PC USER Pro
連載
» 2016年12月31日 06時00分 公開

鈴木淳也の「Windowsフロントライン」:話題に事欠かなかったMicrosoftとWindowsの2016年 (2/3)

[鈴木淳也(Junya Suzuki),ITmedia]

(3)Surface Bookに続く新ハードウェアが登場

 年始記事では「Surface 3、Surface Pro 4、Surface Bookの新モデルは2016年には登場しないか、内容的に比較的小幅なアップデートにとどまるのではないだろうか」と予想していたが、実際にその通りとなった。PC系の製品については、Intelの最新プロセッサ投入の端境期にあたり、他と差異化した製品を打ち出しにくい事情がある。

 また、「Surface mini」のような新しい小型デバイスや、最新SoC(System on a Chip)を搭載した「ハイエンド版Lumia」が投入されないというのも予想通りだった。モバイル向け製品については、Microsoftの戦略変更による影響が大きい。Microsoftに新型のモバイル向けデバイスを期待していた人々は、2017年春以降のOSアップデートとともに登場する新製品群を待つ必要がある。

 一方、予想外だったこともある。ハードウェアに関してMicrosoftを称賛したいのは、「PCにはまだ可能性がある」ということを自らの新製品で示してくれた点だ。長らくうわさとなっていた「デスクトップ版Surface」こと「Surface Studio」と新しい入力デバイス「Surface Dial」の登場は、多くの人々に驚きをもって迎えられた。

Surface Studio 新しい入力デイバスの「Surface Dial」。写真は「Surface Studio」のディスプレイ上にSurface Dialを置き、ダイヤルを回すことで、カラーパレットを選択している様子

 米国でこの発表イベントが開催された10月26日(現地時間)、筆者はちょうどラスベガスに出張中だった。ホテルの回線事情が非常に悪いことから、取材先のイベント会場のプレスルームに夜明け前からこもってストリーミング中継を視聴していたが、苦労して見たかいがあった発表内容で興奮した記憶がある。

 同日、2017年春の一般向け提供が見込まれる「Redstone 2(RS2)」ことWindows 10の次期大型アップデートが「Creators Update」であることも発表され、翌週に米カリフォルニア州サンディエゴで開催されたAdobe Systemsのクリエイター向けイベント「Adobe MAX」での発表内容と合わせて、クリエイター向けツール市場でもWindowsがその中心であることを誇示するかのようなものとなった。

 ハードウェアそのものにも魅力があるが、真に称賛すべきは「WindowsやPCが(クリエイターにとって)まだまだ魅了的なプラットフォームである」というメッセージを出すことに成功した点だ。

(4)HoloLensとWindows Holographicの可能性

 Windows 10のCreators Updateは、単なる大きめのOSアップデートではなく、それ自体がMicrosoftのMR(複合現実)、VR(仮想現実)、AR(拡張現実)における戦略を担う最初の一手であることにも注目したい。

 年始記事では「Microsoftは2016年の1年を通して、この技術(HoloLens)をプッシュしていくだろう」と書いたが、実際にWindows 10搭載のMR対応ヘッドマウントディスプレイ(HMD)である「HoloLens」はその登場から注目を浴び、日本上陸が間近という現在まで主に特定用途向けでの活用が進んだ1年だった。日本でもいよいよ2017年1月18日より順次提供が始まる(税込33万3800円から)。

HoloLens Windows 10搭載のMR対応HMD「HoloLens」

 しかし、HoloLensはコンテンツ的にもデバイス本体の価格的にも一般ユーザー向けではない。WindowsそのものをVRのプラットフォームへと昇華すべく進めているのが、HoloLensでも使われている「Windows Holographic」の仕組みだ。

 Windows Holographicは、Windows上でVRの世界を体験するための仕組みで、一定スペック以上のPCであればサードパーティー製の低価格なHMDを接続して誰でも気軽にこの世界を楽しめる。

 情報の一部は12月に開催されたイベント「WinHEC Shenzhen/Taipei」で公開されたほか、Windows Insider Program参加者にはPCが要求スペックを満たしているかをチェックし、実際にデモの一部を体験できる「Windows Holographic Shell」の提供が始まった。

 このように、VR/ARがWindowsの世界を中心に盛り上がりつつある。「Oculus Rift」や「PlayStation VR」、そしてGoogleやSamsungによるスマートフォン装着型HMDが先行しているこの市場だが、間口を広げるという意味ではWindowsの影響力にかなうプラットフォーマーはないだろう。

 これまで先行プラットフォームで培ってきたノウハウやコンテンツをあらためてWindowsに提供することで、VRへの新しい入口にする……という流れが2016年における大きなトピックだ。

Windows Holographic 2017年には「Windows Holographic」がWindows 10搭載の一般的なPCでも利用可能になるという

 またWindows自身も変わりつつある。特徴的なのはHoloLensとWindows Holographicの登場に合わせて、Windowsの新しいUI(ユーザーインタフェース)の世界を模索している点で、「Project NEON」というキーワードが出てきている。

 このプロジェクトが形になるのはまだ先だろうが、2017年春のCreators Update、そして秋に提供されるとみられる「Redstone 3」という年2回の大型アップデートを経て、Windows 10とVRの世界がUI面で融合してくるのかもしれない。2017年はこの部分に引き続き注視したい。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

この記事が気に入ったら
ITmedia PC USER に「いいね!」しよう