米Microsoftは10月26日(現地時間)、米ニューヨーク市内で行ったプレス向けイベント「What's next for Windows 10」にて、28型大画面の液晶一体型デスクトップPC「Surface Studio」とその周辺機器「Surface Dial」、そして仕様強化した「Surface Book」のハイエンドモデルを発表した。
まずはMicrosoft初の液晶一体型デスクトップPC「Surface Studio」に注目したい。
製品名、外観ともに事前のリークや予想記事とほぼ同じだが、タッチ対応の28型ディスプレイは他製品にはみられないハイエンド仕様で、クリエイターを強く意識した製品だ。
アスペクト比3:2で4500×3000ピクセル(約192ppi)の28型液晶ディスプレイは、4K(3840×2160ピクセルあるいは4096×2160ピクセル)の解像度を上回り、Adobe RGBやDCI-P3といった広色域もサポート(アクションセンターからsRGBに切り替え可能)する。文書を表示する際、A4見開きを実寸表示できる「True Scale」機能も持つ。
また、指による10点同時タッチと筆圧対応デジタイザスタイラスの「Surface Pen」に対応しながら12.5mm厚という薄さ、画面を寝かせられる「Zero Gravity Hinge(無重力ヒンジ)」と名付けられた調整幅の広いヒンジ機構など、画質以外にもこだわった。
プロセッサは第6世代のCore i5またはCore i7(クアッドコア)、GPUはGeForce GTX 965MまたはGeForce GTX 980Mを採用。メモリは最大32GB、ストレージは最大2TBのSSDを選択でき、全体的にクリエイティブな用途を想定したハイスペックな仕上がりだ。価格は2999〜4199米ドルで、米国では12月15日に発売される。
Surface Studioの本体以上に、最大のポイントと言えるのがSurface Dialという周辺機器だ。画面上に置くことで対応ソフトウェアをさまざまな形で追加制御できる新しいタイプのインタフェースとなる。ダイヤルとボタン、触覚フィードバックを備えたワイヤレスの入力デバイスで、ダイヤルにさまざまな機能や各種ショートカット操作を割り当てることが可能だ。
例えば、ペイント系ソフトではダイヤルを回して画像を回転させたり、カラーパレットを表示して色を選んだり、ダイヤルを回しながらペンで描画することで色や太さを変えながら線を引いたり、といった操作ができるようになる。
Surface Dialは、今後Surface Pro 4とSurface Bookでもファームウェアアップデートで利用可能になる予定だ。利用可能なハードウェアが増えるということは、対応ソフトウェアも今後増える可能性があり、新しいインタフェースを追加するための標準的な周辺機器として認知されるようになるかもしれない。
Surface Studioは、想像を超えたサプライズだった。ハイエンド領域のニッチを狙ってきており、この部分にかかるユーザーには非常に響くはずだ。
「デバイスの可能性や方向性を示すこと」を目的にスタートしたSurfaceブランドだが、「サードパーティー市場食い」との批判を浴びることもあった。しかし、2015年のSurface Bookや今回のSurface Studioは、従来のOEMメーカーの発想からはなかなか出てこなかったカテゴリーの製品であり、まさにSurfaceがWindows PCの最先端をつかさどる存在であることを際立たせるものとなっている。
市場縮小が叫ばれて久しいPCの新たな可能性を見せてくれた点でも、期待が高まる製品だ。
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