米ジョージア州アトランタで9月26日〜30日にMicrosoftの年次イベント「Ignite 2016」が開催された。
Igniteは、かつてアプリケーションやサービスごとに分かれて開催されていたMicrosoftのカンファレンスを1つにまとめたもので、「ITプロフェッショナルのためのカンファレンス」を標ぼうしている。第1回は2015年5月にシカゴで開催され、今回が2回目となる新しいイベントだ。
Microsoftが毎年開催している同種のイベント「Build」は「アプリ開発者やスタートアップの開発者」を主に対象としているが、Igniteはどちらかといえば企業のIT部署や導入に関わるユーザーサイドに近い技術者が対象となる。
担当者の説明によれば、シカゴでの第1回は初開催ということもあってやや人数を制限していたものの、今回のアトランタでは幅広い参加者を受け入れたことで、同社としては過去最大規模のイベントになったという。
初日の9月26日には米Microsoftのサティア・ナデラCEOと同クラウド&エンタープライズ部門担当エグゼクティブバイスプレジデントのスコット・ガスリー氏が基調講演を行い、同社のクラウドや企業向け施策に関する最新施策を説明した。
クラウド関連の話題がメインを飾るIgniteではあるが、やはりフロントエンドのデバイス用OSとしてWindows 10は重要だ。今回、Windows 10の世界の月間アクティブデバイス数にアップデートがあり、4億台のマイルストーンを達成したことが報告された。2016年6月末の時点で3億5000万台を突破したことが報告されており、約3カ月で5000万台を伸ばしたことになる。
Windows 10の普及ペースは当初の想定を下回っているが、特に無料アップグレード期間が終了した8月以降はそれが顕著だ。今後、特にコンシューマー分野でのWindows 10のシェア増加はデバイスの買い換え以外では難しいとみられ、主に企業導入に依存することとなる。
Windows 10の企業向けにアピールすべき機能は幾つかあるが、ここIgniteでは特に「セキュリティ」に重きを置いていた印象がある。Windows 7との比較デモが度々紹介され、Windows 10の方がセキュリティ的に堅牢であることが示された。例えば、Administratorを含むWindowsへのログオンパスワードを暴き出すツールに「Mimikatz」があるが、Windows 7ではアカウント名とパスワードが全て表示されている一方、Windows 10ではパスワードまでは解析できなかった。
このほか、フィッシングメールを受信してマルウェアを呼び込むコードのリンクをうっかり踏んでしまった際のデモも紹介された。Windows 7ではDefenderの監視機能が無効化される一方で、Windows 10では多重防御によりマルウェアの侵入を防ぐことに成功していた。
比較対象が全てWindows 7というのも興味深い点だ。現在のエンタープライズ環境におけるメインのクライアントOSがWindows 7であり、これを何とか時間をかけてWindows 10へと置き換えていきたいというMicrosoftの意図が読み取れる。
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