日本のPCユーザーに「Microsoft Store」と言えば、同社直営のオンラインショップを思う浮かべるだろう。しかし、Microsoftは直営のリアル店舗「Microsoft Store」を米国中心に多数展開している。Apple Store路面店のMicrosoft版と考えると、分かりやすいだろう。
米国で100店舗(モール等の広場に出店する出張店舗も含む)を超えるMicrosoft Storeの中でもフラッグシップストアに位置付けられるのが、2015年10月25日(現地時間)にニューヨークでオープンした「Microsoft Flagship Store」だ。筆者が1年前の2015年1月にその場所を訪れたときは外装工事が始まったばかりの段階だったが、9カ月が経過して晴れてグランドオープンとなった。
ニューヨークは世界的な商業、ビジネスの中心地と認識される一方で、その中心街とされるマンハッタン島にはこれまでMicrosoft Storeの正規店が存在しなかった。唯一あるのはTime Warner Center内の出張店舗のみで、Windows 8発売時に一時的にオープンしたストアから3年が経過して、ようやく「旗艦店」の体裁を整えた店舗が出現したことになる。
以前のレポートでも少し紹介したように、この店舗は世界で唯一、Microsoftが開発中のMixed Reality対応ヘッドマウントディスプレイ「HoloLens」を実際に装着して体験できる「HoloLens Experience Showcase」が設置されているなど、特別な空間だ。
今回、実際に同店を訪ねてみたので写真とともに紹介しよう。
ブランドショップが林立することで知られるニューヨーク5番街(Fifth Ave)のミッドタウン周辺だが、Microsoft Flagship Storeはそれに恥じぬ外観の店舗だ。道路に面した正面は4階付近までガラス張りとなっており、凹凸に見える3〜4階部分はディスプレイウォールとなっている。
実際に入ってみると、1〜2階は吹き抜け構造となっており、開放感もあって明るい空間だ。正面から見て左右は巨大なディスプレイウォールになっているほか、奥のカウンターには2階まで突き抜ける巨大なタワーディスプレイが設置されており、季節に合わせたアニメーションや製品プロモーションが適時流れている。
この大画面パネルをふんだんに使ったディスプレイウォールは、このMicrosoft Flagship Store特有のもので、他のMicrosoft Storeには見られない。
入口には「Surface」シリーズなどMicrosoftのハードウェア製品、奥にはパートナー各社のノートPCまたはタブレット製品という配置は、他のMicrosoft Storeでも見られるが、このFlagship Storeでは特に「Surface Book」の展示数が多いのが特徴だ。入口付近でざっと数えただけでも12台が設置されており、他の店舗が1〜2台程度のことを考えれば特別待遇だ。
残念ながら取材当日に在庫はなかったものの、他のMicrosoft製品、例えば「Microsoft Band」やアンロック済みのWindows Phone「Lumia」シリーズ(特にLumia 950XL)は旅行者にも人気の製品で、実際に買って帰る人も多いという。
“Microsoft Flagship Storeだけ”の特別な展示がHoloLensと「Surface Hub」の2つだ。1階中央部にはガラスケースの中にHoloLensが収められており、実際にその外観を確かめられる。
実は今回、HoloLens Experience Showcaseを実際に取材したいというリクエストを事前に出していたのだが、予約の関係で実際に試すのが難しいということと、HoloLensの体験コーナーにおける一切の撮影や録音行為は禁止という説明を受けたため、本稿での紹介を断念した。
HoloLensは2016年第1四半期に「Development Edition」(3000米ドル)の正式提供が開始される予定なので、そこでの追加情報を待ったほうがよさそうだ。
一方、電子黒板のような大画面WindowsデバイスであるSurface Hubは、84型モデルと55型モデルの2種類を店内で試せる。84型モデルは1階の最奥にあり、55型モデルは2階に2台展示されていた。最初に来店したときは気付かなかったのだが、84型モデルは階段の下にひっそりと置かれている。実際に同店を訪れて試用したい方は、店員に声をかけるとよいだろう。Surface Hubは日本でも2016年1月から出荷が始まる予定だ。
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