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» 2016年06月17日 06時00分 公開

Microsoftが2.8兆円もかけて「LinkedIn」を買収した理由鈴木淳也の「Windowsフロントライン」(1/3 ページ)

世界で4億人以上の会員を抱えるビジネスSNS「LinkedIn」がMicrosoftのサービスとなる。約2.8兆円というMicrosoft史上最高額の買収は、その価値に見合うものなのだろうか。

 それは米Appleの年次開発者会議「WWDC 2016」を間近に控えた6月13日早朝(現地時間)に突如発表された。米Microsoftが、ビジネス向けSNSを提供する「LinkedIn(リンクトイン)」を1株あたり196ドル、総額262億ドル(約2兆7700億円)で買収する計画を発表したのだ。

 262億ドルはMicrosoftによる買収としては過去最高額で、2011年のSkype買収に支払った85億ドルを大きく上回る。買収は2016年内の完了を目指しており、買収後もLinkedIn自体は独立したブランドとして運営を続ける予定だ。

LinkedIn ビジネス向けSNSの「LinkedIn」

LinkedInとはどんなサービスなのか

 LinkedInの創業は2003年5月で、米カリフォルニア州マウンテンビューを拠点にする。地図で確認すると分かるが、同じくマウンテンビューの著名企業であるGoogleの本社「Googleplex」から車で数分ほどの距離に現在のLinkedIn本社がある。

 創業メンバーはリード・ホフマン氏らPayPalやSocialNetに在籍していた数名で、現在のCEOであるジェフ・ウェイナー氏は2008年に米Yahoo!からやってきた。買収交渉の席ではこの2名とMicrosoft CEOのサティア・ナデラ氏に加え、Yahoo!時代にウェイナー氏の同僚だった人物で、現在はMicrosoftでOffice事業を取り仕切るチー・ルー氏が中核にいたとされる。

MicrosoftとLinkedIn 写真左から米LinkedIn CEOのジェフ・ウェイナー氏、米Microsoft CEOのサティア・ナデラ氏、米LinkedIn共同創業者のリード・ホフマン氏。米カリフォルニア州マウンテンビューにあるLinkedIn本社ビル前にて

 LinkedInは「プロフェッショナル向けのネットワーク」を標ぼうする。これだけ聞いてもピンとこないかもしれないが、「職歴やスキルを登録したユーザー同士がソーシャルネットワークでつながるビジネスマン向けのサービス」と言えば分かりやすいだろうか。現在世界200以上の地域に4億3300万人の会員を抱えており、仕事上のパートナーや交渉相手は大体LinkedInで見つかるといった具合だ。

LinkedIn 「プロフェッショナル向けのネットワーク」を標ぼうするLinkedInのトップページ。自身の職歴やスキルを書き記したプロフィールをベースに、ビジネス上のネットワークを構築していく
LinkedIn 現在世界200以上の地域に4億3300万人の会員を抱えており、このネットワークを武器にビジネスを展開している

 ただ、LinkedInはあまり日本ではなじみがないサービスではないだろうか。日本語は全24言語という数少ないLinkedInでサポート対象の1つではあるが、記事等で取り上げられる機会はあまりなく、ソーシャルネットワーク上で話題になることも少ない。

 だが欧米を中心に海外ではメジャーなSNSであり、筆者が初対面の人物とビジネスミーティングや名刺交換を行った後、すぐに先方からLinkedInのフレンド申請が届くことも少なくない。リアルな友人はFacebookでつながることが多いが、ビジネス上の付き合いはLinkedInで……という感じだろう。

 LinkedInではスキル向上やビジネスネットワーク拡大など、ユーザーのビジネス活動を支援する仕組みが多く盛り込まれている。LinkedInでつながった相手や登録情報を基に、イベントやアクティビティー情報の提供、あるいは複数のメンバーでグループを構成しての情報共有、他者による自分の特定分野でのスキルの推薦などが挙げられる。

 ビジネスで必要なメンバーの募集や知り合った相手のバックグラウンドを知るためのツールとしての活用もそうだが、企業の人員募集が定期的に掲示されていたり、あるいはLinkedInを介して逆に自分にヘッドハントがかかったりすることもある。趣味や雑多な話題が多くなりがちな他のSNSとは、この点が大きく異なる。

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