Windows 10標準ブラウザ「Edge」は2016年から本気を出す?鈴木淳也の「Windowsフロントライン」(1/2 ページ)

» 2015年12月19日 06時00分 公開

IE終了に向けて機能拡張が進むMicrosoft Edge

 Windows 10の新しい標準Webブラウザとして注目されている「Microsoft Edge」。モダンなWeb技術に対応し、Webページの任意の場所へ手書きでコメント可能な「Webノート」、シンプルな画面で閲覧できる「リーディングリスト」、音声対応パーソナルアシスタント「Cortana」との連動など、Internet Explorer(IE)にないさまざまな新機能を備えている。

Edge Windows 10の新しい標準ブラウザ「Edge」。写真はWebページに手書きメモを書き込んだ様子

 しかし残念ながら、現時点ではそれほど芳しい評価が聞こえてこない。その理由を探ってみると、主に以下のような声が聞こえてきた。

  • IEとの互換性問題がありEdgeに移行できない
  • 入力関連などでバグのような挙動が見られ安定性を欠く
  • 他ブラウザで便利なExtensionsなどの環境を変えたくない

 このうち、不具合修正やWeb標準への準拠(これはWebKitなどの独自拡張部分への対応も含む)は時間をかけて対応していく問題となる。しかし現在Windows 10に搭載されているIE11は遠からずサポートが終了することもあり、いずれは既存のIE向けアプリケーションやサービスを使っているユーザーも移行を検討しなければならない。

 特に、IEはサポートポリシーの規定で2016年1月にIE8がサポート対象から外れ、2020年にはWindows 7+IE11の組み合わせも利用できなくなる。その移行先がEdgeになるかどうかはさておき、少なくともIEに別れを告げる日は刻々と近づいているのだ。

 来たるべきIEのサポート終了に向けて、Edgeの機能拡張は続々と進んでいる。11月に公開されたWindows 10初の大型アップデート「November Update(1511)」では、Edgeで複数のタブを開いているとき、マウスカーソルをタブの上に乗せるとWebサイトのプレビューが表示できる機能、Microsoftアカウントによる設定の同期機能が加わった。

November Updateの新機能 November Update(1511)を適用したEdgeは、タブにマウスカーソルを合わせることでWebサイトのプレビューが表示できる

 そして、今後予定されているEdgeの機能強化で目玉となるのが「Extensions」だ。これは「Redstone」の開発コード名で呼ばれるWindows 10の次期アップデート「RS1」で提供されるとみられる。November Updateでは顕著な進化がなかったEdgeだが、次の“大きな”マイルストーンにあたるRS1では機能の大幅な拡張が期待できそうだ。

「Extensions for Edge」の一般提供は夏以降か

 Extensionsとは、Webブラウザの機能を拡張する仕組みだ。サードパーティーが提供するExtensionsを導入することで、ユーザー好みにブラウザをカスタマイズしたり、あるいはブラウジングの際に便利な機能が追加可能になる。Chrome、Firefox、Safariといった競合Webブラウザには既に導入されている機能のため、Edgeが追い付くためには必須の機能と言える。

 Extensionsで最もメジャーなサービスの1つが広告ブロッカーの「Adblock Plus」だが、既にEdge向けの提供が予告されている。また米Windows Centralによる12月9日の報道によれば、Edge向けExtensionsの紹介ページらしきスクリーンショットに、PinterestやRedditを利用するための「Pin It Button」と「Reddit Enhancement Suite(RES)」の名前が挙がっていることが確認できたという。

 このページは既に削除されているほか、実際に今後RS1として配信されるWindows 10 Insider Previewの“どのビルド”で提供されるのかの情報がマスクされた状態だが、そう遠くないタイミングでWindows Insider Programの参加者に対してExtensionsが利用可能なビルドが配信されると考えられる。

AdBlock Plus AdBlock PlusはEdge向けのExtensions提供を予告

 もう1点、Windows Centralが紹介している重要な情報が「EdgeのExtensionsはChrome版とほとんど差がない」というところだ。これは既存のExtensionsがほとんど変更なしでEdgeでも流用できることを意味する。後発なので当然と言えば当然だが、少なくともEdgeをあえて避ける理由の1つがなくなるということだ。RS1の提供をもって、ようやくEdgeもブラウザ競争に本格参戦できるのではないだろうか。

 さて、問題はこのExtensionsがどのタイミングで提供されるのか……つまりRS1の一般提供がいつ行われるのかという点だが、筆者の予想では「2016年初夏」だ。具体的には2016年の6〜7月前後になると考えている。

 理由は幾つかあるが、現時点でまだRS1の名称(rs1_release)を冠したWindows 10 Insider Previewが配信されておらず、大幅な機能拡張が施されるRS1では、November UpdateのWindows 10一般公開後から3〜4カ月という配信期間よりも時間がかかるとみられることが大きい。

 現在、Microsoftの開発者会議「Build 2016」の開催が2016年3月30日〜4月1日の3日間で予告されているが、恐らく「RS1提供はこのタイミングに間に合わない」と予想する。ここではEdgeのExtensionsを含むRS1のプレビューが行われるだけで、実際の一般提供開始にはさらに1〜2カ月程度を要するだろう。

Build 2016 次のBuild 2016は3月30日〜4月1日の3日間で開催される
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