日本マイクロソフトが主催する「Windows Insider Program」参加者向けのユーザーイベント「Windows Insider Meetup in Japan」が4月10日に大阪で、17日に東京で開催された。日本のコアなWindowsユーザー、Windowsファンのための国内初となるイベントだ。今回は日本マイクロソフト本社で行われた東京会場のイベントに潜入してきた。
Windows Insider Programとは、Windowsの最新プレビュー版を一般公開前に試用し、開発側へフィードバックすることで製品改善に役立てるというMicrosoft提供のプログラム。開発者やIT管理者だけでなく、Windowsの開発に参加してみたいという一般ユーザーも無料で登録できる(ただし、Insider Previewは不具合も多く注意が必要)。
イベントの冒頭では、Windows Insider Programを取り仕切る米Microsoft WDGエンジニアリングシステムチームのバイスプレジデントであるガブリエル・オウル氏から、日本の同プログラム参加者に向けたビデオレターが上映された。
続いて、Windows 10の開発を国内で行うマイクロソフトディベロップメントのエンジニアである入谷優氏が、Windows Insider Programの概要を紹介した。
Windows Insider Programは開始から既に1年半以上が経過している。全世界での登録者数は既に800万人に達しようとしており、Windows 10の製品版がリリースされてから現在もなお伸び続けている。
Windows 10における特徴の1つが「Windows as a Service」という、そのときどきで提供可能な最新機能をなるべく早くユーザーに届けようというコンセプトだ。従来のように数年単位でのOSアップグレードを待つ必要がなく、1年間で最大1〜3回の比較的大規模なアップデート配信が行われる。
Windows Insider Programでは、このWindows 10のアップデートを(不安定ながらも)より早いタイミングで受け取り、そのバグ報告や機能・改良要望などのフィードバックをMicrosoftに直接戻すことができるという、メリットとデメリットを両方持ち合わせた一般ユーザー向けの参加型プログラムとなっている。
前回は「みんなで最新OSを作っていくというWindows 10ファン向けのプログラム」と紹介したが、幅広い層にプログラムを活用してほしい、というのがMicrosoftの要望だ。
Windows Insider Programについては、直近に米国で行われた年次開発者会議「Build 2016」のタイミングで、オウル氏より若干のアップデートが発表されている。具体的には、高頻度に最新ビルドを受け取れる「Fast Ring」オプションの位置付けが変更され、現在ではMicrosoft社員向けのオプションよりも早いタイミングで配信を受けられるようになった。
Windows 10の最新ビルド配信は、「Ring」という名称でグループ分けがなされており、内側のRingで不具合がないとある程度確認された段階で1つ外側のRingへと配信が開始され、対象ユーザーの規模を徐々に拡大していく仕組みだ。
従来は「Internal Ring」と呼ばれるMicrosoft社内での配信を経て外部ユーザーであるWindows Insider Program参加者へと配信される流れだったが、「Fast Ringの配信間隔が長い」という要望を受け、より高頻度で最新ビルドが配信される、いわゆる「人柱」要素のさらに強い配信グループにFast Ringは格上げとなった。
入谷氏ならびに、後述の高橋忍氏によれば、Fast Ringよりさらに内側にある「Canary(カナリア)」と「Selfhost」は完全に開発チーム向けの配信グループという。ほぼ毎日最新ビルドが配信されているCanaryでは、炭鉱で有毒ガスを検知するカナリアのごとく、最新ビルドをインストールしたマシンが不具合に見舞われて使い物にならなくなるのもごく日常の風景のようだ。
CanaryやSelfhostほど顕著ではないものの、Fast Ringでも同様のトラブルに陥る可能性が高くなり、「Windows Subsystem for Linux(WSL)」のような最新機能をいち早く試せるようになる半面、ある程度のトラブルも許容する必要があるというわけだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.