「Snapdragon 850」は常時接続PCの本命になれるか そして「1000」のウワサも:鈴木淳也の「Windowsフロントライン」(1/2 ページ)

» 2018年06月26日 11時30分 公開

 次世代Windowsデバイスの話題が騒がしくなってきた。本連載でもこの1カ月で、次世代Surfaceにまつわる3つの開発コード名「Carmel」「Libre」「Andromeda」や、次世代HoloLensの開発コード名「Sydney」を紹介してきたが、こうした新たな波はいわゆる「Windows on Snapdragon」にも到来している。

 先日はWindows on Snapdragonのプラットフォームで開発中と目される新製品のベンチマークテスト結果がリーク情報として出てきたばかりだが、そのコアとなるSoC(System on a Chip)を提供するQualcommでは立て続けにハイエンドのSnapdragon製品を市場投入している。

 しかも明確に「PC市場ターゲット」をうたうSnapdragon新製品を発表するなど、まだ世界で立ち上がりの鈍い製品カテゴリーへの注力を強めている状況だ。

「PC市場がターゲット」を明確に打ち出した「Snapdragon 850」

 Snapdragonの最上位にあたるSoC「Snapdragon 850」は、6月5日(台湾時間)にCOMPUTEX TAIPEI 2018に合わせて開かれたQualcommのプレスカンファレンスで発表されている。

 2017年12月に発表された「Snapdragon 845」は、PC対応をうたいつつもモバイルを含む幅広いデバイスへの適用を訴えていたのに対し、Snapdragon 850では明確に「PC対応」をアピールしてきた。この点が従来のハイエンドSnapdragonと大きく異なるところだ。

Snapdragon 850 COMPUTEX TAIPEI 2018に合わせて発表されたQualcommの最上位SoC「Snapdragon 850」
Snapdragon 850 Snapdragon 850の主な機能。基本的には「Snapdragon 845」のスペックを引き継ぐ。CPUはKryo 385を採用し、動作クロックは最大2.96GHz、コア数は8。GPUコアはAdreno 630、DSP(Digital Signal Processor)はHexagon 685、ISP(Image Signal Processor)はSpectra 280を搭載する。モデムはCategory 18の下り最大1.2Gbpsをサポートする「Snapdragon X20 LTE modem」だ

 Microsoftは、LTEを搭載しつつ、瞬時の起動や、長時間のバッテリー駆動も実現するWindows 10デバイスのことを「Always Connected PC(常時接続PC)」と呼び、今後の普及を狙っている。

 特にこれを具現化する新たな仕組みである「Windows on Snapdragon」のデバイスは、MicrosoftとQualcommの両社肝いりで2017年12月に発表されたものだが、展開地域とモデルのバリエーション不足が理由で、多くの地域ではその存在が希薄なままだ。日本市場にもいまだWindows on Snapdragonデバイスは投入されていない。

 また、既に発売されている米国においての評価は、バッテリー駆動時間とLTEによる常時接続の仕組みでPCの使い方が変化したものの、性能面では搭載するSoC「Snapdragon 835」の力不足により満足のいく水準には達していないという声が多いようだ。

 その後継SoCにあたるSnapdragon 845ならびに、今回発表されたSnapdragon 850はこの評価を改善するものとして期待される。少なくとも、周囲のそこまで芳しくない評価に対してMicrosoftならびにQualcommでは新製品の投入を続行する意向があるわけで、SnapdragonをベースとしたAlways Connected PCに「PCの未来」ならびに「収益拡大の期待」があるとみているのだろう。

Snapdragon 850 「Always Connected PC」を大きなターゲットとして挙げている

 Qualcommによれば、Snapdragon 850は前世代と比較してシステム全体のパフォーマンスが30%向上し、AI系の処理で最大3倍の処理能力向上が期待できるという。バッテリー駆動時間は最大25%、LTEはCategory 18の下り最大1.2Gbpsをサポートする。

 この“前世代”がどの製品に該当するか不明だが、恐らくSnapdragon 835を指していると考える。微細化技術は835の第1世代10nm製造プロセスから、850の第2世代10nm製造プロセスと進化しているが、どちらかといえば内部のプロセッサ設計を見直した部分が大きいのではないか。

Snapdragon 850 Snapdragon 850のパフォーマンスは前世代比で30%向上

 対応製品は、まずは既存のパートナーであるASUS、HP、Lenovoから登場する予定だ。また時期は明言していないものの、Samsung Electronicsが新たなパートナーとして対応製品を投入する意向を示しており、最速で2018年のホリデーシーズン商戦、遅くても2019年初頭には製品が発表されるとみられる。

 Windows on Snapdragonデバイスが日本国内に投入される段階においては、この辺りに留意して製品選びをするのがよいだろう。

Snapdragon 850 Snapdragon 850のレファレンスモデル。x86、arm32、arm64と異なるバイナリでゲームアプリが問題なく動作するデモを行っていた

 なお、ウワサのレベルではあるが、Microsoftが「Andromeda」の開発コード名で準備を進めているという折り畳み型の新PCについて、WinCentralによれば、SoCにSnapdragon 850を採用しているという。これが本当かはともかく、Snapdragon 850が2018年末のWindows関連デバイスを賑わせる存在であることは間違いない。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年10月24日 更新
  1. “置き場所に困る”大容量ポタ電の壁を打破! 冷蔵庫を3日動かすEcoFlow「DELTA Gen4」シリーズが日本上陸 (2026年10月23日)
  2. 若者向けのカラフルな新「Dell 14S」が日本上陸 11月1日まで4.5万円引きの14万9800円から (2026年10月22日)
  3. 折りたたみ型から薄型まで! スマホやタブレットで“本気”の文字入力に使える持ち運び用キーボードを選ぶコツ (2026年10月23日)
  4. FCCLが「FMV Keyboard X」の一般販売を開始 ハイスペックマウス「FMV Mouse X」も同時発売 (2026年10月22日)
  5. 「Galaxy Watch9」を1週間使って分かったこと Pixel Watchと比べた使い勝手は? (2026年10月23日)
  6. 「iPhone Duo」を1週間使って分かった、全部盛りではない“上質さ” 心地いい開閉ヒンジの内部を見るために“非破壊検査”してみた (2026年10月21日)
  7. 天空が12月25日に発売する「GPD WIN Max 3」国内正規版 実機に触れてきた (2026年10月23日)
  8. 約22万円の新型「Mac mini」で初めてのローカルAI体験 ストレージの価格高騰対策にピッタリかも (2026年10月20日)
  9. スマホは「バッグの中」から「外」へ AULUMUのスリングバッグ2種で移動時のプチストレスを解消した (2026年10月22日)
  10. PFUから33万円キーボード「HHKB Professional Elite」登場! 英語配列のみで有線特化の“原点回帰” 全世界300台限定 (2026年10月22日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー