2018年3月ごろのリリースを目指して開発が進んでいるWindows 10の次期大型アップデート「Redstone 4(RS4)」。2月中旬以降の「Windows Insider Program」の動向を見ると、開発はどうやら最終段階に入ってきたようだ。
ちなみにWindows Insider Programとは、Windowsの開発プレビュー版「Windows 10 Insider Preview」の新バージョン(ビルドと呼ぶ)を一般公開前に試用し、開発側へフィードバックすることで製品改善に役立てるというMicrosoft提供のプログラムだ。
このプログラムには、開発者やIT管理者だけでなく、Windowsの開発に参加してみたいという一般ユーザーも無料で登録できる(ただし、Insider Previewは不具合も多く注意が必要)。
Windows Insider Program参加者は、ビルド受け取りのタイミングを複数から選べる。Microsoft社内ビルドから選別されたものが「Fast Ring」ユーザーに配られ、そこからさらに選別されたものがやや遅れて「Slow Ring」ユーザーに配られる。そして、一般ユーザーに提供されている現行ビルドを使いつつ各種アップデートは先行して試せる「Release Preview」として利用することも可能だ。
そのWindows Insider Programに「Skip Ahead」の季節が到来している。Skip Aheadとは、通常のFast Ring、Slow Ring、Release Previewとは異なり、「1つ先の世代のビルド」を体験するための選択肢だ。
過去には2017年10月に一般公開されたWindows 10大型アップデート「Redstone 3(RS3)」こと「Fall Creators Update(1709)」の開発が最終段階に差し掛かっていた2017年7月末にSkip Aheadが出現し、次の世代にあたるRS4のビルドがいち早く受け取れるようになっていた。
その後、Fast Ringなどでは2017年8月末までRS3の開発途上ビルドの配信が続いていたわけで、Skip Aheadによる分岐は実質的に「現在開発中のWindows 10ビルドの作業が最終段階に入った」ことを意味している。
Skip Aheadでの分岐は2月14日(米国時間、以下同)に発生し、同日にはFast Ring向けに「Build 17101」が、Skip Ahead向けには「Build 17604」の配信が始まった。このBuild 17604こそ、2018年9月ごろのリリースを目指す次々回のWindows 10大型アップデート「Redstone 5(RS5)」となるビルドだ。
ただ、米Microsoftの公式ブログの解説にもある通り、実質的に両者に機能的な違いはほとんどない。デスクトップ画面右下のウオーターマークの表示が前者は「rs4_release」と表示されるのに対し、後者は「rs_prerelease」となっている。
前回の2017年夏も分岐直後はこのように差異はなく、完成間近のビルドの開発が佳境に入ったタイミングでFast Ringは頻繁にビルドの配信が発生するのに対し、Skip Aheadでは配信が比較的緩やかで、その代わりFast Ringより少しだけ早く次の世代のビルドに加わる新機能を利用できる配信サイクルとなっている。
また1点だけ両者の大きな違いとして、「Inbox App」というMicrosoftのWindows標準アプリのアップデートが、通常のFast RingではMicrosoftストア経由では受け取れないのに対し、Skip Aheadでは受け取れるという点が挙げられる。
なお、Fast Ring向けには2月23日に「Build 17107」、2月27日に「Build 17110」、3月2日に「Build 17112」の配信が始まり、週に1〜2回のペースでアップデートを続けている状況だ。
一方のSkip Aheadにはまだ2つ目のRS5ビルド配信は行われておらず、最新のWindows 10ビルド番号を掲載するサイト「Buildfeed」などの情報を確認する範囲でも、先ほどの説明を裏付ける配信サイクルとなっている。
Fast Ringは3月中旬にかけて配信頻度が上がっていき、残りの営業日換算から、恐らく同月後半に配信されるBuild 17120台後半〜17130程度の範囲のいずれかがRS4の完成版になると予想される。
RS4では、待望の「タイムライン(Timeline)」や「Near Share」など、幾つかの新フィーチャーが追加される。
一方で、Insider Previewのビルドでは既に盛り込まれている「Sets」というタブでアプリを管理する機能は含まれず、これはRS5の世代へと繰り越しになる。
恐らくSetsのように、開発の最終段階で既存機能の幾つかは脱落が予想されるため、Redstoneの世代は全ての計画された機能を盛り込むことを目標に、比較的長きにわたって開発が続くOSとなりそうだ。
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