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» 2018年09月24日 13時30分 公開

鈴木淳也の「Windowsフロントライン」:秋の夜長に「Windows Mixed Reality」で世界を飛び回ってみた (1/3)

Windows 10の標準機能として加わって1年近くになる「Windows Mixed Reality(MR)」。秋の夜長にあらためてWindows MR対応のHMDをじっくり体験して感じたこととは?

[鈴木淳也(Junya Suzuki),ITmedia]

 VR(仮想現実)の体験は、ここ1〜2年で一般ユーザーにも手軽に導入できる環境が整い、既にゲームや動画のVRコンテンツを日常的に楽しんでいる方も少なくないだろう。Windows 10においても、約1年前となる2017年10月配信の大型アップデート「Fall Creators Update(1709)」で「Windows Mixed Reality(MR)」の機能が追加されている。

 この際に追加されたWindows MR(複合現実)は、先行して業務用に投入された「Microsoft HoloLens」のようなAR(拡張現実)寄りの体験ではなく、完全にVRの体験だ。それまで高価でハイエンド寄りのマシンが必要だったPC向けVR HMD(ヘッドマウントディスプレイ)をOSレベルでサポートし、PC本体の要求スペックとHMDの価格を下げることで、より幅広いユーザーに導入しやすい環境をもたらすことが狙いだった。

 もっとも、WindowsにおけるVR機能の標準搭載はまだ初期段階にあり、実際にWindows 10でWindows MRの体験をしたことがあるユーザーは限られるだろう。今回はASUSTeK Computerの協力で第8世代Core i7とGeForce GTX 1050を搭載した15.6型ノードPC「ASUS ZenBook Pro 15 UX550GD」を、デルの協力でWindows MR対応HMDの「Dell Visor」をそれぞれお借りし、Windows MRの今を体験してみた。

Windows MR 今回「Windows Mixed Reality」を試した環境。PCは「ASUS ZenBook Pro 15 UX550GD」、HMDは「Dell Visor」

ハイスペックノートPCで「Windows MR」を体験

 今回試用したPCのUX550GDは、内蔵GPUがGeForce GTX 1050のため、Dell VisorなどのWindows MR対応HMDを利用できる上、他のPC向けVR HMDである「Oculus Rift」や「HTC VIVE」の推奨条件も満たしている。NVIDIAによる“VRを快適に体験できるPC”の認証マーク「GeForce GTX VR Ready」は取得していないが、Windows MRの体験は十分に快適だ(上位モデルのUX580GEはGeForce GTX 1050Ti搭載でGTX VR Ready対応)。

 ただ注意点としては、UX550GDにDell Visorを組み合わせたとき、Dell Visor側から出ているHDMIケーブルとUSBケーブルの分岐している部分の長さが短く、UX550GDにそのままでは接続できないという問題があった。

 UX550GDは、左側面にHDMIポートとUSB Type-Cポートが2基あり、右側面にUSB Type-Aポートが2基ある。一方、Dell VisorのケーブルはHDMIとUSB Type-Aに分岐しているが、UX550GDに接続しようとすると、左側面にHDMI、右側面にUSB Type-Aがあるため、ケーブルの長さが足りなくなるのだ。今回はUSB Type-CからType-Aへの変換ケーブルを組み合わせることで回避した。

 Windows MR対応HMDをPCに接続し、デバイスが認識されると、「Windows Mixed Realityへようこそ」のウィンドウが自動的に起動するので、「開始する」をクリックしてセットアップを進める。

Windows MR UX550GDにDell Visorを接続し、Windows 10に認識されると、「Windows Mixed Realityへようこそ」のウィンドウが自動的に起動する。これがWindows MRの入口だ。「開始する」をクリック
Windows MR Windows MRに必要なスペックを満たしているかのチェック。UX550GDは要件を満たしている

 Windows MRの開始前に必要なセットアップは2段階ある。まずDell Visorに付属する2つのコントローラーをHMDと組み合わせて使えるようにするペアリングの作業だ。PCのBluetooth設定を有効にしてペアリングを行うだけなので簡単だろう。

 次にHMD自体の設定だ。Windows MRでは「あらゆる使い方のためのセットアップ(推奨)」と「座ったり立ったりして使うときのセットアップ」の2種類のモードを選択でき、前者の場合にはあらかじめ移動範囲を指定しておく必要がある。これは、HMDをかぶって周囲が見えない状態で壁や家具などに当たってけがをすることがないように、安全性を高めるための措置だ。

Windows MR 2本あるコントローラーをペアリングする。ボタンの効果は動作するアプリによって異なる

 セットアップガイドでは「少なくとも1.5×2mの何もない空間が必要」と説明しているが、日本の住環境ではなかなか難しいのではないだろうか。ただし、その場で座ったり立ったりする設定より、仮想空間内での自由度が広がるので、できればスペースを確保したいところだ。

Windows MR 2種類あるセットアップ。VR世界を本当に堪能するのであれば、左側の設定を推奨する
Windows MR HMDを手に持ってPCのまわりを動かすことで移動範囲を決定する。半径が小さすぎると「境界が小さすぎます」と警告が出る
Windows MR Windows MRで音声認識を利用する場合には、Dell Visorにある端子にマイク付きヘッドフォンを接続する。アプリのスクリーンショットを行う場合には必須なので、今回は接続した

 こうしてセットアップが完了し、HMDをかぶると、仮想空間内に「Cliff House」という崖沿いに建てられた家が映し出される。ここでコントローラーを操作して好きな場所に移動したり、メニューを使って好きなアプリのウィンドウを空間上に配置したり、あるいは既に設置済みのオブジェクトを動かしたりと、Windows MRの基本的な機能を試せる。

 Windows MRの世界では、特定のアプリを起動すると、そのアプリの空間へと移動するようなケースがあるが、動作を終了したりキャンセルしたりすると、必ずこのCliff Houseの空間に戻ってくる。Windows MRにおける一種のデスクトップ画面、ホーム画面のような存在だ。

 この他、「Skyloft」という空間も用意されており、Cliff Houseと適時切り替えて移動できる。ここで動かしたオブジェクトやアプリの状態はWindows MRを終了しても維持されるので、後日そのまま前回の作業を継続することも可能だ。

Windows MR 最初は「Cliff House」という仮想空間からスタートする。Windowsにおけるデスクトップ画面のようなものだと考えていい。Cliff Houseの地下にはシアタールームがあり、劇場のような大画面で映画コンテンツを見ることもできる
Windows MR 仮想空間上でもコントローラーだけは見えている。これにより、仮にコントローラーを手放しても、ユーザーはHMDをかぶったまま(現実世界が見えないまま)でコントローラーを拾って持つことができる
Windows MR 画面に見える枠は移動範囲を示している。この範囲を越えて動くことはできない
Windows MR こちらは「Skyloft」。Windows MRのこうした仮想空間にはあらかじめアプリが幾つか設置されており、クリックして起動したり、位置や大きさをコントローラーを使って調整したりができる
Windows MR 空間上にアプリやファイルのプレビューを貼り付けることも簡単。このように360度空間を使った巨大なギャラリーを構築することもできる。
Windows MR Windows MRに対応しないWindows標準アプリもある。例えば「ペイント3D」はWindows MR上では動作しないため、Windowsの標準機能だけでは仮想空間内で3Dオブジェクトの作成や変更が行えない
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