連載
» 2015年10月26日 15時30分 公開

「Surface Book」でMicrosoftとPCメーカーの関係はどうなる?――OEM担当者に聞く鈴木淳也の「Windowsフロントライン」(1/3 ページ)

「MacBook Pro」に対抗意識を燃やすMicrosoftの「Surface Book」だが、OEMパートナーのWindows PCからもシェアを奪ってしまうのではないかとの懸念も耳にする。米MicrosoftのOEM担当者に直接こうした疑問を聞いた。

来日した米MicrosoftのOEM担当者に直撃インタビュー

 10月22日、日本でも「Surface Pro 4」と「Surface Book」の正式発表が行われた。Surface Pro 4は11月12日発売と、米国の10月26日発売と比較してもそれほどタイムラグなく提供が始まる。残念ながらSurface Bookは需要の高さから米本国においても供給が十分でなく、日本での提供開始は2016年初頭になる見込みだ。

 Surface Bookの供給不足は年明け後もしばらく続くとみられ(恐らく最大の理由はSkylakeこと第6世代Coreプロセッサの供給量が少ないことに起因する)、日本で発売されても春頃までは全体に品薄感が強いと思われるので、もし同製品を期待して待っている方がいるのならば、少しだけ気長に待つつもりのほうがいいかもしれない。

Surface BookとSurface Pro 4 日本市場の投入が発表された「Surface Book」(中央)と「Surface Pro 4」(右)。そして販売中の「Surface 3」(左)

 このSurface Bookに関しては以前リポートした通り、米国での発表会で非常にAppleを意識したプレゼンテーションが行われ、「自らがAppleそのものになりたいのではないか?」と思えたほどだった。

 一方で、Microsoft自身はWindows搭載PCのメーカー(OEM)に対する施策を(発表会の中では)示さず、むしろOEMのビジネスそのものを食いにかかっているようにさえ見える。Microsoft自身は決してこれを肯定することはなく、OEM各社もまた、表の態度は変わらない。しかし、OEM各社はMicrosoftへの秘めた見解も持っており、両者の間には「見えない溝」ができつつあるのではないだろうか。

 そんな中、日本におけるOEMパートナー施策説明のために来日した米MicrosoftでOEM部門担当コーポレートバイスプレジデントのニック・パーカー氏にインタビューする機会を得た。Microsoftの視点から、同社とOEM各社の間で今何が起きているのかをまとめてみたい。

ニック・パーカー氏 米MicrosoftでOEM部門担当コーポレートバイスプレジデントを務めるニック・パーカー氏

Surface Book登場の意義

―― 率直に聞くが、SurfaceがOEMのビジネスを侵食しているのではないかという意見がある。Microsoftとしての見解を聞きたい。

パーカー氏 最初に、私はSurfaceの担当ではなくOEMの担当だ。そのOEM担当という観点から説明させてもらえば、Microsoftが初代Surfaceをローンチしたとき(注:「Surface Pro」のことと思われる)、初めて「プレミアム2in1」というカテゴリを訴求した。

 以降、このプレミアム2in1をユーザーが支持することで、現在ではOEMパートナーにとっての大きなビジネス領域になっている。実際、こうした2in1製品の販売で世界シェアを取っているのはMicrosoftではなくOEMの製品だ。Surfaceが市場を開拓し、そこでスケールした世界をOEM各社やユーザーは享受している。

 われわれがSurfaceに投資を行う場合、必ずプレミアムのカテゴリに注力し、プレミアムな製品を作り出している。まず機会を作り出し、OEMやユーザーを刺激するのがわれわれの役目だ。

 Surface Bookは2000米ドルクラスの製品であり、ここはAppleが得意としている領域となる。2000米ドルというと一般には「MacBook Pro」を想像するかもしれないが、ここでビジネスチャンスを作り、実際にわれわれのパートナーがスケールできる市場を作り出すことが重要だ。タブレット市場が縮小していると言われる中、2in1のカテゴリは成長を続けている。広義の意味で、Surface Bookもまたプレミアムな2in1だろう。

ブライアン・ホール氏 米MicrosoftでSurface&Windowsハードウェアのセールス&マーケティング担当ジェネラルマネージャを務めるブライアン・ホール氏。国内発表会でSurface Bookの製品紹介を行い、キーボードから分離し、薄くてパワフルなタブレットとしても使えることをアピールした

―― とはいえ、MicrosoftではSurface Bookを「(同社)初のノートPC」だと説明しており、これは従来MicrosoftがOEMとともに育ててきた既存領域と重なる。その意味での競合はないのか?

パーカー氏 それは違う。われわれが(Surface Bookで)考えているのは非常にプレミアムな領域で、この高価なカテゴリとしては初めて投入された製品であり、(Surface Bookの)着脱機構を見れば分かるように、2in1の流れをくんだ製品だ。

 タッチ、ペン、キーボード付きのノートPCと、Windowsで実現可能なユニークな体験を全て含んでいる。そのうえでプレミアムなカテゴリを切り開く製品であり、デマンドを作ることでOEMの進出が容易になると考えている。

Surface Bookはキーボード装着時にノートPCとしての要求を満た、取り外してタブレットとして使う際は、指で画面に触れてのタッチ操作や筆圧ペンでの操作もこなす

―― OEM担当ということで、パートナー各社からSurface Bookについて意見は出ているのか?

パーカー氏 Microsoftと立場は同じだ。市場でマーケティングを行ったり、デマンドを作るとき、パートナーはその分野でのわれわれの活動を助けてくれる。実際にデバイスをデザインし、OEMと一緒になって世界のデマンドを満たしていくという、こうしたマーケティング活動をともに行っており、これが結果的に皆にとってよりものになっていると考えているだろう。

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