「Bali」と「Bari」、そして「Cortana」の行方:鈴木淳也の「Windowsフロントライン」

» 2019年01月24日 06時00分 公開

 日本では正月明け直後の1月3日(米国時間)に、Fast Ring向けに配信が行われたWindows 10 Insider Previewの「Build 18309」だが、Microsoftが公式Blogで興味深い変更点を挙げている。

次期大型アップデート「19H1」(開発コード名)での変更点

 それによれば、「Based on feedback, if you clean install Pro, Enterprise, or Education editions of Windows, the Cortana voice-over will be disabled by default.(フィードバックに基づき、もしWindows 10 Pro、Enterprise、Educationをクリーンインストールした場合、CortanaのVoice Over機能はデフォルトで無効になる)」というものだ。

 Neowinが指摘しているが、いわゆる「OOBE(Out Of Box Experience)」と呼ばれるPCの初期セットアップ時に「Cortana」が起動して音声ガイドによる設定を促す場面において、前述のWindows 10エディションについてはこの機能が呼び出されない。もし音声読み出し機能を利用する場合、音声ガイドが無効化されていても「Win」+「Ctrl」+「Enter」でナレーターを呼び出せる。

Cortana 音声アシスタント「Cortana」のVoice Over機能がデフォルトで無効になると指摘した記事(Nwowinより)

 このCortanaを使った音声OOBEは、Redstone 2(RS2)こと「Creators Update(1703)」で目玉機能の1つとして導入されたもので、実質的にWindows 10 Homeのようなコンシューマー向けエディション以外では不要で、むしろ複数クライアントでの同時展開でかえって煩わしいという判断だと思われる。

 加えて、1月16日(米国時間)にWindows Insider Program参加者のFast Ring向けに配信が開始された「Build 18317」では、従来のWindows 10で統合されていた「音声アシスタント」と「検索」機能が分離され、独立した機能として存在することが明らかにされた。

Windows 10 次期大型アップデートの「19H1」では,「音声アシスタント(Crotana)」と「検索」機能が分離して提供される

 本連載で指摘したように、Windows 10の最新開発ビルドではCortanaの重要度を落とすような変更が続いており、すでにPC以外のデバイスでユーザーとの接点を失いつつあるMicrosoftにとって「音声アシスタント」という市場でのプレゼンスは必然的に低下している。

 いろいろな見方はあるが、Microsoftは対コンシューマー向けの直接的な“ペルソナ”を用意するよりも、同社の持つクラウドや“AI”ツールを“顧客”に提供し、その“顧客”を通じて一般ユーザー向けのサービス提供の手伝いを行うという「BtoBtoC」的なポジションを志向しているという意見もある。

 実際、ZDNetのメアリー・ジョー・フォリー氏は、「CES 2019」のタイミングでMicrosoftがLGやBMWと提携を発表して自動運転向けのアシスタント用ソフトウェアの技術提供を行うことを指摘している。仮に将来的にCortanaがフェードアウトしたとしても、各社の根底の技術ではMicrosoft製品が採用されているという縁の下の力持ち的なイメージだ。

 前回の記事でも触れたが、2月にスペインで開催される「Mobile World Congress」でMicrosoftのプレスイベントが予定されており、ここでの発表も期待しておきたい。

「Bali」と「Bari」

 Windows 10のセットアップに関する話題が続いたところで、それに関してもう1つ興味深い話題を紹介しよう。ZDNetのメアリー・ジョー・フォリー氏は、Microsoft Researchが研究を進めている「Project Bali」という仕組みの存在に触れている。

 端的にいえば、インターネットや各種サービスを利用する上で、それらが収集する個人データをユーザー自らが「“どこ”に“どこ”までを提供する」かを管理する一種の「個人情報銀行」的なもので、使い方次第ではユーザーとサービス提供事業者の両者によってメリットがある。

 プロジェクト自体は初期段階であり、実際に市販サービスとして提供されるかも含めて詳細は不明だが、「相手をどこまで信用できるか」という課題をクリアすればサービスとして成立するのではないかと考える。個人情報を個々のサービスに必要に応じて提供していくか、あるいは1カ所にすべて預けて出入りをユーザーが管理していくか、プライバシーについて改めて考えるきっかけになるかもしれない。

 もう1つは余談となるが、Microsoftにはこれとは別に「Bari」という開発コード名の製品が存在するようだ。同件を報じているのはブラッド・サムス氏で、Surface Hub 2の写真にも登場しているWebカメラがこの「Bari」だという。

 これは、先日本連載でも紹介したMicrosoftが2019年内にも市場投入を計画しているといわれる深度センサーを備えた4Kカメラと同一のものとみられ、語呂の似ている2つの異なるプロジェクトが水面下で進んでいる状況だ。

Windows 10 開発コード名で「Bari」と呼ばれるWebカメラ(The Petri IT Knowledgebaseより)

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年10月17日 更新
  1. ドウシシャ、80年代レトロ筐体を採用したBluetooth対応の大型CDラジカセ 11月4日から「GREEN FUNDING」でプロジェクト開始 (2026年10月16日)
  2. “子供にiPadを渡すのが怖い”を解消 『トイ・ストーリー5』のLilypadになれる、BelkinのiPadケースを試す (2026年10月16日)
  3. ソースネクストに不正アクセス、会員情報2251万件流出のおそれ パスワードや住所、生年月日など (2026年10月15日)
  4. セールでゲットすべき? ほぼ半額の5980円で買える「Fire TV Stick 4K」は旧モデルと何が違う? (2026年10月15日)
  5. 個人向けMicrosoft 365のストレージ容量が削減、代わりにAI機能を開放──Microsoftの狙いは? (2026年10月16日)
  6. 「Pixel Watch 5」は買いか? “4”からの乗り換えと失敗しないサイズ選びの鉄則 (2026年10月15日)
  7. ASUS ジョニー・シー会長が語る「AI時代にエンジニアが変えてはいけないもの」──思考はアウトソースできても、理解はできない (2026年10月16日)
  8. NVIDIA「RTX Spark」搭載ノートPCの実力は? ASUS「ProArt P14」実機レビュー 3D描画はRTX 5070 Laptop超えも (2026年10月16日)
  9. ASUS JAPANのポータブルゲーミングPC「ROG XBOX Ally X20」を試す 先代からの改善ポイントもチェック! (2026年10月15日)
  10. NVIDIAの新SoC「RTX Spark」は何がすごい? Blackwell+Grace統合で薄型PCが“トークン生成工場”に変わる理由 (2026年10月16日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー