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» 2017年01月31日 07時30分 公開

2017年内にクラウド版Windows 10が登場する?鈴木淳也の「Windowsフロントライン」(1/2 ページ)

「WaaS(Windows as a Service)」を掲げるMicrosoftは、ついにクラウド版Windows 10の投入に踏み切るのか。

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 MicrosoftがWindows 10をリリースする際に打ち出したスローガンとして、「WaaS(Windows as a Service)」がある。「Windows 10は常に最新の機能が提供される単一のプラットフォーム」ということをアピールするものだ。

WaaS Windows 10では、継続的なアップデートでOSそのものを定期的に強化していく。Microsoftはこれを「Windows as a Service」と表現している

 WaaSの念頭には、Webでアプリケーションサービスを提供する「SaaS(Software as a Service)」があると思われる。

 SaaSは、かつて「ASP(Application Service Provider)」と呼ばれていた事業者らが2000年以降に使い始めたマーケティング用語だ。「オンプレミス(On-premise)」の形態で企業ユーザーが手元にハードウェアとソフトウェアの両方を用意して常時メンテナンスを行う必要があった従来のアプリケーション利用形態に対し、Web技術を使ったSaaSではクラウド経由で最新のアプリケーションが提供される。

 システムの保守からセキュリティ管理、アプリケーションの更新まで、全てクラウド側で処理されるため、ユーザーはネットワーク環境さえあれば常に最新のサービスを利用できるわけだ。実際、こうしたクラウドの利用は次第に広がっており、保守的といわれる大手企業においてもアプリケーションや業務部門によっては徐々にシステムのクラウドへの置き換えが進んでいる。

 一度導入されてしまえば、セキュリティパッチや一部機能アップデートを除いて数年間はそのままの環境での利用が続くPCハードウェアやソフトウェアの世界だが、そこに「WaaSの発想をもって新風を巻き起こしたい」というのが、Microsoftの願いなのかもしれない。

 そして今回、新しいうわさとして出てきたのが、この発想を突き詰めたかのような「クラウドWindows」だ。

軽量版Windowsの「Cloud Shell」とは?

 Windowsの最新動向に詳しいブラッド・サムス氏がPetriで報告した内容によると、Microsoftが「Cloud Shell」と呼ばれる新しいWindows向けのシェルを開発しているという。

 詳細は不明としながらも、同件について触れた文章の中に「lightweight iteration of Windows designed for the modern computing world(モダンなコンピューティング世界向けにデザインされたWindowsの軽量化サイクル)」のような記述がみられたとのこと。具体的な時期にも触れていないが、登場は2017年中としている。

 同氏の説明では、以前にWindows Centralが報じていたMicrosoftが開発中のプラットフォーム横断型統合シェルの「CShell(Composable Shell)」とは異なるもので、2017年5月に米ワシントン州シアトルでの開催が予定されている開発者向けイベント「Build 2017」で詳細が発表される可能性が高いと予測している。

 この情報だけだとあまりにも漠然としているので、もう少し周辺情報を整理していく。まずシェルとは何かだ。コンピュータの世界におけるシェルとは「コンピュータとの対話インタフェース」を提供する仕組みを示す。

 OSにはその中心部にカーネルがあり、シェルはユーザーがカーネルと対話してさまざまな機能を利用するためのインタフェースとなる。UNIXやLinuxの世界では「Bash」などのシェルが存在して、ユーザーが適切なコマンドを入力することで作業をコンピュータ上で行えるようになっている。シェル自体がカーネルとは別のプログラムとして動作するため、その存在を意識しやすい。

 一方で、Windowsは標準で提供されているGUI(Graphical User Interface)がOS本体とほぼ一体化しており、シェルを意識することはほとんどない。一応、「エクスプローラ」がUNIXの世界でのシェルに該当する存在ではあるのだが、Windows Serverの「Server Core」のようにGUIを省いた形でWindows OSがマシンにインストールされない限りは、「Windows OS=シェル」といっても差し支えないだろう。

Windows 10 既存のWindows 10では、GUI(Graphical User Interface)がOS本体とほぼ一体化しており、シェルを意識することはほとんどない

 なぜこの話をしたのかと言えば、Microsoftが開発中という新しい「Windowsの派生版」が、わざわざCloud Shellというシェルを意識させる名前で呼ばれているからだ。本来のシェルの仕組みを考えれば、このCloud ShellにはカーネルのようなOSのコアに値する存在がなく、あくまでインタフェースのみが提供されるということを意味する。

 これだけ聞くと「クラウド上でWindowsを動かして、手元のマシンに接続されたディスプレイ、キーボード、マウスを使ってデスクトップ環境を利用する、リモートデスクトップみたいなものじゃないの?」と思われるかもしれない。

 しかし筆者は、いわゆるターミナルサービスやCitrixの製品などとは異なる仕組みなのではないかと想像している。

 クラウド上でWindowsを動かしてリモートデスクトップで利用する「シンクライアント」のような仕組みを利用するメリットは、管理の煩雑なデスクトップPCのハードウェアを必要としないために管理者やユーザーの負担が少なく、かつアプリケーションによって実行パフォーマンスを確保するのに高価なPCハードウェアを必要としない点にある。

 その代わり、サーバとネットワークにはある程度のパフォーマンスが必要とされるのだが、クラウド側にデスクトップ環境を置けば、ユーザー企業は据え置きのハードウェアに過大な投資を行う必要はない。恐らく、この仕組みをさらに気軽に利用するための新技術がCloud Shellというわけだ。

 一般に、ターミナルサービスのような仕組みでは手元のマシン専用のエージェントアプリをインストールすることで、サーバとなっている側で実行されているデスクトップ環境の画面情報を適時取得し、ネットワーク回線を通じて圧縮転送された画像を手元のマシン上に表示している。そして手元のマシンに接続されたキーボードやマウスでの入力情報をサーバ側へとフィードバックすることで、離れた場所にあるマシンがあたかも手元にあるかのように操作できるようになる。

 この仕組みの場合、手元のマシンには必要最低限のパフォーマンスさえあればいいので、古いPCのほか、それこそARM SoC(System on a Chip)上で動作しているAndroid OSのような全く異なるプラットフォームにおいてもWindowsデスクトップの最新環境が利用できる。

 ただ、MicrosoftがあえてこのタイミングでCloud Shellのような仕組みを新たに用意するというのは、それなりの理由があると推察する。

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