8月16日(米国時間)、米カリフォルニア州サンフランシスコで開催された米Intelの開発者会議「Intel Developer Forum(IDF)」の基調講演に、ブライアン・クルザニッチCEOが登壇。ゲストとして招かれた米MicrosoftのWindows&デバイス部門担当であるテリー・マイヤーソン上級副社長は、「Windows Holographic」プラットフォームについてIntelとの提携を発表するとともに、同プラットフォームをWindows 10搭載の一般PCにも対応させる予定を明らかにした。
2016年6月初旬に台湾の台北市で開催されたCOMPUTEX TAIPEI 2016において、マイヤーソン氏はWindows Holographicプラットフォームのサードパーティーへの開放を発表しており、今回はその情報のアップデートとなる。
Microsoftは自社で開発中のヘッドマウントディスプレイ(HMD)デバイス「HoloLens」の技術によって、拡張現実(AR)より進んだ概念として、現実世界と仮想現実(VR)が融合した「複合現実(Mixed Reality)」の実現を目指している。
この仕組みをHoloLensに限らず、他社のVR HMDでも体験可能にし、HoloLens装着者との共同作業も可能にする「Windows Holographicのサードパーティーへの開放」を発表したのが、前述したCOMPUTEXの会場だった。
Windows Holographicに対応するOEMデバイスの登場は、2017年後半を見込んでいる。壇上のデモで披露された「HTC Vive」などのサードパーティー製品が、次回のCOMPUTEXが開かれる2017年半ばにはより詳しく紹介されることになるだろう。
2016年のCOMPUTEXではDellの「Alienware」など各種ゲーミングPCブランドがWindows Holographicの提携パートナーとして紹介されていたが、今回のマイヤーソン氏の発表によれば、ゲーミングPCのような高性能マシンだけでなく、メインストリームと呼ばれる「一般向けの普及型PC」にまで拡大していく意向だという。
ここで言うメインストリームPCとは、外部GPUを用いたデスクトップPCやノートPCだけでなく、手のひらサイズのNUC「Skull Canyon」(Iris Pro Graphics 580といったIntel CPU内蔵GPUではハイエンドなグラフィックスを装備)のようなデバイスもターゲットにしている。つまり、一般的なPCでも2017年にはWindows Holographicの複合現実が体験できるようになる。
Microsoftは、高品質な映像やユーザー体験よりも、多くのユーザーにWindows Holographicを身近に感じてもらい、利用してもらうことを優先している印象だ。
Microsoftは2017年に行うWindows 10向けのアップデートで機能を強化し、こうしたメインストリームPCでもWindows Holographicの仕組みを利用可能にする。
前回、Microsoftは2017年の春に「RS2」、夏から秋のタイミングに「RS3」という大規模アップデートを2回に分けて配信する計画があると紹介した。時期的に考えれば、このうちのRS3の目玉がWindows Holographic技術の追加となる可能性がある。
マイヤーソン氏はWindows Holographicの提供スケジュールもアップデートし、このWindows Holographic対応に必要となるPCとHMDの最初のスペックを、2016年12月に中国の深センで開催されるWinHEC Shenzhenにて公開する予定だ。
対応するOEMデバイスについては当初の予告通り、2017年後半の登場を見込んでいる。今回のIDFで発表されたIntelのRealSense搭載VR HMD「Project Alloy」もこのタイミングで投入されることになりそうだ。
Project AlloyはWindowsベースHMDであり、HoloLensが半透過型ディスプレイを採用するのに対し、通常の透過しないディスプレイを用いているが、RealSenseカメラで撮影した現実世界にVRの世界を重ねて映し出せる。
まずは2016年末のWinHECでのアップデートに注目したい。
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