレードキャンペーンは7月29日に終了。Windows 7/8.1ユーザーを強引にWindows 10へ誘導するアップグレード施策は問題となった(写真は8月2日配信の大型アップデート「Anniversary Update」)

 年始記事では「2016年を通してWindows 10のシェアを20〜25%まで引き上げられれば上出来かもしれない」と予想していたが、当時はもちろん強引な無料アップグレード推進策が繰り広げられているわけではなかった。それでは、なりふり構わずWindows 10へユーザーを誘導したことで、そのシェアはどこまで伸びたのだろうか。

 NetMarketShareが公表している11月時点でのデスクトップOSシェアを見ると、トップはWindows 7で47.17%、次点がWindows 10で23.72%、次がWindows XPで8.63%となっている。

NetMarketShare 1 2016年11月時点でのデスクトップOSシェア(出典:NetMarketShare)

 NetMarketShareの正確性については過去記事で触れているが、目安の1つにはなるだろう。同じくNetMarketShareで過去のデータと比べてみると、Windows 10のシェアは1年前の2015年11月時点で9%、無料アップグレードキャンペーン終了前の2016年7月時点で21.13%だった。

 そこから11月までの4カ月で2.6%ほどシェアは伸びており、恐らくMicrosoft内部でのデスクトップOSシェアの目標値には到達していることだろう。筆者としても悪くない水準と言える。

 さて、本当の問題はここからだ。本連載でも度々触れているが、Windowsには「2020年問題」が存在する。その意味は「Windows 7の延長サポート終了が2020年1月」にやって来るということだ。つまり、Microsoftは現時点でなおWindowsのシェアの半数近くを占めるWindows 7を今後3年、いや実際にはより短い期間で、Windows 10へと巻き取っていかなければいけない。

Windows support Windows XP/Vista/7/8.1/10のサポート期限

 コンシューマー市場については無料アップグレードキャンペーンが終了し、今後大きく数字が動く可能性は低いため、Windows 10プリインストールの新製品をユーザーが購入することで徐々に移行が進むことに期待するしかない。2016年後半にWindows 10のシェアが若干伸びたのも、こうした新規ユーザー(実際にはPC買い換えユーザー)が増えたことに起因すると考える。

 今後、年率3〜4%程度のペースでこうしたユーザーがWindows 10に移行すると、2020年1月時点では33〜35%程度に達する。筆者の予想値ではあるが、いわゆるコンシューマー的な用途でPCを利用するユーザーは全体の4割強程度と考えているので、8割以上はこの時点でWindows 10に移行済みという状況になるのではないだろうか。残りは、純粋に企業用途のいわゆるエンタープライズ市場でのシェアであり、今後順次移行に向けた施策を続けていく必要がある。

 それでは、PC市場全体でWindows 7とWindows 10のシェアが逆転するタイミングはいつ到来するのだろうか。同じくNetMarketShareのグラフの傾きだけから算出すれば「2年以内」となる。しかし、既にWindows 10の無料アップグレードキャンペーンは終了しており、これ以上の起爆剤は期待できない。

 Microsoftは2016年1月に、Skylake搭載PCでの旧OSサポートに有効期限を設け、それより後の世代のプロセッサではWindows 10のみサポートすることを発表したが、ユーザーだけでなくOEMメーカーからも大きな反発を受けたことで、これを撤回したという経緯がある。

 2017年以降もOSの移行を巡るMicrosoftとユーザーの駆け引きは続くことになりそうだ。Windows XPのとき(いわゆる2014年問題)ほどではないものの、Windows 7のサポート終了においても似たような問題は再現される可能性が高い。

NetMarketShare 2 2016年1〜11月のデスクトップOSシェアの推移。無料アップグレード期間が終了した夏以降はグラフがほぼ横ばいになっている(出典:Net Market Share)

(2)計画が縮小されたWindows 10 Mobileと今後

 年始記事では「Windows 10 Mobileの状況は厳しいながらも、エンタープライズ市場とSIMロックフリー市場での躍進に期待」と書いていた。

 Microsoft自身はスマートフォン戦略における焦点をAndroidやiOSに絞りつつありエンタープライズ市場に注力する一方でコンシューマー市場からは距離を置きつつある

 純正スマートフォン「Lumia」の事業を一気に縮小したことは、決断の素早さに驚いた反面、取り残されるサードパーティーやユーザーの今後が心配になった。しかし逆に、今後Windows 10 Mobileを導入するユーザーはこうした情勢を踏まえてなお導入を決断したということだ。Microsoftからのメッセージが早めに出たことは、これらユーザーの判断材料につながるという点で評価している。

Microsoft Store 12月に米カリフォルニア州パロアルトにあるStanford Shopping Center内のMicrosoft Storeを訪ねてみたところ、Windows 10 Mobileの展示スペースは半年前と比較して縮小していた印象だ。エンタープライズ分野への注力で、コンシューマー市場から距離を置きつつあることの反映だろう

 1つ予想を外したのは「SIMロックフリー端末」の市場に関する考察だ。日本国内外ともに、サードパーティーのWindows 10 Mobile端末市場への参入はSIMロックフリーが大きな目玉になると考えていたが、これは特に「ミドルレンジ以下の比較的安価な端末」でシェアの躍進が期待されるという部分に由来する。

 しかし実際には、国内外ともにWindows 10 Mobileの新製品投入は先細っており、直近のトピックはハイエンドクラスの「HP Elite x3」が投入されたことくらいだ。SIMロックフリー端末市場そのものは主に中国系メーカーが良質なAndroidのミドルレンジモデルを逐次投入することで2016年に大きく盛り上がったが、Windows 10 Mobileの場合は逆にミドルレンジ以下が下火になりつつあり、逆にハイエンドが目立つ。

HP Elite x Snapdragon 820を搭載したハイエンドのWindows 10 Mobile端末「HP Elite x3」

 携帯キャリアの販売ルートを持たないハイエンド端末の流通は日本国内では非常に厳しく、これが大きなマイナス要因として作用していると考える。その意味で、Windows 10 Mobile搭載スマートフォンは今後もあまりシェアを伸ばすことは期待できない。

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