Microsoftは、膨大な資産があるWindows旧バージョン向けのデスクトップアプリケーション群をWindows 10のネイティブ実行基盤である「UWP(Universal Windows Platform)」対応のモダンなアプリケーションに変換し、Windowsストア経由で配信可能にするための開発を続けている。
この取り組みはWindows 10の開発中に明らかにされ、これまで「Project Centennial」「Windows Bridge for Classic Windows apps」「Desktop App Converter」「Desktop Bridge」と、Microsoftが新しい発表をする度に名前が変わってきた。現在は「Desktop App Converter Preview」の名称でプレビュー版のツールが配信されている。
デスクトップアプリのインストールファイル(.msiなど)を所有するユーザーや開発者は、このツールを使ってUWPアプリの配信用パッケージを生成することが可能だ。ここで生成されたパッケージはAnniversary Update以降のWindows 10が動作対象となる。Microsoftによれば、同ツールの利用でEvernoteなど一部のアプリが既にWindowsストア経由で導入可能になっているという。
UWP化のメリットを挙げると、開発者にとっては「旧来のWindowsデスクトップアプリをWindowsストア経由で多くのユーザーに配信できること」、企業のネットワーク管理者には「社内でのアプリの配信や管理が容易になること」、そして一般ユーザーには「レジストリやシステムフォルダを汚すことなくアプリが導入でき、PCの乗り換え時にはWindowsストア経由で簡単に復帰できること」が大きい。
米ZDNetのメアリー・ジョー・フォリー氏によれば、現状ではWin32または.NETアプリのみがUWP対応アプリに変換可能で、その動作環境もPC向けのWindows 10(for PC)のみが対象となるが、Microsoftは公式に「Windows 10 MobileやXbox Oneでも動作可能な形のUWPにしていきたい」と説明しているという。
ただし、2016年3月末に開催された開発者会議「Build 2016」の現地レポートで紹介した通り、この変換作業は開発者の手作業に依存する部分が大きく、実際はなかなか難しいのが現状だ。
少なくとも、開発者側にはWindows 10 MobileやXbox One、さらにはSurface Hubのような幅広いWindows 10デバイスで自身のアプリを動かしたいという強いモチベーションが必要になる。このあたりは、Windows用アプリの配信形式がUWPで統一されてきた後の課題だろう。
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