MicrosoftはWindows OSやOfficeのライセンス販売よりも、Azureなどのクラウド事業に傾注しつつある。
7月5日(米国時間)にはクラウド事業での成長によりフォーカスするため、主に営業部隊の数千人規模の人員削減を発表した。同社は現在世界で12万1000人の従業員を抱えており、人員削減の対象はその1割弱とみられる(最大3000人程度、約75%は米国外の従業員といわれている)。
同社は米CNBCに対し、人員削減の目的はコスト削減ではなく、販売業務の革新と説明しており、将来への成長に向けた社内体制の整備に余念がないといったところだ。
Microsoftは今回の組織再編に伴い、幾つかの事業所の統廃合も進めている。最たる例が、Windows 10搭載の大画面タッチスクリーンデバイスである「Surface Hub」だ。
OregonLiveなどの報道によれば、米オレゴン州ウィルソンビルにあるSurface Hubの開発・製造拠点を閉鎖する計画で、従業員61人が9月8日付、残り63人がその数カ月内に人員削減の対象になることが、同州への報告書で判明したという。
このオレゴンの拠点はもともと2012年にMicrosoftが買収したPerceptive Pixelのオフィスの1つで、そのままMicrosoftへと引き継がれたとみられる。
Perceptive Pixelのマルチタッチディスプレイ技術は、2008年の米大統領選挙でCNNが採用して話題を集めた。重要なプレゼンテーションの場面での活用が続いたことから、MicrosoftはWindowsや同社のWebサービスと組み合わせることに興味を抱いたのだと考えている。
現在、MicrosoftはOfficeアプリやSkypeなど各種コラボレーションとの組み合わせで「企業のワークスタイルを変革する」製品として、Surface Hubをアピールしている。Surface Hubの実機をテストできる数少ない場所であるMicrosoft Storeの米ニューヨーク旗艦店において、実際にこれら一連のデモストレーションを体験できる。
もっとも、今回の措置がMicrosoftのSurface Hub事業からの撤退を意味するのではなく、拠点集約による経営効率化の一環だとみられる。
米ZDNetのメアリー・ジョー・フォリー氏はMicrosoft広報の公式声明として、Surface Hub事業に引き続き注力していく一方で、効率化のために今回の拠点閉鎖を決定したことを認めたと紹介している。
Surface Hubに関しては次期モデル「Surface Hub 2(仮称)」の開発が進められており、そう遠くないタイミングで正式発表されるとうわさされている。開発・製造拠点を移してのモデルチェンジになるようだ。
また同氏によれば、今回の人員削減は一律に行われるわけでなく、一部希望者に対して社内での再配置の要望にも応じているという。
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